Fate/GrandOrder Mistake Gift   作:人類悪出入

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3話目

マスター候補の数がどんどん増えて来始めた。今は40人ほどで、これからも増えていくらしい。一般枠で10人が来るらしいが、それらは完全なる数合わせ。もちろんその中に俺も含まれている。

 

「天野さん、今日はお休みですか?」

 

共有スペースのソファで自販機のお茶を飲んでいると、声が降って来た。俺は顔だけそちらに向ける。

 

「まあね。おはよう、マシュ」

「あ、おはようございます、天野さん」

 

マシュが律儀に腰を曲げた。そして微笑みを浮かべる。

 

カルデアはブラック企業じゃ無いので、週に二回は休みの日が設けられている。給料も出るし飯は無料だしで至れり尽くせりだ。泊まり込みなのとちょっと外に出たら極寒の雪山なのと、日々の仕事が訓練と勉強で敷き詰められているのを除けば、超ホワイト企業である事は確定的に明らかである。

 

それにしても、マシュが自由時間中に話しかけて来るなんて珍しい事もあったものだ。いつもは書類持ってたり、ドクターに健康診断受けてたり、フォウと呼ばれる謎の生命体探してふわふわしてたりするのを見かける程度なんだが。

 

「お疲れの様に見えるのですが、何か困り事でも?」

「ああ…まあ、ちょーっとね…」

 

マシュの言葉に俺は笑顔をひくつかせた。

 

マスター候補の殆どが魔術師なのでね。色々とアレだよ。一般人にはプレッシャーというかなんというか。魔術師ってプライドの塊なのって本当だったんだね。

 

と、いう事を話すと、

 

「天野さんも一応魔術師なのでは?」

「俺はどっちかっていうと魔術使いかな…」

 

根源目指してるわけじゃない。俺が魔術を使うのは生き残る為だけなのだ。そもそも入りがカルデアだった訳だし。生まれも育ちも一般人である。

 

「あ、そういえば、フォウさんを見かけませんでしたか?実はさっきから探しているのですが…」

「フォウって、あの毛玉か?あー、俺は見てないな…っていうか、多分俺避けられてるし…」

 

フォウって確か、人の汚い感情がどうたらって感じの化け物なんだっけ?最後あたりあんまり覚えてないなぁ。

 

「そういう訳ではないと思いたいのですが、確かにフォウさんは天野さんを見かけるといつもダッシュして逃げてしまいます。他の方には懐かないだけでそういう事はしない筈なのですが」

「うーん…」

 

まあ、嫌われているんならしょうがない。俺もあのモフモフを堪能したみがあったが、まあ些事だろう。

 

「フォウさんは多分、天野さんを嫌っている訳ではないと思いますよ」

「へぁ?」

 

予想外にもそう言ったマシュを見上げると、マシュは微かに笑みを浮かべた。

 

「勘、なのですが」

「…そっか」

 

まあ、だったら良いなぁくらいで受け取っとこう。

 

「やあ、二人とも」

 

その時、横合いからぬっと緑色の影が現れた。

 

「レフ教授、おはようございます」

「おはようございます、教授」

「やあ、おはよう。一体何の話をしていたんだい?」

 

優しそうな顔でそう口を開いたレフ・ライノール教授。びっくりした俺はそれを顔に出すことのない様、師匠から教わった『猿でもできるポーカーフェイスの作り方ウィズダウィンチちゃん』を実践し事無きを得る。

 

レフは物語上の裏切り者。マスター候補のほとんどを殺害し、さらにレフを最も信頼していたオルガマリーをも死に追いやった悪魔だ。

 

「フォウさんを探しているのですが、レフ教授は見ていませんか?」

「ああ、それなら向こうの方で遊んでいたよ。餌の時間だったかな?」

「はい」

 

フォウって何食うんだろう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「君は…天野空太君、だったね?」

 

マシュの後ろ姿を見送って、レフがそう切り出した。

 

「はい、マスター候補の一人です」

「ああ、君のことはよく聞いているよ。一般枠だが、なかなか優秀なのだそうじゃないか」

 

レフはひっそりと笑顔を浮かべて、

 

「期待しているよ、天野君」

 

そう言って去って行ってしまった。

 

期待している、ねえ。っていうか名前覚えてんのかよ。

 

「…さむっ」

 

俺は寒気を感じながら、共有スペースから離れてマイルームへと向かったのだった。

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