切嗣がロビンフッドを召喚し、聖杯大戦(Apocrypha)に参戦   作:愚A

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 拙作はマルチ投稿です。
 アルカディア様にも投稿しています。


*注意点

 拙作はクロスオーバーです。

 独自設定・独自解釈有りです。

 切嗣(Zero)がロビンフッド(Extra)を召喚して聖杯大戦(Apocrypha)に参戦するSSです。

 Apocryphaのネタバレが含まれています。



 Apocryphaという作品は

「FateやZeroではシステムと展開上どうしても不可能だった、でもきっと見たかったもの……七騎のサーヴァントvs七騎のサーヴァントをやろう、ということです」

 Apocrypha1巻のあとがきより編集。


 原作が完結していないので更新は一旦停止してしまいます。
 独自設定・独自解釈という地雷で不快な気分になる、という方は読まない方が良いかもしれません。

 それでも構わないのであれば拙作をお読みください。



切嗣(Zero)がロビンフッド(Extra)を召喚して聖杯大戦(Apocrypha)に参戦するSSです。

 

 

 第1話 魔術師殺し 聖杯大戦へ

 

 

 

 

 その男――衛宮切嗣の夢は初々しかった。

 

 この世の誰もが幸せであってほしい。

 

 すべての少年が一度は胸に懐き――現実の非情さを知るうちに諦める幼稚な理想。

 

 大人になるまでに、誰もが幸せになれる終わりがないことは理解する。

 誰かの幸福は誰かの不幸に繫がる事は珍しくない。

 この世の全ての生命が、犠牲と救済の両天秤に載り、決して片方の計り皿を空にする事は叶わないと理解したとき……

 切嗣は天秤の計り手たろうと志を固めた。

 

 一人でも多くの生命を救うため、一人でも少なかった方を切り捨てる。

 手段の是非は問わず、目的の是非を疑わず、無謬の天秤たれと。

 

 救う命に貴賤はない。赤子も老人も、悪人も聖人も、事情は一切問わない。

 定量のひとつの単位。

 分け隔てなく多数を救い、同じように分け隔てなく小数を殺していった。

 

 自らを計測機械として。

 

 そして年月が過ぎ去り――。

 

 

 

 第四次聖杯戦争に呼ばれる事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 魔術協会の総本山たる『時計塔』。

 とある部屋に三人の男が集まり、今回の聖杯戦争への対策を話し合っていた。

 

 事の発端はユグドミレニア一族が魔術協会を抜け出し、自分達一族が中心となって新たな協会を結成する、という前代未聞の離反劇から始まる。

 

 笑って済ませば協会の名誉に傷が付く。

 五十人の『狩猟』に特化した魔術師で襲撃を仕掛けた。

 ルーマニア、トランシルバニア地方の外れにある都市トゥリファス。その都市最古の建築物であるミレニア城塞へ。

 だが生き残ったのはたった一人。

 そこまで一方的になるとは予想していなかった――が、差し向けた使い魔が全てを見ていた。

 

 ユグドミレニア一族はサーヴァントで迎撃をしたのだ。

 

 たった一騎であったが、腕を一振りして四十九人の魔術師は長い杭に突き刺されて殺されていた。

 

 だが生き残った魔術師がミレニア城塞の地下に眠る大聖杯を発見し、予備システムの開放に成功する。

 予備システムとは七騎のサーヴァントが一勢力に統一されたとき、もう七騎のサーヴァントを召喚可能にする対抗策。

 協会側にもサーヴァントを召喚する事が可能になった。

 

 その魔術師は捕まり拷問され、伝言役として協会へ送り返された。

 

『冬木の聖杯戦争における最重要基盤である大聖杯――第七百二十六号聖杯を、我々は第三次聖杯戦争終結後から保有している。七騎の英霊でもってこの大聖杯が起動したとき、我らは栄光への道を一歩踏み締めることになるだろう』

 

 という内容だった。

 

 ユグドミレニア一族は既に七人のマスターを揃え、残るサーヴァントを召喚し、七人全てを生贄にすれば『根源の道』を開く事が可能になる筈だった。

 しかし予備システムが開放された事で、協会側も七騎のサーヴァントを召喚し、大聖杯の確保が可能になった。

 

 協会側が用意するのは七人のマスターと七騎のサーヴァントを召喚する為の触媒。

 時計塔の名門からマスターを選ぶとなれば、魔術刻印の継承、保管、その他諸々の選定まで三ヶ月は掛かる。

 外部の魔術師――気軽に雇い入れるフリーランスの方が効率が良い、という事で戦闘に特化し、名の通った魔術師達にマスターになるよう依頼するのだが。

 

