Fate/Grand Order 凡夫なりし月の王 作:キングフロスト
私の呼び声と共に、私の目の前に降り立った白き剣姫。
白銀のヴェールを頭に被り、褐色の肌には白い紋様が刻まれ、主張の少ないスラリと伸びたその肢体。
手には三色の光を放つ剣が握られ、その切っ先はメドゥーサへと向けられていた。
「何者です……」
突如として、いきなり何もない所から現れた白き剣姫に対して、メドゥーサは警戒心を全開にして距離を取る。
対して、白き剣姫は彼女の反応に対し、あからさまな怒気を見せて威嚇した。
「貴様、私の虜を
氷よりも冷たく、炎よりも熱い殺意と敵意の渦が、まるでメドゥーサを取り囲むようにして放たれる。
アルテラの憤怒が如何に大きいか、考えるまでもなく理解出来た。
「死ぬのはどちらでしょうね……!!」
メドゥーサはアルテラの怒気に怯まず、先制攻撃として手にした杭を投擲する。凄まじい速度で飛来するそれは、獲物であるアルテラの脳天を狙って突き進むが、
「ふん……ナメられたものだな」
当然、そんなものは彼女には通用しない。軍神の剣を軽く振って、杭を容易く叩き落としてみせる。
アルテラと正面から戦うのは推奨すべきではない。破壊の大王と呼ばれた彼女は、こと戦闘においても比類無き能力を持ち合わせている。
その武力は、かの征服王や聖女というトップサーヴァントすらも退けるのだ。
並大抵の攻撃では、アルテラには届かないのである。
落とされた杭は、しかし鎖で繋がれているため、すぐにメドゥーサの手元へと回収されていく。
「やはり、そう簡単に殺せる相手ではありませんか」
「分かっているぞ。今のは単なる小手調べだろう? であれば、私とて貴様と同じ事をするだけだ」
言って、アルテラは軍神の剣を引き、一気に前へ押し出す。剣の切っ先から放たれるのは、細い光の束。
撃ち出された光の束は、質量を持ってメドゥーサへと襲い掛かった。
「ッ!!」
バイザーで視界を封じているメドゥーサではあるが、その分ほかの五感が鋭くなっているのだろう。放たれた光の束の気配を熱か音で感知し、即座に回避の反応を見せる。
その場から飛び退き、宙に浮いたままに杭の投擲で光の束を相殺させ、着地と同時に杭を引き戻し、並行して反対の手に持った杭で打ち損じた光球を切り払う。
一連の動作はまるで流れるように滑らかで、敵ながら見事な攻撃への対応だと言える。
だが、
「おい、まさか小手調べ程度で終わるとでも思ったか?」
アルテラは光線を出した次の瞬間には、既にメドゥーサへと接近を開始していた。メドゥーサがそれを打ち落としている間に、彼女との距離を詰めていたのである。
懐にまで入り込まれたメドゥーサは、片手分しかまだ杭が戻っていない。軍神の剣は剛剣にして柔剣の性質を持ち合わせているため、杭の一本程度では守りは必然的に薄くなる。
「チッ……!!」
それでも、その杭たった一本でガードせざるを得ないメドゥーサは、逆にアルテラを先に仕留めんと彼女の脳天目掛けて杭を振り下ろす。
「シッ!!」
苦し紛れの攻撃で倒せる程、アルテラは甘くない。本命である胴への斬り上げからすぐに切り替えた彼女は、迫る杭をメドゥーサの腕ごと斬り飛ばした。
胴を狙えば確実に仕留められただろうが、そのまま消滅までの間に攻撃が継続されれば、アルテラとて無事では済まない。
故に、安全と確実性を重視した結果が、メドゥーサ撃破よりも自身のダメージを無くす……という事なのだろう。
「グウゥゥウゥゥ!!?」
腕を切断されたメドゥーサは、痛みを堪えるように大きな唸り声を上げながら、アルテラから距離を取る。
