Fate/Grand Order  凡夫なりし月の王   作:キングフロスト

1 / 40
 
※何番煎じかは分かりませんが、自己満足で気ままに書いていこうと思います。



 


序章 特異点F 炎上汚染都市 冬木
プロローグ 目覚めの時


 

 始まりはいつも唐突だ。

 

 月で初めて自我に目覚めた時。

 月の裏側に落とされて目覚めた時。

 記憶が欠如して月の新王として目覚めた時。

 

 いずれにも言えるのは、その全てにおいて私は記憶が無い、もしくは欠落があったという事か。

 

 まあ、つまり何が言いたかったかというと、今回もまた、始まりは唐突だったという事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、ふと微睡みから覚める。まるで長い間──一年か、はたまた数十年にわたり眠っていたかのような錯覚すらあった。

 

 どうやら、私は寝台か何かに横たわっていたらしい。

 

 

 

「やあ、目が覚めたようだね」

 

 

 

 声が聞こえた。若い男の声。なんとなく、胡散臭いような感じがするが、声のした方に目を向けてみると、そこにはピンクブロンドの髪を頭の後ろで束ね、白衣を纏った男の姿があった。

 どことなく頼りない印象を受ける。

 

 その男は椅子に腰掛け、ベッドで寝ているらしい私の顔を観察するように眺めている。

 なんだか恥ずかしいような、照れくさいような……。

 

「ん……、」

 

 状況が把握出来ない私は、ひとまず起き上がろうとしてみるが、全身に上手く力が入らないようで、腕も痙攣させるのがやっとだった。

 

「あ、ダメだよ! まだ万全とは言えない状態なんだから」

 

 男は私が起きようとした事が分かったのか、慌てたように立ち上がり、私を諫めようとする。

 

「うーん……。今回の実験で君が四号だから、不具合もそろそろ生じないと思ったんだけどなぁ。前は完全に成功した訳だし……」

 

 ……?

 男が何を言っているのかが理解出来ない。というか、そもそも私が今居るここはどこだ?

 私はマイルーム──という名の寝所でサーヴァントと共に休んでいたはずだが。

 そこで、私は重大かつ深刻な事態に気が付く。今まで感じていたはずの、契約したサーヴァントとの繋がりが一切感じられなかったのだ。

 

 最初から何もなかったと言わんばかりの、まっさらな感覚。左手に宿る令呪にも、サーヴァントとの繋がりは存在していないようだった。

 

「しかし、今回は異例づくしで困ったな。召喚当初から身体機能が万全ではなく、更に令呪まで所持しているなんて。一体どんなエラーがあったんだろう……? 触媒が問題だったのかな?」

 

 男はさっきからずっと、うんうんと唸りながら、何やら考え事をしているらしい。

 とにかく、情報が欲しい私は、口が問題なく動くのを確認すると、目の前の男に色々と聞いてみる事にした。

 

「あの……ここはどこなんですか?」

 

「……ん? ああ、ゴメンね。その調子だと会話は支障ないようだ。さて、ここがどこ、と来たか。うん、その質問はまた厄介だな。いや、答える事自体は簡単なんだけど、既にそんな質問が出てくる時点で問題なんだよね」

 

「それは、どういう……?」

 

 男はこれまた困ったと、表情は険しいが怖くはない様子で、頭を片手で押さえていた。

 

「えっと、ここがどこなのかだったね。ここは人理継続保障機関フィニス・カルデア。もっぱら『カルデア』とだけ呼ばれる事が多いかな。閉ざされた雪山にひっそりと佇む、まあ辺境の施設だね」

 

 人理……保障?

