政宗家と仮面ライダーの日常   作:名もなきA・弐

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 寒くなってきたので雪のお話を一本…サンタの話も何れは書きたいです。


色々文句言うけど、いくつになっても雪ってテンション上がるよね

冬の寒さが続き、政宗家が存在するこの世界では猛吹雪に見舞われていた。

多くの市民たちが除雪作業に興じる中、ある程度まで済んだところで防寒着に身を包んだ一人の女性が口を開く。

 

「みんなー。今年の冬は異常気象か分からないけど、結構雪が降りました……が」

 

地面や屋根に積もった雪のような白銀の長い髪をニット帽で隠しながら、元臣の妻(良くあんな男と結婚出来たものである)である『政宗芽亜莉』が言葉を続ける。

曰く「雨が降ったら行水」・「槍が降ったらバンブーダンス」とのことで、どんな時でも楽しむ余裕を忘れないのが心意気……。

 

「…ってなわけで、政宗家主催!『第一回チキチキ雪祭り!』開催決定っ!!」

 

そんな夫に負けず劣らずの童心を持った彼女が主催の元…士たちを含む多くの人間が周囲の雪を集め、それぞれの作り方で雪像を作っていたのだった。

ちなみに元臣は風邪を拗らせたため部屋で療養中である。

 

「士っ、雪持って来たぞっ!」

「こんだけあれば、雪像の一つも作れるでしょ」

 

その大会に参加している士は器用に手袋をはめた両手で雪像を作っていると、大量の雪を運んでチームメイトであるユウスケと愛奈(無論防寒対策はしている)が合流する。

「そこに置いてくれ」と目を向けることなく口を開いた彼の言う通りに雪を運ぶために使用したリヤカーを置く。

 

「結構、みんなすごいの作ってるわね」

「妙に色っぽかったりSAN値が0になるような作品とかもあるけど…まぁ、良いか。それで俺たちは一体何を…」

 

意外にも多い参加者たちを見渡しながら、ピンク色の耳当てを装着した愛奈が楽しそうに話すと、ユウスケも女性の雪像や形状し難き雪像にツッコミそうになりながらも首に巻いたマフラーを翻して答える。

そんな中が何を作っているのか聞こうとすると、ドサァ!!

 

「まぁ、こんなとこか。後は真ん中に棒を立てて…」

「「小説削除されるううううううっ!!」」

 

完成した雪玉を置いてそう呟いた士の端には同じサイズの雪玉がもう一つあり、彼の言葉と二つの雪玉から見当がついた二人は雪玉の一つを思い切り蹴り飛ばした。

 

「おい、何してくれてんだ。俺がその左の玉を作るのにどれだけ苦労したのか分かってるのか?」

「お前こそっ、そんなことしたらこの小説に何のタグが付くのか分かってるのか!?」

「士さーん」

 

愛奈とユウスケの蛮行に士は自分の肩を揉みながら呆れたように話す。

そんな彼とは対照的にユウスケは食って掛からんばかりの勢いで詰め寄るが、聞き覚えのある女性の声に首を向ける。

そこにいたのは水色の和服の上に分厚いコートを羽織った水色の髪を纏め上げた女性…ユウスケの妻でチームメイトの『小野寺葵』だ。

 

「棒の方出来ましたけど…」

「嫌あああああああああああっっ!!何持ってんだ、葵いいいいいいっ!?」

「捨てなさいっ!良いから早く捨てなさいっ!!///」

 

雪で出来た大きめの棒を両腕で抱えて純粋な笑顔で尋ねる彼女の姿を見たユウスケは涙目に、愛奈は頬を染めながら叫ぶ。

 

「はぁ?ユウスケ、愛奈。お前らは何を勘違いしているんだ?これはあれだ、『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲』だよ」

「いやっ、アームストロング二回言ったしっ!あるわけないだろ、そんな卑猥な形をした大砲っ!!」

 

無駄に長い名前の雪像に、ユウスケは心の底からのツッコミを行うが当の本人は何処吹く風であり首に掛けてある二眼レフカメラでその表情を撮影する始末だ。

 

「…たく、お前らみたいな熱血漢や中二病は、棒とか玉があればすぐにそっちの話題に持っていくんだからな」

「最低です、ユウスケさん。しばらく私に話しかけないでくれません?」

「じゃあ一体何なのよ、それ」

「調子はどうだ、お前たち」

 

そう言いながら卑猥な物体…もといネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の雪像作りを再開する士と葵。