隻腕となった彼女は、鋭い犬歯を剥き出しにして、憎悪の限りをアルテラへとぶつけていた。
「よくも腕を……!! 殺す、殺す殺す殺すぅぅゥゥ!!!!」
「よく吠える蛇だな。いや、蛇はそもそも声など発さないか。なら、やはりお前は怪物なのだろう。かつて神の一柱であった者よ」
アルテラも、月での戦いで少しはメドゥーサと面識がある。それを覚えていたからこそ、メドゥーサがかつては女神であった事を指摘出来たのだろう。
でなければ、その素性など言い当てられまい。
「それがどうしたと!? もはやこの身は真っ当な英霊なぞではない! 神霊からもあぶれ、この霊基すらも泥にまみれ、反英霊として人類史に刻まれた私が、怪物でなくて何だという!!?」
それは憤怒の叫び。憎悪の咆哮。絶望の悲嘆。
メドゥーサは、その在り方を受け入れた上で、心の底では自身という存在を拒否している。
とんでもない自己嫌悪。それが、彼女を支配しているのだ。
「───!!」
と、突如メドゥーサの動きが停止する。表情は険しいままだが、どことなく唖然としているような……。
そして、再起動したと思った時には、憤怒や憎悪といった感情は溢れ出る程ではなくなって、至って冷静な様子を取り戻していた。
「……残念ですが、今回はここまでです」
急に熱が冷めたように戦意を無くし、彼女は杭を構えた腕を下ろす。彼女の心境の変化が突飛すぎて面食らっていると、言葉の通りにメドゥーサは私たちへ背を向けた。
「待て。どういう心変わりだ? 私を殺すのではなかったのか?」
「別に。私はマスターからの撤退命令に従うのみ。手傷を負ったのは、倒すべきサーヴァントがあと一騎のみと油断していた私の落ち度。まさか他にもサーヴァントが召喚されていたとは……。今度会った時に決着をつけましょう。……そこの貴女も。絶対に私が食べてあげますから、そのおつもりで」
最後に私の方に顔をチラリと向けて唇を舐めるメドゥーサ。その瞬間、ゾゾゾッと私は背筋がざわつく。これは……完全に目を付けられたようだ。
アルテラはメドゥーサが走り去っていくのを止めようとはせず、黙って見つめているのみ。
手負いのサーヴァントなんて容易く倒せるはずなのに、何故そうしないのだろうか……?
「さて、久しいなマスター……と言うのが正しいのか? あいにく、私はどれほど時間が経ったのかは分からないのでな」
アルテラに手を引かれて起き上がる私。
ああ……最後に見た姿と全く変わらない。巨神アルテラではなく、その端末として稼働していた英霊アルテラ。
不器用でぶっきらぼう、愛想のない顔付き。だけど、誰よりも優しく、誰よりも愛情に飢えていた彼女。
消え去り、けれど新たに小さな命へと生まれ変わったはずの彼女が、どういう訳か私の目の前に立っている。
「本当に、アルテラ…なの……?」
「何を言っている。忘れたか? お前は
それは……!!
というか、それは“肉体の私”がした事であって、
いや、“肉体の私”の記憶も継承しているけれども!
「まあ、
小さく笑って、私の頭を撫でるアルテラに、やはり彼女が本物であると改めて実感する。
この温もり、魂の在り方は、紛れもなく彼女本人のもの。サーヴァントになったから、それが余計によく分かる。
「──って、そうだよ! 私サーヴァント! なのに、どうしてアルテラを召喚出来たの!?」
サーヴァントがサーヴァントを召喚する。出来なくもないかもしれないが、私は召喚が出来る環境を整えていた訳ではないし、選定の場のようにサーヴァントが自分からやってくるような状況でもない。
なのに、何故?