 人理、と聞けばいつだったか、人理定礎という言葉を聞いた事があるような気がする。

 

 霊子記録固定帯(クォンタム・タイムロック)

 

 そう、確かあの男(アルキメデス)が剪定事象を移動する際に口にしていた言葉が、魔術世界では人理定礎と呼ばれている───と記録にあったような……。

 

「クォンタム……タイムロック……」

 

 気付けば、それを口に出していた。私の言葉に、目の前の男は意外そうな顔をする。

 

「……ふむ。単なる不具合じゃないのかな、その分だと。もしかしたらだけど君、ここに至るまでの経緯は記憶になくても、ここに至る前の記憶なら有るのかな?」

 

 ……確かに。月での経緯は全て覚えている。月の聖杯戦争、月で起きた月面大戦、そして本来なら消去されたはずの──月の裏側での経験すらも。

 

 だけど、私がどうしてここに居るのか。それだけは全くと言って良いほど心当たりがない。

 

 その通りだと男に伝えると、彼は得心したという風にポンと手を叩く。

 

「なるほど。不具合は有るには有るけど、完全なる記憶の消失という訳でもなさそうだ。なら、君も知りたいであろう君自身の現状について説明しよう」

 

 ようやく、核心に至る話題へと入ろうとしている。自然と、力の入らない全身であっても、緊張で強張るのを感じた。

 

「まず第一に、君は単なる人間ではない。君は英霊と呼ばれる存在であり、サーヴァントという使い魔の一種に分類される。まあ、どういうワケなのかクラスは不明、ステータスも不明、その出自でさえも不明で、分かるのは君が『岸波白野』という名前だという事だけなんだけどね」

 

 ……………。

 

 は?

 

「わ、私が、サーヴァント……!? しかも、英霊……!!?」

 

 まったく以て、意味が分からない。理解不能だ。

 凡人に過ぎない私が、英霊? 一体どんな冗談だろう。だけど、説明する彼の顔からは、とても冗談だとは思えない。

 まさか、本当に……?

 

「ん? その反応からするに、どうやら英霊やサーヴァントという言葉は知っているみたいだね。となると、君は生前に聖杯戦争と関わりのあった存在という事なのかも」

 

「生前も何も、私は死んだ覚えなんてないんだけど……。それに、私の魔術の才能なんて凡人レベルだし」

 

「あれ? となると、擬似サーヴァント……でもないか。岸波白野という英雄は聞いた事がないし、見たところ、君には混じり気というものがないようだ。うーん……これも不具合なのか?」

 

 男はまたも唸り始める。それにしても、私が、サーヴァント……か。なるほど、それなら幾分かの納得はある。

 サーヴァントとして召喚されたのなら、私は単体でここに召喚されたはず。なら、契約していたであろうサーヴァントとの繋がりもここまでは届かないだろう。

 が、それと同時に新たな問題というか論点が発生する。

 私がサーヴァントとして召喚されたとするならば、一体いつの時代で、どこに?

 英霊は多種多様な時代から召喚される。過去、現在、未来。私が生きる時代からすれば、2032年以降は未来となるが、果たして……?

 

「おっと。考え事を始めると、つい……。それで、続けると、君はサーヴァントであるんだけど、何故君が召喚されたのか。それは、召喚の実験であると同時に、カルデアの戦力を補充したいからでもある」

 

 戦力を補充するため? ならば、このカルデアとやらはどこかと戦争でも始めるのだろうか。

 そんな疑問が顔に出ていたのか、彼は私の想像をバッサリと切り捨てた。

 

「別に誰か、どこかの国と戦争をしようって話じゃないさ。そもそも、どんな存在が敵なのか……まだ予想もつかないからね。ここからが本題だ。カルデアは近未来観測レンズ『シバ』により、人類の未来を100年先まで保証していた。だけど突如、現在(2015年)より未来、つまりは2016年より先の人理が燃え尽きたんだ。それが意味するのは、2017年には人類が全滅するっていう最悪の結末さ」

 

「!!」

 

「前触れもなく、原因も分からない。当然ながら、この事を外に漏らす訳にもいかない。なんせ人類が絶滅する、なんて未来が観測されてしまったんだ。理由が説明出来ない以上、外部にもし伝えてしまえば、無駄な混乱を招く。まあ、カルデアは混乱の渦だったけど」