その際、妻でもある彼女の天然毒舌にユウスケが心折れそうになっている横で愛奈は眉間を揉む。

すると、そこにトレンチコートを着た清潔そうな印象を持つ男性と赤いロングコートを着た茶髪の笑顔が似合うイケメンが現れる。

 

「少し様子を見に来ましたよ」

「あっ、ショウイチさんに『テツヤ』さん!ちょっと聞いてくださいよっ、あの二人がとんでもない物を!」

 

トレンチコートの男性は『芦川ショウイチ / 仮面ライダーアギト』、もう一人はショウイチの年の離れた弟である『芦川テツヤ / 仮面ライダー???(ネタバレ防止のため伏字)』…何れも士たちと共に戦った仲間だ。

 

 

「何だ一体?ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃないか」

「「えっ」」

「完成度たけーなおい」

「ええええええええええっっ!!何で知ってんの!?あんのっ、マジであんのっ!?俺だけ知らないの!?」

「私も知らないわよっ!!」

 

ショウイチが士たちの雪像…ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の名前を噛むことなく言い、テツヤが称賛の声をあげる。

一方のユウスケたちは二人がこのような猥褻物を知っていることに驚きと混乱を隠せない。

そんな中、雪玉を作っている葵の横で士が静かに語り始める。

 

「この世界のシンボルを消し飛ばし、大混乱に陥らせた最悪の決戦兵器…それがこれだ」

「何っ、こんなカッコ悪い大砲でパニックになったのこの世界っ!?」

 

ドヤ顔で語る彼にツッコミを入れるのは、長い付き合いとなっているユウスケで愛奈に至っては頭を抱えることしか出来ない。

そんな常識人を無視して、士はあることをショウイチたちに尋ねる。

 

「それより、お前もこの大会に参加するのか?」

「まぁな。グランプリを取ったら、賞金が出るらしいしな」

「少しは息子に自慢されるような父親になろうと思って…ほら、あそこ」

「……て、うおおおおおおおおおおっ!?」

「何これっ、良く分からないけど凄いじゃないっ!!」

 

霞の質問に答えながらショウイチが指さした場所には、羽が付いた全裸の男性が片足立ちで両腕を上に伸ばしている雪像があり、それを見たユウスケと愛奈は驚く。

照れながら言い訳するように雪像のことをショウイチは説明する。

 

「いやいやっ!そんな大したもんじゃないっ!!俺は結構凝り性でなっ、だからこう止まらなくなって……ちなみにタイトルは『飛翔(仮)』」

「いやっ、凄いですよこれっ!?」

「ショウイチさんがモデルなの?」

「んっ?ま、まぁ愛情入れ過ぎて、俺の方に似てしまったと言うか…」

 

デザインこそあれだが完璧なバランス感覚の雪像に肯定的な感想を口にするユウスケ。

雪像のデザインについて尋ねる愛奈に答えようとしたショウイチだったが、それに文句を言うのは士だ。

 

「お前にしては筋肉質だな…この辺そぎ落としとくか」

「ちょ!!何してんですかっ!?勘弁してくださいよっ!その雪像は凄い微妙なバランスで立ってるからっ!?」

「へぇ、そう言う中途半端なところも似てるんだな」

「あれもショウイチさんと似ているのですか?」

 

スコップで足をそぎ落とそうする彼に悲鳴に近い声をあげるテツヤに冷ややかな視線を向けており、皮肉るようにある部分を見せる。

それに続くように葵が小首を傾げながら、天然気味に氷で出来ている股間部(モザイクレベルの規制)に指を向けた。

 

「ああああああああああああっ!!駄目っ、そんなところに指を向けちゃあっ!!」

 

天然ながらもかなり危ない言動に慌てながらユウスケが股間部分を見せないように両手で目を覆い隠すと、チャンスとばかりに士がクレームをつけ始める。

 

「ちょっとちょっと、うちのチームメイトに何汚い物見せてくれてんの?」

「待ってくれっ!!これは芸術的な意味であってだな!!ほらっ、美術の教科書でもあっただ…」

「畜生がああああああああああああっっ!!!この小説を削除なんかさせねーぞっ!!」

「おいいいいいっ!何処に雪玉ぶつけてんのっ!?」

 

必死に言い訳をしようとするショウイチの言葉を最後まで聞くことなく雪像の股間部分に大量の雪玉をぶつけ始める。

途中から葵と愛奈(妹に汚い物を見せた断罪)も加わり、マシンガン並の勢いに悲鳴に近い声をあげるテツヤだが、彼らの渾身の雪玉がヒットした瞬間、叩き折れてしまう。

 

「あああああああっ!俺のマジでダンディなお稲荷さん(略してマダオ)がああああああああああっ!!」

(((刺さったぁああああああああああああああああああああああああっっ!!)))

