冬に向けて、季節が走り始める。
温かいものが恋しくなる時期だ。
レンジで、チン!
違う、そうじゃない。
理想を言えば、自分ごのみのご飯を誰かが作ってくれるのが一番楽だ。
創作活動だって、自分が読みたいモノを誰かが書いてくれるのが一番楽だ。
でも、自分で書いてしまうのが業だ。
自分で作らなきゃいけないのがカルマだ。
子供の頃、天津飯と天津麺が好きだった。
あの表面の甘酸っぱいのはなんだろな……と思っていたのですが。
大学になって、初めて名前を知りました。
中華料理で言うところの、あんかけというか、あん。
情報がないというのはこういうことだよなあと、今になってしみじみ思います。
いや、今はスーパーのお弁当や惣菜で普通に見かけますけどね?
私の世代の、田舎の人間なんて、おにぎりとかサンドイッチが、遠足や運動会なんかじゃないと食べないメニューって認識ですからね?
コンビニの発展による、おにぎりやサンドイッチの陳腐化とかもそうですが、スーパーで普通にお弁当とかおにぎりが売り出されたのも最近のことです。
時の流れは早い。
そういや、日本のコンビニって40年ぐらいしか経ってないのでは?
つまり。
さあ、自分で作ろう。
適当クッキング!
と、言う流れになるのです、私の世代なんかは。
欲しいものは自分で作る、知りたいことは自分で調べる……ああ、自分、年取っちゃったなあと思います。
まあ、大学の一時期、そういうわけで片栗粉を買い込む誰かがいました。(笑)
例によって手探り状態でしたが、このあんかけ、実に奥が深い。
甘酸っぱいもの、単純にとろみを加えるもの、味にアクセントを加えるもの……。
同じ料理なのに、あんかけの種類で、ころっ、ころっと、料理の顔が変わってく。
貧乏大学生にとっては、これは素晴らしいことです。
飽きないというか、メニューの種類は変わらないのに、レパートリーが増えている様な錯覚が得られる。(笑)
これをぶち壊してくれたのが、友人の一言。
ご飯のフリカケみたいなもんじゃね?
なんか、気持ちというか、熱が冷めちゃったの。
ははは、あんかけは、料理を冷めないようにする働きもあるのに、変だなあ。
料理じゃなく、心にもあんかけが必要だったんだ。
あんかけが思い出に変わり、その記憶が風化しつつあった頃、私は関東の、某競馬場にいました。
多分、分かる人には一発でわかる。
念のため実名は出さない方がいいのかな。
競馬場という、ある種鉄火場で出会った『あんかけ焼〇そば』。
昔の熱意が蘇ったわけではありませんが、胸の奥の記憶をそっと温めてくれた、素敵なB級グルメ……350円。(当時)
こういう使い方もありか。
競馬場では、スタンドで観戦することも多いから、風対策もあるんでしょうけど、冷めないようにとか……なるほどなあ、よく考えられてるなあ。
やっぱり、人間、視野が狭くなるとダメだなあ。
ちょうど季節が冬だったのです。
家に帰り、冷蔵庫を開け……ちょうどいいや、うどんを作ろう。
クッキングというほどのもんでもない。
うどんと、ネギと、粉末ダシで簡単に……。
あ、あんかけ作ろう。
うお、片栗粉がないから……要するに澱粉だ。
じゃあ、じゃがいも蒸して、潰して、ダシ汁とからめて、簡易あんかけ。
あ、でもうどんだからちょっと強めにいきますか。
軽く煮立てて、えーい、卵も奮発してやる。
卵あんかけうどん、出来上がり。
うどんと、あんが絡まって、私の喉を優しく焼いていく感覚。
自分が食べたものが、喉から胃へと落ちていくのがリアルに感じる。
あったけぇ。
でも、財布が寒いの。
あんかけをしても意味ないの。
あんかけ財布……中身は増えません。(笑)