Fate/GrandOrder Mistake Gift   作:人類悪出入

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6話目

どがああああん!

 

眠っていた俺は、突如鳴り響いた耳をつんざく轟音に、俺は思わず耳を押さえながらベッドから飛び起きた。

 

「な、なんだ…!?」

 

俺はすぐに外に出て、辺りを見渡した。24時間ずっと明かりがついたままの廊下が真っ暗になっていて、赤い非常用電灯が爛々と輝いていた。

 

「これって…!?」

 

俺は嫌な予感がして、だっと走り出した。

 

「そんな、今日じゃなかったはず…!今日じゃなかったはずなのに…!」

 

焦燥、困惑。いろんな感情が入り交じって、俺は何度かこけそうになりながら廊下を進んだ。

 

「あ!天野君…!?」

「ドクター!今の爆発音は!?」

 

もうすぐ管制室という所で、ドクターに出会った。

 

「ごめん、今は説明している時間もーーーーああもう、とにかく、回れ右して逃げるんだ!」

「ドクターは!?」

「僕は地下の発電所に行く!くそっ、こんな事になるなんて…!」

 

ドクターは「いいかい、すぐに戻るんだ!」と言いながら走って行ってしまった。

 

「…!」

 

俺は足を止めて、歯を食いしばった。

 

 

もう、ストーリーは始まっているのか。何の前触れもなく始まってしまったというのか。

 

というか、今日説明会があるなんて俺は聞いていないぞ…!

 

愕然としながらも、俺は二つの選択肢の間に揺れていた。

 

それはつまり、逃げてしまうか、自分から突っ込むかの二つだ。

 

恐らくこの先では、もう既に主人公がマシュと一緒にいるのだろう。恐らく、このままいけばマシュと主人公は従来の歴史通りにレイシフトし、特異点へと移動してしまう。そういうストーリーだ。逆に俺が行けば従来の歴史が変わってしまう可能性だってーーーー。

 

「…くそっ…だからと言って、見捨てられるわけねえか…!」

 

俺はまた走り出した。何が従来の歴史だ。コフィンに入っていない状態でのレイシフトは高確率で存在毎消えてしまう可能性がある。そんな危険な状態でいる顔見知りを、『従来通りの歴史だから』で見捨てられる程俺は神経が太くない。

 

それに、所長…オルガマリーだって…!

 

中央管制室に入ると、顔に激しい熱気がぶち当たって俺は思わず顔を腕で覆った。

 

「くそっ、誰かいないか…!?」

 

俺は中でそう叫んだ。

 

 

「…天野…さん…?」

 

 

聞きなれた声がして、俺はそっちにダッシュで近づいた。

 

「だ、誰…!?」

 

そこには、瓦礫に潰されたマシュと、赤い髪の毛をサイドテールにまとめた女の子がいた。

 

「あの、マシュが、マシュが…!」

「分かってる!マシュ!今助ける!」

 

俺はすぐに近づいて、瓦礫に手をやって持ち上げようとする。が、持ち上がらない。

 

「くそっ…『瞬間強化』--LV5!」

 

魔術礼装のスキルーーー瞬間強化。ゲームでは1ターンだけ攻撃力を上げるスキルだが、現実世界では筋力を魔力で強化する立派な肉体強化系の魔術だ。さらにダウィンチちゃんとの魔術礼装改造により、その使い勝手の良さは上がっている。スキルレベルも大分上がった。

 

だが…。

 

「…駄目だ!重すぎる…!」

「そんな…!私も一緒に…!」

 

赤い神の女の子が一緒に瓦礫に手を付けようとした、その瞬間だった。

 

「あ…」

 

炎の色とは明らかに違う、真っ赤な光がマシュの顔を照らした。

 

「…カルデアスが…」

 

 

『----観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました。芝による近未来観測データを書き換えます。

近未来百年までの地球においてーーーー人類の痕跡は 発見 できません』

 

 

アナウンスが流れる。今、この瞬間ーーー未来から、人類は一切が消え去ったのだ。俺はその事実に、頭を真っ白にして目を見開いた。

 

目の前で、人類が滅びたのだから。

 

「…カルデアスが…真っ赤に、なっちゃいました…いえ、そんな、ことよりーー」

 

マシュが何かを言おうとした次の瞬間、別の声のアナウンスが流れた。

 

もう、ここから出ることはできない。

 

「…隔壁、閉まっちゃい、ました…もう、外には…」

「…うん、そうだね…まあ、なんとかなるさ」

「…」

 

明らかな強がりだった。少女は笑顔を浮かべて、マシュの頭を撫でる。

 

『コフィン内のマスターのバイタル、基準値に達していませーーーー』

 

アナウンスが流れ始める。ああ、物語が始まってしまう。

 

「…すまん、マシュ…俺、俺は…」

「…?なぜ、天野さんが…謝るん、ですか…?」

「もっと早く起きていれば…!」

 

もっと早く起きていれば、マシュがこんなに痛い思いをしなくて済んだのではないか。少女が一緒にマシュを連れ出して、万全の状態でレイシフトが出来たのではないか。

 

「…天野さん…ありがとう、ございます…」

 

マシュがにこりと笑顔を咲かせた。

 

『適合番号31番 天野空太。続いて 適合番号48番 藤丸立花 をマスターとして再設定します』

 

レイシフトが始まった。

 

「あの…先輩…天野、さん…手を、手を握っていただけません、か…?」

 

少女がマシュの手を握った。俺も慌てて手を握る。

 

『レイシフト開始まで、後3』

 

マシュが淡いほほえみを浮かべた。震える程の力も残っていないのか、その手は冷たく、人形の様に動かない。

 

 

『2』

 

 

身体がどこかに引っ張られるような感覚がする。いや、身体なんてものじゃない。身体の芯の部分、存在の中枢というべきか。俺の存在そのものが、どこかに引っ張られるような、そんな感覚だ。

 

 

『1』

 

 

 

俺は、震えそうになる手を自分の手で押さえた。

 

 

 

ーーー全行程、クリア。ファーストオーダー 実証を 開始 します

 

 

 

世界が、真っ暗に眩む。

 

 

 

 

 

 

 

 

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