「私は反対だ」

 

 部屋に集まった三人の男の一人、ロード・エルメロイ二世は不機嫌そうに眉間に皺をよせている。

 

「『魔術師殺し』は方法が過激過ぎる。より多くの注目を集めてしまうだろう」

 

 外部のフリーランスの一人に『魔術師殺し』――衛宮切嗣が入っている事に反対であった。

 十年程前はウェイバー・ベルベットという名だったが、今はロードの名を与えられ、時計塔きっての講師でもある。

 彼が教えた弟子達だけで魔術協会の戦力バランスが崩れる、と言われるほど優れた講師であり、その発言は決して無視できない程の意味がある。

 

 反対する理由を察していた召喚科学部長ロッコ・ベルフェバン――年齢不詳の老人は、衛宮切嗣を推す理由を語る。

 

「しかし注目されすぎる点を除けば、あの男は魔術師の――否、敵の予想すらできない戦い方をする。確実に戦果を挙げてくれるだろう」

 

 それはエルメロイ二世とて承知している。

 だが協会側にも予想すらできない戦い方をされると、大規模な隠蔽工作に追われ過ぎて、大聖杯を確保する事に集中できない可能性がある。

 

 残る一人、眉目秀麗な赤毛の青年――降霊科学部長の後継者であり、時計塔で一級講師であるブラム・ヌァザレ・ソフィアリはベルフェバンに同意する。

 

「聖堂教会の監督役がどの程度の実力なのか判断できません。その穴は『魔術師殺し』で埋める事にすれば良いのでは?」

「……」

 

 今回の聖杯戦争で聖堂教会を排除して、ユグドミレニアに肩入れされても困る。協会が正統な魔術組織であることを喧伝し、聖堂教会の顔を立てるという意味も込めて監督役兼マスターが一人派遣されている。

 エルメロイⅡ世は不満ではあるが――他のマスターの不足を補うという考えなら仕方がないか、と承諾した。

 

 これにて魔術協会側が用意するマスターが決まり、ベルフェバンとエルメロイⅡ世は彼らに依頼を。ブラムは触媒の選定を引き受け、三人は別々の方向へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 協会側は触媒を全て揃え、目当ての魔術師達は聖杯戦争の参加を了承し、ルーマニア近辺に向かっている。

 

 そして6人目のマスターとして衛宮切嗣が時計塔へやって来た。

 

 ベルフェバンの私室で応接用のソファーに体を沈ませ、依頼内容を聞く。

 

「さて、聖杯戦争は世界中の魔術師に情報として拡散されているので、知っているだろうが――『冬木の』聖杯戦争の真の目的は知っているかね?」

「……知らないし、興味もない」

「『根源の渦』に至る孔を穿つための儀式だ」

「――――」

 

 予想外の答えに唖然とする。

 最後の一人を決める、最強を証明する、というのは表向きの情報であり、サーヴァント同士の殺し合いですら全く意味がない。

 七人全ての魂で大聖杯を起動し、世界に孔を穿ち、『根源の渦』に至るというのが真の目的。

 アインツベルン、遠坂、マキリの御三家しか知らなかった真相。

 

 そして今回の聖杯戦争についての事情を全て説明される。

 協会側の戦力として自分を雇いたいという。

 

 二つ返事で引き受ける事はせず、幾つか質問をする。

 

 

「七人の魂で大聖杯が起動するというのなら、こちらが五人倒しても、ユグドミレニアが二人倒せばあちらの勝利になるんじゃないのか?」

 

 通常の聖杯戦争では序盤こそバトルロイヤルだが、終盤は陣取り合戦になるというのは半ば常識と化している。

 敵サーヴァント全てを倒しても聖杯が無ければ願いは叶えられない。

 故に聖杯が安定しやすい場所を確保し、そこで最終決戦をし、聖杯の器を手に入れる事が重要になる。

 

 大聖杯はミレニア城塞の地下に設置されているという。

 ユグドミレニアは陣取りをする必要がないのだ。

 

「その心配は無用だ。大聖杯が起動するのはあくまで『一陣営の七騎の魂』であり、敵対している魂は足せないように予備システムに組み込まれている」

 

 そうでなければ予備システムの意味がない、と。

 その質問は予測していたのか、ベルフェバンは淀みなく答える。

 

