Fate/GrandOrder Mistake Gift   作:人類悪出入

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次回まで戦闘パートです。長くてすみません…熱い展開が書きたかったんです…


12話目

「アンサズ!」

 

キャスニキから放たれた火の玉がアーサー王を包み込むが、魔力放出にて一瞬でかき消される。

 

「無尽蔵の魔力ってな厄介この上ないな!」

 

キャスニキの言う通り、今のアーサー王は聖杯を所持している。それこそ宝具を連発する事など訳はないだろう。

 

だが、それでもサーヴァント。致命傷を与えれば死は免れない。

 

キャスニキが杖に炎を纏って、ルーンを使い一気に加速し再度突撃をする。アーサー王はそれを顔色変えずに受け止めた。

 

「何度やっても…何!?」

 

背中がガラ空きだ!俺は瞬間強化を使い、アゾット剣を背中に突き立てーーーようとして、キャスニキごと杖を弾き飛ばしたアーサー王はそのまま剣を後ろに振り抜いた。

 

その豪腕にて放たれる聖剣の威力は推して知るべし、俺の上半身を蒸発させても余りある。その速度は到底人の目に映るレベルではなく、無論、アーサー王も俺を殺したつもりだったのだろう。

 

「…!?」

 

アーサー王が、しゃがんで斬撃を躱した俺を見て驚愕の表情を浮かべーーーそしてまた一刃。

 

「うおっ!?」

 

俺はそれをまた紙一重に避けて、アゾット剣をアーサー王に突き立てる。だが聖剣によって防がれた。

 

「ーーー貴様、サーヴァントの攻撃を人の身で避けるか…!」

「はっ、あんたの剣が緩いだけじゃねえ…の!」

 

がきいぃん!と、キャスニキによって施された硬化のルーンによって強化されたアゾット剣が、聖剣と刃を交わし火花を散らす。

 

ーーー瞬間強化。これを目を重点的に強化するように調整した。人の身では見ることができなかった剣戟も、これで辛うじて反応はできるようになった。

 

後はカルデアでの戦闘訓練の経験や、先ほどのキャスニキとの特訓を元に避け続けるのみである。

 

「言うな、カルデアのマスターよーーーではもっと本気で行くーーー」

「おう、させねえよ?」

 

聖剣を振りかざそうとして、それを木の根が引き止めた。

 

「キャス、ター…!」

 

ーーーー間に合え!

 

俺は動きを一瞬止めたアーサー王に、アゾット剣の切っ先を振りかざす。

 

「ぐっ…!?」

 

肩。胸に刺そうとしたアゾット剣はアーサー王の肩に突き刺さる。

 

「まだだ!」

 

アゾット剣は杖のような物。中に魔力を貯める事で、突き刺した時、敵に追加ダメージを与えることが出来る!

 

「ーーーどけ!」

「な…!?」

「おっと!?」

 

アーサー王が剣を振り抜き木の根諸共俺に切りかかるーーーが、それをキャスニキが杖で食い止めた。

 

俺とキャスニキは後ろに下がる。

 

「すまん、ありがとうキャスター…!」

「おう。それよりも良くやったぜマスター。まさか騎士王相手に斬りかかって傷与えるたあな!」

 

確かに傷はつけた。だが、突き立てたその感触はまるでタイヤのように固かった。

 

「…中々やるな…だが…」

 

ーーーその瞬間、空気が軋んだ。

 

「ちっ…!」

「これ…は…!」

 

魔力が爆発的に高まる。何かをしてくるーーーー俺の頭の中で警報が鳴り響いた。

 

ーーーー来る!

 

「っ…!」

 

『緊急回避:Lv5』!俺の身体の速度が数倍に跳ね上がるーーーが、それでも避けきれない…!

 

ギイイィン!