「そうだな。まず言っておくが、私は召喚された訳ではない。月でこの私が本体と統合した時、レガリアに英霊アルテラという存在の残滓が僅かに取り残され、時間を掛けてレガリアの機能とお前の魔力で霊基修復に至るまでに再生したのが、この私だ。言わば英霊アルテラの残り滓……だな。お前の身に危機が迫った事で、眠っていた私は覚醒し、お前の呼び声で起動した───そんなところだ」
自嘲の笑みを浮かべて語るアルテラ。なるほど、レガリアから復活して現れたから、召喚ではない、と。
「……なんだ、お前も
ジロジロと観察するように見つめられると、なんだかこそばゆい。
「まあいい。お前がサーヴァントであっても、お前はお前だ。その根本は変わるまい。ところで、私がレガリアで眠っている間に浮気とは良い度胸をしている。というか、かなりの狭さだったぞ。やはり一つのレガリアに二人も収納するのは無理があるか……」
「いや、何の話だか……」
というか、そもそもレガリアは召喚されてから一度たりとも使っていないし、ムーンセルにも繋がっていないので使えない。
確かに、私はパートナーであるサーヴァントに、安全の為とか言ってレガリアに収納されはしたが───、………。
ん? 今、なんだか少し引っ掛かる事があったような……。
「ふん。それについてはまた後で聞くとする。それよりも、だ。これだけは伝えておく必要があるから言うが、さっき言ったように
「……要約すると、今のアルテラは抜け殻が動いてるようなもので、本来よりも性能が低下してる───ってコト?」
「まあ、そんなところだ。正直、さっきも敵がすぐに退いてくれたおかげで助かったと言える。ただでさえ半端な状態での現界だ。まともに打ち合うにもまだ魔力も足りないからな。……だが、決して私が抜け殻というワケではないからな?」
そう言って、面白くないとでも言うようにアルテラは仏頂面でそっぽを向く。
あらやだ、アルテラちゃんたら拗ねてるの? 可愛いんだから~。
「それにしても、さっきのサーヴァント───メドゥーサ、だったか。あの女、奴自身が言っていたように霊基が汚染されていたようだが、一体この世界は何だ? お前は何に巻き込まれている?」
あっ。そういえばアルテラは眠ってたんなら、私が置かれている状況も分からないのか。
なので、私は彼女に現状を大まかに伝えた。時間はあまり掛けていられない。早くオルガマリーたちの所に向かわないといけないからだ。
「───。なるほどな。お前、結構な不幸体質か?
ジトッと呆れたような視線で、静かに溜め息を吐くアルテラ。別に私だって望んで不幸を招いている訳ではないし、そこで呆れられるのはとても不本意だ。
……自ら困難に向かっていくだろう、だって? それはアレ。それが必要だからなのさ。
「人理修復……。アルキメデスがやろうとしていたのは、人理を操作する事で未来を確定させるという事だったが、こちらは違う。奴が
「きな臭い、か。メドゥーサはマスターが居るみたいな事を言ってたけど、もしかして誰かが過去に遡って、この時代を狂わせてる……とか?」
まさか、レフ───は、ないか。彼はあの爆発に巻き込まれている。爆心地に居る上に、重傷を負ってレイシフトするのは危険すぎる。
それに、彼が現代に居た時から特異点は存在して、異変も起きていた。なら、やはり彼は違うか。
だが、レフがテロリストであるとすれば、その仲間が特異点を生み出した張本人という可能性も……。
いや。今あれこれ考えていても仕方ない。原因を突き止めれば、自ずと真相は明らかとなる。とにかく、この特異点を引き起こしているのが何か、それを見つけなくては。
「ひとまず、仲間と合流しよう。あっちもサーヴァントに襲われてるはずなの。すぐにでも援護に行かないと」
おそらくアーチャーであろうサーヴァントは、遠距離への対抗策を持たないマシュたちに、今も大橋から狙撃をしているはず。
上手く逃げ切れているならそれで良い。だが、まだだとしたら……。
かつてのアルテラの力は無いとしても、窮地を切り抜ける一助となるかもしれない。
それに戦力としても、特異点を探索する上で大いに貢献出来るのは間違いない。
「運が回ってきた……かな? 行くよ、アルテラ!」
「ああ。私はお前の剣だ。どこへなりとも、どこまででもお前に付き従うとも」
私たちは大橋へと向けて走り出す。メドゥーサからの逃亡により、かなり距離が開いてしまったが、距離など気にせず全力で走る。
どうかみんな無事でいてくれ……!!
※注意 ちょっぴり長いので飛ばしてくださいどうぞ。それでも良ければどうぞ。
復刻クリスマス、二代目はオルタちゃん。
高難易度はAPが低コストで挑戦出来るので、何度かの試行錯誤で、
スタメン……孔明、頼光、フレマーリン
控え…………ジャック、刑部姫、ついでに余ったコストでアステリオスくん
礼装で重要だったのは頼光に持たせた『黒聖杯』限突のみ。
あとはそれぞれの特色に合ったものを適当に。
最初のスーパートナカイマン3の三匹で事故さえなければ安定して全同時討伐からの、後は頼光outジャックinと、マーリンか孔明のどちらかoutでおっきーinで安定して勝てました。
刑部姫とジャックの組み合わせはライダー相手に非常に噛み合わせが良いですね。最後は二騎だけ残りましたが、致命傷なく勝てましたし。二人とも強化解除あるのも強い。