私の偉大な食卓。   作:高任斎

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そういや、あの居酒屋チェーン、もうなくなったんだよなぁ。


17:悲しみのベーコン巻き。

 大学生活。

 一人暮らし。

 

 お酒は二十歳になってから。

 未成年者の飲酒やアルハラなど、近年になってようやくそういう空気が醸成されつつある。

 

 というわけで飲み会だ。

 今の時代なら、大学生はおろか会社の飲み会でも『あ、興味ないので』で断れるのは、ある意味素晴らしいと思う……昭和の人間としては一抹の寂しさもあるが。

 私の世代の大学生活においては、飲み会を断れるキーワードは基本二つしかなかった。

 

 バイトがある。

 金がない。

 

 なにやら、話が別方向に転がってく。(笑)

 まあ、楽しい飲み会というのは、心置きなく飲める仲間とのそれだったり、盛り上げ方がうまい人がいるそれだったり……まあ、ひたすらうまい酒を飲むだけの飲み会だったり。

 

 さて、料理だ。

 自炊をしない大学生は、ここぞとばかりにサラダを食べたりしてた記憶がある。

 私は私で、『へえ、これどうやって作ってるんだ?』とか、『こんな料理でこんな値段かよ』などと、身も蓋もないことを考えていた。

 

 個人的に許せなかったのが、えのきのベーコン巻きだ。

 私の友人も好きだったし、おそらく当時は人気メニューだったと思う。

 文字通り、えのきをベーコンで巻いて焼いたもの。

 それが4個、角皿に並べてある。

 それなりに人数がいるから、あちこちで注文が飛ぶ。

 某居酒屋のメニューとしては安価な方だが、それでも瞬く間に札が消えていくことになる。

 

 おいおい、マジかよ。

 いや、飲み会でそういうこと言うのは論外だし、そういうこと考えるのもどうかと思うが。

 そういう視点で捉えるなら、自分で作れるメニューはわりと多い。

 もちろん、ちょっとした味付けなんかに、ヒントをもらうことも多々ある。

 

 いかん、酔いが足りない。

 

 飲めば良い。

 酔えば良い。

 余計なことを考えない。

 

 そして飲み会が終わる。

 当時は、スーパーが夜の8時に閉まるのが普通だったから、あらためて買い物をしようとすると、コンビニに寄るしかない。

 おつまみを買って、誰かの下宿で二次会だ。

 

 

 次の日。

 なんとなくスーパーで買い物をする。

 昨日の飲み会の料理を思い出しながら、手軽に作ることが出来る材料を買っていく。

 

 ははは、えのきのベーコン巻きとかなめとんか。

 えのきを切って、軽くゆがいてから、ベーコンで巻く。

 ははは、8個も巻けたぜ。

 フライパンで火を通して、料理酒と醤油を混ぜたもので、蒸し焼きにする。

 

 さて、余ったえのきとベーコンは、どうしよう。

 ベーコンと玉ねぎのスライスをちょいと炒めてから、もやしと一緒にホイル焼きにしてみる。

 ああ、これ鮭と一緒にやって、最後にバター落としたら美味そうだわ。

 

 さてさて、ご飯も炊けたし、いただきます。

 

 うん、美味いよ。

 美味いんだけどね。

 

 やはり、みんなと飲みながら……あの雰囲気の中で輝く料理だと思うの。

 自分で作ると、腹立つぐらいに安いけどな。

 

 

 

 




まあ、当時の田舎には、コンビニがないのも普通だったわけですが。(笑)
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