 

 人類が全滅。その重みが、私は理解出来た。聖杯戦争、月の裏側での戦い、月面大戦。その全てにおいて、人類の未来を懸けた戦いが行われ、私はそれら全てを勝利した。

 だからこそ、その重みが私には分かるのだ。その全ての戦いが、命懸けで苦痛と困難にまみれたものであったから。

 

「そんな混乱の中で、シバは新たにとある反応を示した。西暦2004年、その年に()()()()()()()()()が急に現れたんだ。それは日本のとある地方都市。そこで、僕らはその時代にこそ原因があるとし、まだ実験中ではあるけど、過去への限定的な時間旅行を決行する事にした」

 

 過去に……。つまり、

 

「過去に英霊を送り込み、その問題を解消する……?」

 

「惜しいけど、少し違うかな。送り込むのは()()だ。時間旅行──レイシフトに適合出来る術者をその時代へと送り込み、その時代へと介入させて本来あるべきではない異常、特異点の解明と破壊。それと、君の答えに補足するなら英霊だけを送るのは難しい。英霊は確かに強力な存在だけど、魔力を補給する術がなければ単体では本領発揮が困難。だからそれを補強する意味合いでマスターがまず必要不可欠だ。英霊はマスターの戦闘代行者として随行するって感じかな」

 

 なるほど。ソロ・サーヴァントなるものも月には居たが、あれはムーンセルが世界改革のためにランダムで召喚したものと聞いた。要は、魔力供給をしてくれる存在がなければ、十全には戦えないという事か。

 そして、それが彼の説明とも合致する、と。

 

「それで、マスターに必要な戦力として、英霊召喚を行ったんだけど……」

 

 あはは、と若干の苦笑で私を見てくるが、なるほど、そこで私という訳か。

 戦力を欲していたのに、明らかにただの女の子が召喚され、あまつさえ戦力どころか素性すら不明。更に、召喚されたのに万全ではない。

 戦力どころかお荷物じゃないか、私。

 

「ちなみに、君を含めてカルデアではこれまで三度の英霊召喚を行っているんだ。英霊召喚一号は消息不明、二号は召喚こそ出来たが不具合で現界せず、三号のみがまだ戦力としてカウント出来るのが現状かな。君は、まあその、今後次第で」

 

「……ちなみに、そのレイシフトというのは、いつするんですか?」

 

 せめて、せめてそれまでに動けるようにはなっておきたい。戦力にはならないかもだが、何か出来る事はあるはずだ。

 私にはマスターとしての経験もあるのだし。

 

「あまり猶予はないからね。来週の今日には特異点の探索が開始される予定になっているよ」

 

 来週か。なら、今は出来る限り体を復活させないと。召喚の不具合でこうなったとの話だが、曲がりなりにも私は英霊として召喚されたのだ。

 それなら、普通の人間であった時よりは回復も早いに違いない。いや、割と本気でそうであってほしい。

 

「簡単に説明したけど、また追々話していこう。今回はとりあえずここまで。君が目覚めた事を所長に伝えに行かないといけないからね。あ、所長っていうのはこのカルデアの最高責任者で、君を召喚したのも彼女だよ」

 

 彼女、という事は女性なのか、その所長とやらは。

 私を召喚したという人物に興味が出て来るが、そういえば、と私は彼に尋ねる。

 

「あの、まだ聞いてませんでした。あなたの名前」

 

「あれ? そうだっけ?」

 

 男もど忘れしていたらしく、頭を掻きながらだらしなく笑う。何というか、本当に頼りなく見える男性だな。

 

「じゃあ改めまして。僕の名前はロマニ・アーキマン。気楽にDr.ロマン、と呼んでくれると嬉しい」

 

 

 

 

 そうして、私のカルデアでの生活が始まった。

 

 

 




 
前書きにも書きましたが、自己満足全開で書いてみたものです。自分でも駄文ばっちこいの精神で書いてますので、てきとうに読み流してもらってどうぞ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。