 

叩き折られた雪像の一部は高速回転をしながら宙を舞い、やがて遊女を模した雪像の頭部に突き刺さってしまう。

しかも、その雪像を作っていたチームは刺青が彫ってあったり顔に傷があったりと少しガラの悪い方々であり、ユウスケたちは絶句するしかない。

 

「ごらあああああああああっっ!!人の雪像に、何汚ねぇもんさせとんのじゃあああああああっ!!」

「うわわっ!!ち、ちょっと落ち着いて…!!」

 

リーダーらしき男が眉間に青筋を浮かばせながら、怒声と共にメンバーで襲い掛かってくる。

必死にテツヤが場を落ち着かせようと前に出た瞬間。

 

【FINAL ATACK RIDE! DE・DE・DE・DECADE!!】

「…ほらよっ!!」

『えええええええええええええええっっ!!?』

 

いつの間にか変身していたディケイドがエネルギーを纏ったキックで雪像の片脚部分を何の躊躇いもなく粉砕したのだ。

葵を除く全員が絶叫する中、支えを失ったショウイチたちの雪像が前に倒れていくと、そのままチンピラたちを蹴散らしたのだった。

ちなみに、雪像自体は奇跡的に無事でありチンピラたちが作っていた遊女の雪像にもたれ掛かった状態となっていたため、タイトルを『奥さんっ、ねぇ良いでしょ奥さんっ』に改変させられていた。

「良い作品ですね?」とフォローしようとする芽亜莉に対して、ショウイチはテツヤに慰められながら気落ちした様子で「そうか」と答えるのであった。

 

 

 

 

 

一方、再び制作作業を始める士に対して愛奈が説教を始めていた。

途中から参戦してしまったが、それでも責任の重さ…というか十中八九士が原因で意図的に雪像を崩したことに怒りの声をあげる。

当の方人は「インスピレーションが湧いた」と呟くや否や、翼を取り付けており隣で葵が感激している始末だ。

 

「だから、わざとじゃねぇよ。考えてもみろ、あれを放っておいたら色んな人から苦情が来るぞ」

「あんたたちが作っているのも、苦情ぎりぎりラインなのよっ!!」

 

まるで当然のように他人のアイディアを奪う破壊者と天然過ぎる自分の妻に対してユウスケが呆れてため息を吐くと、タイミングを狙ったかのように後ろから声を掛けられる。

 

「おっ、ユウスケたちじゃん。お前らも参加する感じ?」

「晴人っ!それにワタルまでっ!!」

 

黒いロングコートに手の形を模したバックルが特徴の青年『操真晴人 / 仮面ライダーウィザード』と黒いジャケットに青いマフラーを首に巻いたワタルが現れる。

 

「へぇ、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃないか。完成度たけーなおい」

「だから何で知ってるのよっ!?」

 

なぜか卑猥な兵器(?)を最後まで言える魔法使いに対して愛奈が鋭いツッコミを入れる。

その間にも、ワタルが解説を始める。

 

「別名『神速の雷光』…かつてとある世界で地獄の七日間を引き起こした圧倒的破壊力を持っている…」

「今現在でも、大ショッカーが所持しているとされる禁断の兵器だ」

「さっきと話違うんだけど」

 

先ほどの説明とは違うことを指摘するのだが、それを無視して葵が二人に尋ねる。

 

「もしかしてお二人も参加しているのですか?」

「ああ、ちょっとした細工付きでね」

 

「ほら」と指をさした方向に向けると、そこにはプラモンスターのレッドガルーダを模した可愛らしい鳥の雪像があり、口から続くように氷で出来た滑り台が設置されている。

まだ製作途中であるため、シンジや翔太郎&フィリップが丁寧な動作で雪像に手を加えて微調整を図っている。

アミューズメント化していることにユウスケと愛奈はショウイチたちの雪像以上のリアクションを見せる。

 

「こーいった物は子どもを楽しませるためにあるからな」

「まだ完成途中だし、何なら遊んでも良いぜ」

 

自慢げにそう告げた晴人とワタルだったが、気づくことは出来なかった。

既に士が葵に要らぬ知恵を与えていることに…。

 

「ロッククライミング的な?」

「遊び方が違うっ!それ滑り台っ!」

「ヒュ~!♪」

「「それで滑るなああああああああああっっ!!」」

 