 

突貫してきたアーサー王の剣をアゾット剣が辛うじて防ぎきりーーーそして砕け散る。

 

防ぎきった…!そう思った次の瞬間だった。

 

「がっ!?」

 

アーサー王は速度を殺さず、片手で俺の首を掴み、十数mカッ飛んで立ち止まる。

 

「マスター!?くそっ、目に追えねえ…!?」

 

口から血が吹き出す。喉が潰れたのだろうか、掴まれ持ち上げられた喉が熱を帯びて激痛を引き起こす。

 

そんな…まだ、本気じゃ…!?

 

「てめえ、離しやがれ!」

 

ジャスニキが走り出すーーーその瞬間、俺の視界がぶれた。

 

「うおっ!?」

「放してやったぞ。そら、もう手放すなよ…!」

「…やべえ!?」

 

走り出したキャスニキに俺がぶん投げられた。キャスニキは慌てて俺を受け止めるが、すぐに俺を後ろに放り出す。何故ならーーーアーサー王の黒き斬撃が、すぐそこまで迫っていたからだ。

 

「か…はっ…」

 

キャスニキの胸が、俺の目の前で痛々しく切り裂かれた。

 

血が、空に吹き出しーーー

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

オルガマリーは肩で息をしながら、少年ーー天野空太の事を思い出していた。

 

あの時、オルガマリーの心は折れかけていたーーー否、壊れかけていた。レフが消え、人類の滅亡が始まり、騎士王は難敵で、さらにバーサーカーまで現れてーーー普通の人間だと、恐らく全てを諦めて楽に死ぬ方法を探し始めるような、絶望の連続。

 

だがーーーオルガマリーは自分の何倍もの体躯を持ったバーサーカーに、たった一人で立ち向かう少女を見て。

 

更に、大丈夫と自信満々に笑顔と共に言って、自分の力が必要なんだと手を差し伸べてくれた強き少女を見て。

 

そして何よりーーー自分との同じように、恐怖に苛まれながら、手を、足を震わせながらーーーそれでも、果敢に戦いに挑んだ少年を見て。

 

(私の力を必要としてくれてる…だったら!)

 

マシュの堅牢な盾がバーサーカーの巨大な石斧を撃ち抜いた。マシュはデミ・サーヴァントだ。いくら人外の力を持っていたとしても、サーヴァント以上に疲労は溜まる。

 

「この…!」

 

オルガマリーはバーサーカーに指を向けた。黒い弾丸がいくつも放たれ、バーサーカーの動きを多少鈍くする。

 

「マシュ!」

「はい、マスター!」

 

盾の切っ先で攻撃ーーーだが。

 

「なんて機敏な動きなの…!?」

 

その巨体に似合わぬ素早さで、マシュの攻撃をひらりとかわしカウンターに拳を突き立てる。

 

「くぅ…!」

 

マシュが耐えるが、それも辛そうだった。

 

「マシュ…!『応急手当』!」

「ありがとうございます…!」

 

3人で立ち向かう。その敵は、あまりにも強大で、あまりにも絶望的だった。

 

「これが…大英雄ヘラクレス…!」

 

オルガマリーは再びくじけそうになる心を、奥歯を噛み締めて踏ん張った。

 

(私は、所長なんだもの…!天野になんか、負けてられないわ!)

 

隣の立花を見た。立花は、不敵に笑って親指を立てた。

 

ーーーなんて頼もしい。そして無駄に男らしい。

 

何故、という思いはあった。何故笑っていられるのか、何故立ち向かえるのかーーー何故、恐怖に足を止めないのか。

 

分からない。分からないけれど、オルガマリーにとってはそれが何よりも美しく、強く光り輝く星に見えた。

 

「私だって…!」

 

オルガマリーは、自分を奮い立たせた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「キャス…!?」

 

叫ぼうとして、血が吹き出してできなかった。

 

「どうした、カルデアのマスター。これで終わりか…?」

 

どうするーーーー?

 

どうする、どうする?キャスニキが死んだ…?何故俺を守った。矢除けの加護は何故使わなかった?

 

 

 

ーーーー俺の掌の甲で、真っ赤な令呪が、強く揺らめいた。

 




書きながら思った。

凡人ってなんだっけ…?
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