私の偉大な食卓。   作:高任斎

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これを書きながら、『肉は偉大だ。ただ焼いただけで、熱を加えただけで美味い』と言う言葉を思い出しました。


52:『牛丼?難しく考えるな』って知人が……。

 なにやら知人が私のこれの牛丼の話を読んだらしく。

 

『牛丼ってのはさ、早くて美味くて安くなけりゃ牛丼じゃないんだよ』

 

 などと、身もふたもない感想を。(震え声)

 それ、どこぞのキャッチコピーに汚染されてるだけやんけ。

 

 みんな違ってみんないい。

 800万の生き様があり、800万の死に様があるように、800万の牛丼があるべきではないでしょうか。

 

 と、いうわけで。

 今回は、知人が教えてくれた牛丼の作り方を実践してみましょう。

 

 牛肉。(グラム90~100円ぐらいの切り落とし)

 たまねぎ。

 米。

 

 材料は、特に変わりありません。

 

 たまねぎを刻みます。

 牛肉は、好みの大きさに。

 米を研ぎます。

 

 ……そして。

 

 炊飯器の中に、米とたまねぎと牛肉をぶち込み、しょうゆ、そして焦げ付かないように砂糖を少々。

 ふたを閉めて、炊飯のスイッチ、オン。

 

 

 ……マジかよ。(震え声)

 

 サンマご飯で、サンマのにおいが炊飯器に染み付くように、たまねぎの匂いとかしゃれにならないぞ。

 せめて、しょうがを刻んで投入するとか……あ、余計な手間はノーサンキューですか、そうですか。

 

 炊飯器が、炊飯から保温へ。

 ふたを開ける。

 しゃもじで手早くほぐし、溶き卵をまわし入れて、またふたを閉じて蒸らします。

 

 できたぁっ!

 

 

 

 

 

 く、悔しい、でも、普通に美味しいやんけ。

 

 知人に言ったら、『こういうのでいいんだよ、こういうので』とドヤ顔で返されました。

 

 まあ、味付けやらそのあたりはある程度慣れと経験が必要でしょうが……普通に美味しいレベルの牛丼なら、これでできちゃうんですね。

 あ、基本的に私は情弱なんで、紹介するまでもなく有名な調理法やで……というツッコミはなしの方向で願いします。

 

 それはそれとして、多少敗北感を覚えつつスーパーで買い物していたら……不思議な商品を発見。

 具体的な商品名はともかく、コンセプトは炊飯器で作るチャーハン。

 

 え、いや無理だろ?

 だって、チャーハンって……。

 

 理性と経験が全力で否定していたのですが、牛丼の件もあったので購入。

 チャーハンの素と言うか、味付けされたスープでご飯を炊く感じ。

 

 いや、でもなあ……炊飯による米のでんぷんの糊化作用とチャーハンの食感は、全力で殴り合いしてるとしか思えない。

 でも、やるしかない。

 少なくとも、商品になっているのだから……まあ、たぶん。

 

 ほら、炊飯器でケーキを作ることができる時代なんだ。

 これが、人間の可能性なんだ、きっとそうだ。

 

 などと、自分自身に言い聞かせながら炊飯を待つ私。

 

 炊き上がり、溶き卵をまわし入れ、蒸らす。

 

 ……待て。

 

 蒸らす時点で、チャーハンじゃねえよ!

 いや、俺が知らないだけで蒸しチャーハンとかあるのか?

 

 ツッコミと、手首の準備運動は十分だ。

 さあ、食べよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うん、まあ美味しい。

 言うならば、チャーハン風味の炊き込みご飯。

 

 800万の生き様があるように、800万の死に様がある。

 これを、チャーハンと主張する人間がいたっていいんだろう、きっと、たぶん。

 それが、自由と言うものだ。




チャーハンかぁ……。
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