「ならばユグドミレニアは七人を召喚した後、すぐ令呪で自害させれば『根源への道』が開かれるということになるが?」

「『根源への道』が開かれれば、その膨大な魔力は時計塔からでも観測できる。そこからどれだけの時間で目的が達せられるかは不明だ」

 

『世界の外側』に行って帰ってきた者はいない。帰れないのか、帰らないほど素晴らしい世界なのか、こちらの人間には判らない。

 

「孔が開いている場所にサーヴァントが令呪で転移し、宝具で妨害されれば、孔が閉じるのか、『世界の外側』からの魔力が爆発するのか、更に孔が広がるのか、予測できん。サーヴァントに邪魔をされないようにするにはサーヴァントで対抗するしかあるまい」

 

 故に敵を殲滅しなければ、安心して『根源の渦』に挑めない――という訳だ。

 

「こちら側のマスターについて情報を」

「残りの六人は既に決まって五人は現地に派遣済みだ。『銀蜥蜴』ロットウェル・ベルジェンスキー、『疾風車輪』ジーン・ラム、『結合した双子』ペンテル兄弟、『死霊魔術師』獅子劫界離、聖堂教会第八秘蹟会から派遣されたシロウ・コトミネ神父」

 

 シロウ・コトミネ以外は、いずれもこの世界で名の通った戦闘に特化している魔術師達だ。その人選に不満はない。

 獅子劫界離以外は現地でサーヴァントを召喚しているという。

 協会が用意した触媒は残り二つだけだ。

 

「令呪についてだ。先程の説明では御三家ですら一陣営に必ず一つ、三画しか配布されない筈だが、ユグドミレニアは最初から七つ、二十一画手に入れている。これはどういうわけだ?」

「やつらが大聖杯を冬木から強奪してから七十年経っている。それだけあれば、ある程度システムを変える事は可能だろう。一陣営が七つの令呪全てを独占できるようにな」

「……」

 

 それがもし本当ならば――おかしい、と切嗣に『ある疑念』が湧く。

 それに関しては指摘しない。質問もしない。しても無駄だろうからだ。

 

「予備システムを起動した魔術師の名は?」

 

 その質問は意外だったのか、ベルフェバンはやや驚きながら答える。予想通り、切嗣の知らない名だった。

 

「さて、返答は?」

「…………」

 

 切嗣の願い――恒久的な世界平和――は全ての知識があるとも、記録されているとも言われる『根源の渦、アカシック・レコード』でなら可能かもしれない。

 どれほど時間を掛け、人生を費やしても、実現不可能な願いが"叶うかもしれない"――それで十分だ。

 かもしれない、で参戦するには十分過ぎる理由だ。

 

「引き受けよう。僕のやり方に口出ししないのであれば」

「その問題は既に解決しておる」

 

 老人は満足げに頷いた。

 

「さて、触媒は残り二つだがどちらを選ぶのだ?」

 

 一つは加工された木片――円卓。アーサー王の配下である騎士たちの。

 もう一つはアタランテに関連した触媒。

 騎士か弓兵かと言われれば、弓兵なのだが――。

 

「アーチャーの触媒を貰おう」

「うむ。やはり狙撃ができるアーチャーを選んだか」

 

 衛宮切嗣の手段を問わずに標的を始末する、というやり方には当然狙撃も含まれている。

 アサシンとキャスターは他のマスターが召喚している。

 ならセイバーより、アーチャーを選ぶとは思っていた。

 

「これでマスターは七人揃った。十四騎のサーヴァントが現界するのは前代未聞、もはや『大戦』と呼ぶに相応しい」

 

 獅子劫界離は引き受けていないのだが、ベルフェバンは彼の願いを知っているので問題にしていない。聖杯でなければ叶えられない願いなのだから、必ず参戦すると確信している。

 

「ではルーマニアに飛ぶがいい。監督役と他のマスター達には連絡を入れておく。向こうからコンタクトを取ってくる筈だ」

 

 

 

 

 

 

 時計塔を去った切嗣はルーマニアに飛び立たず、戦闘準備を完全に整えるため久宇舞弥に戦略を話す。

 今度の仕事はこれまで傭兵として魔術師殺しとして、荒稼ぎした全ての財を注ぎ込む――それほどの大仕事であり、自身の願いを叶えられる唯一の機会だと。

 

 

 しかし協会の情報を鵜呑みにしている訳ではない。今回の聖杯戦争自体、『茶番』である可能性もある――と舞弥に自身が感じた矛盾を話す。

 

 切嗣を雇った側が、最初から切嗣を始末しようとしていた――という事は何度かあった。

 今回もそうかもしれないと感じたのは、予備システムを起動した魔術師と令呪についてだ。

 

 ユグドミレニア一族を殲滅する為の五十人に選ばれたのだから凡夫ではないのだろう。

 だが、歴史に名を残すほど突出した天才でもない魔術師が、大聖杯の予備システムを起動できるものだろうか?

