というか、最近はカレーの保存について色々と危険が語られているそうな。
なので、敢えて『鍋いっぱいのカレー』を書きたくなったのです。
母方の法事。
父と母が、泊りがけで出かける。
両親のいない週末。
『鍋にカレー作ってあるから。温めて食べなよ』
そう、鍋いっぱいのカレーだ。
電子レンジなんて(我が家には)なかった頃だ。
男の子は、こうして料理に触れるきっかけを与えられる。
たかがカレーと侮るなかれ。
炊飯器を使うとはいえ、ご飯を炊くのだ。
兄弟3人分の米の量を知る。
米を研ぐ。
水の量を加減する。
カレーを温めるのもそうだ。
いきなり強火で温めると、底が焦げて苦くなる。
弱火で、ゆっくりと。
眠りについているカレーを、優しく起こしてやらなければいけない。
この経験だけで、米を炊くことができるようになる。
そして、火加減の初歩を知ることが出来る。
料理をする上で、大事なことだ。
そんな、『鍋いっぱいのカレー文化』が失われようとしているらしい。
コンビニで、スーパーで、なにか買って食べな……ではなく。
カレーは菌が繁殖しやすい食べ物らしい。
そのほとんどは、70度の熱を2、3分加えると死滅するらしいが、色々とメカニズムが存在するそうだ。
例えば、ビタミンCは熱で壊れる。
しかしじゃがいもは、加熱しても、ビタミンCを摂取できる。
じゃがいもに含まれるデンプンなどが、それらをくるみ込んで熱から守るのだそうだ。
カレーのとろみと、油分、そしてじゃがいものデンプン。
こいつらが、菌も熱から守ってしまうらしい。
あと、芽胞の形成がどうとか言ってたが、詳しくは聞けませんでした。
つまり、コンロにかけたまま、食べる時だけ温める常温保存の場合、1日を限度としたほうがいいですね……などと、提唱するグループというか意見が多くなってきたそうだ。
もちろん、これは医者の言う『大事を取って』の立ち位置での意見だろう。
ぐっつぐつに1日3回温めてやれば、もうちょいいけるだろう……でも、自己判断で。
それでも、鍋いっぱいのカレーで、二泊三日は夢となったのか。
いや、冷蔵保存とか、冷凍保存とかの問題じゃない。
子供たちだけで、大鍋いっぱいのカレーで食べていく……あれは文化なんだ。(笑)
夏場の昼間に加熱し忘れるとか、次の日の朝温めずに食べてお腹を壊すとか、あれはあれでいい経験なんだ。
よし、カレーを作ろう。
最近は片手鍋にひっそりとつくる感じだったが、鍋に作ってやろう。
製作者、私。
被害者、私。
よし、誰にも迷惑はかからないな。(錯乱中)
材料は普通に。
人参、玉ねぎ、じゃがいも。
ルーが足りないとき、じゃがいもをすりおろしてとろみをつけた事もあったなあ。
肉の代わりに、厚揚げを使ったこともあった。
こんにゃく、ごぼう、魚……カレーは、大抵のものを飲み込み、包み込んでくれる偉大な食べ物だ。
ああ、一度考えなしに野菜と手羽元を一緒にぶち込んで大失敗したことがあった。
手羽先とか手羽元って、アクと、脂がすごいのです。
冷めると、脂が氷のように表面を覆って……『やべえ、今日から俺もヒロインだ』などと笑ったのを思い出す。
大学生の頃、『カレーを不味く作れたら、一人前のヒロインよ』などという謎の言葉が流行ったが、あれの元ネタはなんだったのか?
カレーを作るのに、材料を炒める派と、普通に煮込んでいく派がいるが、みんなはどっちだろう。
飯盒炊飯やキャンプなどでは、火力の問題で炒めたほうが調理時間が短縮できるが……まあ、私はどっちでもいいタイプ。
ただ、野菜は小さく切るタイプ。
いわゆる、ごろっとした食感のカレーは、あまり作らない。
一旦煮立たせてから蓋をして放置。
それから再び加熱してからまた放置。
そして、再加熱しながらようやくルーを投入。
なにか作業しながら料理をするために考えた方法だ。
意外と、カレーの材料は余熱でも調理が進んでいく。
クシャクシャにした新聞紙等で鍋を包んでやると、冷めにくくなる。
さあ、鍋いっぱいのカレーだ。
と言っても、一般的な10人分は、私にとっては精々5~6食分。
今思うと、子供の頃の『鍋いっぱいのカレー』は、果たして何人分だったんだろう。
私も含めた、男三兄弟のお腹を満たす量……。
そしてお別れの時が来る。
鍋の中にあったかご飯をぽいっと。
そして、お玉でグリグリとかき回してカレー飯。
鍋にこびりついたカレーを取る、洗い物の一環だ。
何故か、主婦をやってるみなさんに頷かれた。(笑)
たぶん、みんなやってる。
男は言わないだけだろう。
料理じゃないなぁ。(笑)