いつの間にか履いていたロッククライミング用の靴で滑り台を上るのを見て、晴人が青ざめた表情で指摘するのだが、純粋な笑顔で思い切り滑る。

無論、二人は悲痛な叫びをあげるのだがこれでは終わらない。

 

「おい翔太郎、これ階段何処にあるんだ?」

「あくまでロッククライミングっ!?明らかに階段を途中まで上がった形跡があるじゃねーかっ!!」

 

一方では士がロッククライミング用の釘を両腕に持って雪像を傷つけながらよじ登っており、微調整をしていた翔太郎が鋭いツッコミを入れる。

傷だらけになった滑り台を見て慌てて晴人が駆け寄る。

 

「やっば!すぐに磨いて…て、お前ええええええええええええええっっ!!?」

 

滑り台の修復作業に移ろうとする彼の邪魔をするように士が先ほどの靴を履いた状態で滑り落ちてくる。

彼の行動と、葵の天然行動から晴人のチームはようやく全てを理解する。

 

「さてはグランプリのために俺たちを蹴落とす気かっ!?そう簡単に行かないっての!」

「…て、晴人さんっ!!今、滑り台なんかに乗ったら…」

「えっ…あっ!ああああああああああああああああああっっ!!!」

 

見事回避した晴人は滑り台の上へ華麗に着地するのだが、ワタルが声をあげる。

ダメージが入っていた滑り台は彼とワタルを巻き込みながら悲鳴をあげるのであった。

ちなみにこの後、キバットに尋ねられた際は「バンジージャンプ一択」とやさぐれた声色で晴人とワタルが言っていたが気のせいだろう。

 

 

 

 

 

士たちのチームは作っていたネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の雪像に翼を付けたのだが、「天才的なインスピレーションが湧いた」と言って棒の部分に滑り台を設置する。

それを見て葵が関心するというデジャビュに頭を抱えていると、もはや一種のパターンとなっているのかサファイアようなロングヘアーを一本にまとめたコートを羽織った女性『剣立京香』が現れる。

 

「やっぱり、いたんだ。みんな…あれ?ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃないですか、完成度たけーなおい」

「もう原型留めてないのに何で分かるんですかっ!?」

 

原型すら留めていない士たちの雪像を見て長い名前を口にする彼女に条件反射でユウスケがツッコミを入れるが、気にせず彼女は言葉を続ける。

 

「バカ面した本当にしょうもないアームストロングですね」

「何っ、結局何なのアームストロング砲っ!?」

「そんなことはともかくとして…せっかくだから見てくれませんか?結構凝った作品にしたので」

 

愛奈の渾身のツッコミを無視するように京香は自分のチームの作品を見せる。

ショウイチや晴人のチームといった今までの雪像よりも大きく、「雪の城」と呼んでも差し支えのない代物だった。

左右に滑り台が設置されており植物とそこに佇む姫君といった何処か神秘的なモチーフになっている。

見ればシンジと彼の妻である『辰巳加奈子』がいたため、十中八九彼女のおかげだろう。

それでも形にしたのはカズマたちの尽力もあるが、破壊する気も起きなくなるほどの完成度の高さに士を全員を呼んで本音を吐露する。

 

「は、恥ずかしくて見せることすら出来ないっ!!俺ら今まで何やってたのっ、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲って何っ!?あんなのただの猥褻物じゃねーかっ!?」

「あ…本音言っちゃったよついに」

「もう隠すことすらしなくなったわよ」

 

小声で自分が今まで必死に作ったり小細工を施していた雪像に対してツッコミを入れながら絶句する士にユウスケと愛奈がドライな意見を口にする。

「じゃあどうするんですか?」と尋ねた葵への答えは、逃走だった。

恥をかく前にこの場から退散することを選んだ彼らは、この場からなるべく音を立てずに離れようとする。

 

「何処行くんですか?もうちょっと私たちの雪像を…えっ、きゃああああああああああああああああああああああああああっっ!!!///」

『っ!?』

 

逃げる士たちを京香が引き留めようとするが、自身の雪像にある何かを見つけてしまったのか頬を赤らめながら悲鳴を上げる。

慌てて振り向き、顔を真っ赤にした彼女が指した方向は雪の城の隣にある女性を模した雪像…その額にモザイク必須の氷で出来た雪像が取り付けられていた。

突然の事態に京香は顔を赤らめて悲鳴をあげることしか出来ていなかったが、士たちには心当たりがあった…正確には、心当たりしかない。

 

「あーひゃひゃひゃひゃひゃひゃっっ!!!何がグランプリだっ!?そんなものはなぁっ、雪像壊してしまえば元も子もなくなるんだよっ!!」

 