 

 しかもユグドミレニアは"七十年も前から協会を離反する為の準備"をしていたのだ。

 令呪の配布システムを変える事ができるのに、予備システムを起動させない、あるいは起動しても敵側には半分しか令呪が配布されないようにする――という対策をしていない事に違和感を覚える。

 七十年もの時間を掛けて"一陣営に七つの令呪が配布される"というシステムしか変えられなかった――という考え方もできるが。

 

 冬木の聖杯戦争はサーヴァント全てを生贄にするという真の目的があった。

 今回も陰謀が存在していても不思議ではない。

 

 もう一つは協会側の大聖杯確保の仕方だ。

 戦争が終了した瞬間、直ちに回収部隊を動かす仕掛けくらいはあるだろうが、どちらが勝ってもサーヴァントは存在している可能性が高い。

 サーヴァントはサーヴァントでなければ対抗できないが、もう一つサーヴァントを倒す方法がある。

 令呪での自害。

 そして令呪システムを創ったのはマキリ。

 協会が既にマキリを封印指定執行者で確保し、魔術刻印を解析、全てのマスターの令呪に何らかの形で干渉できるとしたら――。

 協会の一人勝ちだが、それはまだマシな方だ。

 

 最悪なのはユグドミレニアと協会が裏で組んでいた場合である。

 その場合、協会に雇われた外部の魔術師六人は、二つの組織と戦う事になる。

 

 その最悪な状況になったときの対策を舞弥に話す。

 

 令呪に干渉されたときの対抗手段として、自己強制証文(セルフギアス・スクロール)で自身のサーヴァントを縛る。どれほど効果があるかは不明だが――何もしないよりは良い。

 

 自己強制証文(セルフギアス・スクロール)を成立させる難しさは、縛る対象に『自分の意思』で契約させる事にある。

 同じ人間ならば拷問、人質、脅迫という手段で契約させる事は可能だが、サーヴァントにその手の方法は通じない。

 令呪でならば無理矢理契約させる事はできるだろうが、令呪自体が貴重な戦力だ。

 空間転移や通常では不可能な精密な狙撃も、令呪を使えば可能であり、不利を覆せる。

 

 令呪による強制契約は最後の手段にして"協会やユグドミレニアの陰謀に対抗する為に令呪とは違う契約をした方が良い"とサーヴァントに事情を説明する。

 

 自分と同じくメリット・デメリットを計算し、誇りや感情で動かない英霊が望ましい。

 その為に切嗣は触媒を使わずに召喚し、精神性が類似している英霊と契約するつもりだ。

 アタランテの触媒を選んだのは、聖杯戦争開催地に魔術師が触媒を持って行けば、令呪が配布されるからであり、協会を少しでも騙すためでもある――いずれ見破られるだろうが。

 

 

 そして二つの組織と戦う事になる最悪の場合だが――その対策を話した瞬間、舞弥といえども驚愕した。

 だが、確かにそれぐらいしなければ生き残る事は不可能だろう、と舞弥も頷く。

 

 その準備をさせるため、舞弥はルーマニアに連れて行かない。

 舞弥に話すべき事、してもらう事を全て話した切嗣は、まずサーヴァントを召喚するためにルーマニアに飛ぶ。

 

 

 

 

 

 

 飛行機の中でベルフェバンから渡された聖杯戦争に関する文献を読み込むだけでなく、監督役が魔術協会に提供した、過去の聖杯戦争の詳細な情報も切嗣は求めた。

 

 召喚すれば判る事だが、その前にサーヴァントの情報が欲しかった。

 身体能力やスキルによる効果、宝具の種別、七つの基本クラスそれぞれの特性。

 特に知りたかった事は、サーヴァントから逃げ切れる可能性。

 切嗣にとっての最悪な状況――それはサーヴァントとの遭遇だ。

 万が一遭遇してしまった場合、どのクラスなら逃げやすいか、逃げられないか。

 

 

