私の偉大な食卓。   作:高任斎

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冷やし中華のネタも捨てがたかったのですが……こっちで。


47:涼しげなそうめん。

「今日は暑いからそうめんでいいよ」

 

 何気ない夫の一言に、奥さんが微笑む。

 食べる方はいいかもしれないが、茹でる方のつらさを理解していない。

 

 これは、麦茶でも起こりうる。

 何気なく、『あれ、麦茶無いんだ?沸かしてよ』などという一言が、夫婦喧嘩を勃発させるかもしれない。

 

 暑いと、人は短気になりがちだ。

 心に余裕を。

 切にそう願う。

 

 

 さて、知人に聞いたのだが、『そうめんの美味しい食べ方』が少し話題になった時期があったらしい。

 茹でたそうめんを冷水で引き締め、ざるの上に盛るやり方。

 あるいは、氷を浮かべた器に、そうめんを泳がせるやり方。

 

 麺を水につけると、うまみ成分が溶けて流れるから……というのが前者の言い分。

 料理って雰囲気も大事だよね?風鈴のように、風情を味わうものさ……というのが後者の言い分。

 

 まあ、人それぞれです。

 周囲に不快感を与えるとかいうのならともかく、食事のときは、人は自由であるべきだと思います。

 

 私個人の意見としては、高いものを食べなさい、と。

 麺そのものの味は、小麦の質で決まります。

 21世紀を迎えて世界の小麦相場は急騰し、それはインスタントラーメンの値上げなどで実感してきたと思いますが、麺の味は明らかに落ちました。(独断と偏見)

 インスタントラーメンを調理せず、そのままスナック菓子のように食べると良くわかります。

 コスト削減の名の下に、小麦の質を落とすしかなかったのでしょう。

 

 それは、ここ10年……あるいは10年以上前からの、カップ麺の『スープ』の変化からもうかがえます。

 麺の質が落ちたのを、スープでカバーしようと……あるいは、付加価値を高めて値段のコントロールか。

 

 つまり、そうめんを美味しく食べたいなら、良い小麦を使っているであろう、高いものを食べるべきです。

 

 ……お財布の状況が許すならね。

 

 

 

 さて、美味しいうどんの決め手は、その歯ごたえにあるといわれます。

 うどんの生めん、冷凍麺の成分を確認すると、原材料に『でんぷん』がある商品がありますが、あれは人が美味しいと感じる歯ごたえを数値化し、『タピオカ(でんぷん)』を混ぜて、歯ごたえを人工的に作り出してるわけです。

 

 科学ってすごい。

 関係者の努力ってすごい。

 

 

 というわけで。

 そうめんでも、歯ごたえを変化させるような茹で方をしたらどうだろう?

 完全な均一化ではなく、不揃いな均一化のほうが、人間の味覚や食感は美味しさを感じるといいます。

 同じ刺激ではなく、変化が必要ということでしょう。

 

 

 一番簡単なのは、そうめんと冷麦を一緒に茹でること。

 2種類の歯ごたえ、そしてのど越しが新鮮さを与えてくれます。

 

 ちなみに、私は関東にくるまで『冷麦ってなんだろう?』って思ってました。(笑)

 冷麦の定義がきちんとできたのはわりと最近のことらしいですが、私の田舎では、存在そのものが無かったですね……でも、私は好き。

 

 あとは、ちょいと手間ですが、そうめんの束の端を糸で縛って茹でます。

 料亭なんかでは、この端の部分を切り落としてから、一口大の塊にわけて器に盛るらしいです。

 

 まあ、家庭料理でそんなことやってられません。

 

 数本ずつで、片方の端の部分を縛ってそのまま茹でると、端の部分だけ一体化した感じで、もちっとした歯ごたえになるのです。

 その部分だけ、十分なお湯に触れないために、でんぷんの糊化が進んだ状態になってます。

 

 めんつゆでも、ゴマだれでも、お好きにどうぞ。

 つるつるもちっと。

 麺を噛んで味わうことができます。

 

 食べるとき、糸は解いてね。

 

 

 

 余談ですが、そうめんばっかりだと夏バテするといいます。

 しかし、そうめんが小麦から作られるように、米も、パンも、栄養素としてはほぼ同じです。

 

 米ばっかり食べてたら夏バテする……とはいわない気がする。

 パンも、言わないか。

 

 まあ、米やパンだけの食事と言うのも少ないから……結局は、バランスの良い食事を、と。

 あるいは、そうめんそのものではなく『冷たいもの』の意味で使われているのかもしれませんね。

 

 暑い日が続きますが、みなさま、良い食卓を。

 




私の好みは、3~4本ぐらい。
あんまり多いと、もったりした感じになります。
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