「今日は暑いからそうめんでいいよ」
何気ない夫の一言に、奥さんが微笑む。
食べる方はいいかもしれないが、茹でる方のつらさを理解していない。
これは、麦茶でも起こりうる。
何気なく、『あれ、麦茶無いんだ?沸かしてよ』などという一言が、夫婦喧嘩を勃発させるかもしれない。
暑いと、人は短気になりがちだ。
心に余裕を。
切にそう願う。
さて、知人に聞いたのだが、『そうめんの美味しい食べ方』が少し話題になった時期があったらしい。
茹でたそうめんを冷水で引き締め、ざるの上に盛るやり方。
あるいは、氷を浮かべた器に、そうめんを泳がせるやり方。
麺を水につけると、うまみ成分が溶けて流れるから……というのが前者の言い分。
料理って雰囲気も大事だよね?風鈴のように、風情を味わうものさ……というのが後者の言い分。
まあ、人それぞれです。
周囲に不快感を与えるとかいうのならともかく、食事のときは、人は自由であるべきだと思います。
私個人の意見としては、高いものを食べなさい、と。
麺そのものの味は、小麦の質で決まります。
21世紀を迎えて世界の小麦相場は急騰し、それはインスタントラーメンの値上げなどで実感してきたと思いますが、麺の味は明らかに落ちました。(独断と偏見)
インスタントラーメンを調理せず、そのままスナック菓子のように食べると良くわかります。
コスト削減の名の下に、小麦の質を落とすしかなかったのでしょう。
それは、ここ10年……あるいは10年以上前からの、カップ麺の『スープ』の変化からもうかがえます。
麺の質が落ちたのを、スープでカバーしようと……あるいは、付加価値を高めて値段のコントロールか。
つまり、そうめんを美味しく食べたいなら、良い小麦を使っているであろう、高いものを食べるべきです。
……お財布の状況が許すならね。
さて、美味しいうどんの決め手は、その歯ごたえにあるといわれます。
うどんの生めん、冷凍麺の成分を確認すると、原材料に『でんぷん』がある商品がありますが、あれは人が美味しいと感じる歯ごたえを数値化し、『タピオカ(でんぷん)』を混ぜて、歯ごたえを人工的に作り出してるわけです。
科学ってすごい。
関係者の努力ってすごい。
というわけで。
そうめんでも、歯ごたえを変化させるような茹で方をしたらどうだろう?
完全な均一化ではなく、不揃いな均一化のほうが、人間の味覚や食感は美味しさを感じるといいます。
同じ刺激ではなく、変化が必要ということでしょう。
一番簡単なのは、そうめんと冷麦を一緒に茹でること。
2種類の歯ごたえ、そしてのど越しが新鮮さを与えてくれます。
ちなみに、私は関東にくるまで『冷麦ってなんだろう?』って思ってました。(笑)
冷麦の定義がきちんとできたのはわりと最近のことらしいですが、私の田舎では、存在そのものが無かったですね……でも、私は好き。
あとは、ちょいと手間ですが、そうめんの束の端を糸で縛って茹でます。
料亭なんかでは、この端の部分を切り落としてから、一口大の塊にわけて器に盛るらしいです。
まあ、家庭料理でそんなことやってられません。
数本ずつで、片方の端の部分を縛ってそのまま茹でると、端の部分だけ一体化した感じで、もちっとした歯ごたえになるのです。
その部分だけ、十分なお湯に触れないために、でんぷんの糊化が進んだ状態になってます。
めんつゆでも、ゴマだれでも、お好きにどうぞ。
つるつるもちっと。
麺を噛んで味わうことができます。
食べるとき、糸は解いてね。
余談ですが、そうめんばっかりだと夏バテするといいます。
しかし、そうめんが小麦から作られるように、米も、パンも、栄養素としてはほぼ同じです。
米ばっかり食べてたら夏バテする……とはいわない気がする。
パンも、言わないか。
まあ、米やパンだけの食事と言うのも少ないから……結局は、バランスの良い食事を、と。
あるいは、そうめんそのものではなく『冷たいもの』の意味で使われているのかもしれませんね。
暑い日が続きますが、みなさま、良い食卓を。
私の好みは、3~4本ぐらい。
あんまり多いと、もったりした感じになります。