 過去の聖杯戦争でのライダーのクラスは、当然の如く幻獣を召喚し空を駆けるのだが、その速度は平均して時速400㌔から500㌔前後だという。

 やはりライダーのクラスから逃げ切るのは不可能だ。

 が、他のサーヴァントはバイクや車で逃げ切るのは可能だと判っただけでも良い。

 

 他のサーヴァントの"移動し続ける速度"がライダーのクラスの半分も有れば、逃げ切る事はできない。霊体化して時速200㌔以上で追われれば、どれだけ上手く運転してもいずれ捕まってしまう。

 しかし本当に、ライダーのクラスの半分もの速度を出す事ができるなら――魔力を消費する幻獣を召喚して、他のサーヴァントのたかが倍程度の速度では――ライダーのクラスは聖杯戦争で最大の外れクラスになってしまう。

 

 故にライダー以外のクラスから逃げ切る事は可能であり、ライダーに追われれば令呪で自身のサーヴァントを召喚するしかない――と判っただけでも良い情報だった。

 

 

 

 

 

 

 

 飛行機がルーマニアに到着し、予想通り令呪が発現した。

 

 ルーマニアの首都であるブカレスト。ビジネスホテルに毛が生えた程度の安宿を隠れ家の一つとして、切嗣はサーヴァントの召喚を此処でする。

 まだ陽は沈んでいない。しかも利用者が多いホテルで。

 

 だが、人払いの結界という魔術がある。術者以外誰もいない場所で発動すれば、魔術に縁の無い一般人の侵入を防ぐ魔術。

 ホテルの部屋にも適用されるが、最初から人が居る場所――他者の部屋――にこの魔術を使っても人がいなくなる事はない。

 人払いの魔術を使った瞬間、蜘蛛の子を散らすように人々がいなくなるほど強力であれば、朝でも昼でも、人々が殺到している場所でも魔術を使い放題だ。

 無論、聖杯戦争も夜に限定しなくてもよくなる。

 

 しかし、そこまで強力ではないため、切嗣の部屋だけに使う。

 人払いの魔術で部屋に近づく者はいないだろうが、サーヴァント召喚儀式には相応しくない時間と場所だ。

 それでも実行するのは、"今回の聖杯戦争のみ使える策"をするには夜までに召喚する必要があるからだ。

 

 

 床に魔方陣を描き終え、触媒も無しに召喚の呪文を詠唱する。

 

「――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――――!」

 

 魔方陣から溢れ出る膨大な風と光。

 召喚に成功し、マスターとしての透視能力でサーヴァントのステータスが切嗣の意識に流れ込む。

 白煙で包まれている召喚陣から、緑の外套と衣装に身を包んだ痩躯の男が姿を現す。

 

 英霊としての"輝き"はない。

 

 人々に語り継がれたわけではない。歴史に名を残す偉業を成し遂げたわけでもない。

 

「――召喚により参上した」

 

 結果を出すために手段を選ばなかった狩人。

 

「――サーヴァント"赤"のアーチャー」

 

 英雄ロビンフッドの名を借りた無銘の英雄。

 

「――アンタがオレのマスターか?」

 

 手段を問わないサーヴァントとマスターが――聖杯大戦に挑む。

 

 

 

 





 拙作を読んでくれてありがとうございます。

 独自解釈・独自設定が多く、もし不快な気分になった方がいるなら申し訳ございません。
 

 さて、触媒なしで召喚して、何でロビンフッドなの? エミヤだろう、と思っている方はいると思います。

 原作のApocryphaが完結するとエミヤ、切嗣が参戦するSSが必ず出て来ると思われます。
 この二人が同時に参戦するSSも。
 しかし、切嗣とロビンフッドが参戦するSSは(恐らくは)誰も書かないんじゃないかなーと。
 だったら自分が書いてみようと、そんなメタ的な理由でロビンフッドが召喚されることになりました。


 しかし、原作1巻の終盤のバトルで、赤のアーチャーがエミヤで、Fateでも投影したデュランダルを使ったら……黒のライダー、アストルフォは驚くだろうなーとか。
 『触れれば転倒(トラップ・オブ・アルガリア)』を投影して当たればもっと驚くだろうなーとか。
 エミヤが参戦するSSの方がおもしろいかも、と思ってしまい……第1話最後の召喚シーンでエミヤが召喚されたパターンのSSも書く……予定です。
 あくまで予定です。
 先に拙作を完結させてからですが。

 Apocrypha関連のSSは、あと二つ書く予定です。

 ではまた。
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