自慢の雪像を滅茶苦茶にされた挙句、卑猥な雪像へと改悪させられたショウイチもとい…シャイニングフォームに変身したアギトだった。

怒りが頂点に達しているのか、やけくそになっているのかは定かではないが明らかに正気ではない彼はあれを模した雪像の一部分を雪玉にして渾身の力で投げつける。

 

「どうせ雪なんてっ、時間が経てばみんな溶けるんだよっ!全て消えろおおおおおおっっ!!うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっっ!!」

「ショウイチ兄っ、落ち着いてっ!!」

「きゃああああああああああ!!変態よっ、変態ぃっ!!」

 

発狂した笑い声を発しながら、他のチームの雪像に雪玉を投げつけるアギトを必死にテツヤが羽交い絞めにするが勢いは止まらない。

あまりの蛮行に悲鳴をあげる女性メンバーと、とんでもない光景に沈黙することしか出来ない士たち。

だが、騒ぎはこれだけでは終わらない。

 

「何を無駄なことやってんだよっ!!滑り台なんて作ったってなぁっ、そんな古い遊具に誰が好き好んで滑るかぁっ!!」

「ふざけんなよごらぁっ!!」

【チョーイイネッ! SPECIAL! SAIKO-!!】

『待てっ、ワタ…んががっ!【ドッガハンマー】!!』

 

トパーズの宝石を模した仮面に胴体にドラゴンの顔を模した魔法使い…ランドドラゴンがスペシャルリングで地震に宿るファントム…ウィザードラゴンの爪であるドラグヘルクローを具現化させ、キバはバックルに下がっているキバットに無理やり紫のフエッスルを吹かせて両腕と上半身に重厚な紫の鎧を纏ったドッガフォームへと姿を変える。

 

「滑り台なんてなくなっちまえっ!!」

「全部折れろぉっ!!」

「「世界中の滑り台は全部折れろおおおおおおおおおおっっ!!」」

 

そう叫びながらウィザードはドラグヘルクローを滑り台に突き立て、キバはドッガハンマーを叩きつけて滑り台の破壊活動を開始する。

彼らの行為を見てスイッチが入ったのか、参加者一同が雪玉をぶつけたり、雪像の壊し合いを始めてしまう。

その様子にシンジが諦めたようにため息を吐くが、ふと後ろを見ると精霊術で蔓を操っている京香が近くにあった雪像を持ち上げる。

 

「認めないっ、絶対にグランプリを取るっ!!高級アイスクリーム百個っ、チームのみんなで山分けするって約束したんですううううううううっっ!!」

 

怒りの形相で叫びながら、喧騒の中へとその雪像を思い切り投げ捨てたのだ。

混乱極まる状況の中、彼女の口にしたあるキーワードに士が反応する。

 

「高級アイスクリーム百個…おいおいっ、賞金が出るって聞いたからこっちは必死に動いたってのに……あんの婆っ!!人を騙しやがってええええええっっ!!!」

【KAMEN RIDE! DECADE!!】

「舐めんのも大概にしろおおおおおおおおおっっ!!」

 

士はディケイドへと変身するとネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を構成していたボール二つを手に取り、とうとう非常識な空間に堪忍袋の緒が切れた愛奈がパーツの一部分であった棒を持つと、喧騒の中へと乱入する。

そうこうしている内に会場はほぼ雪や精霊術を利用したバトルロワイアル状態になっており、参加者の一人だったオーズのセイシロギンコンボが暴れればライジングアルティメットフォームに超変身したクウガが両手サイズの雪玉を投げつけ、それにヒットしたブラスターフォームのファイズの仇を打つべくブレイドがキングフォームへと変身して突貫するのであった。

 

 

 

 

 

遠くからその喧騒を眺めている芽亜莉は楽しそうに微笑む。

全員が全員、自分の好きなように動いているのが楽しくて仕方がない…一見するとカオスだが彼女は「平和だな」と思いながらデジタルカメラでその喧騒を写真に収める。

 

「お祖母様」

「んー、どうしたの杏ちゃん?」

「お父さんたちは、何をやってるの?」

 

声を掛けてきたのは自分の隣にいた少女…剣立杏が心配そうに声を掛ける。

彼女を含む子どもたちは部屋でゲームなりお汁粉を食べるなりしていたので、恐らく喧嘩か何かと勘違いして外に出たのだろう。

雪に埋もれているユウスケとカズマを見ながら、彼女は不安を和らげるように頭を撫でる。

 

「う~ん……祭り、かな♪」

 

そう満面の笑みで微笑むと、芽亜莉は再度デジカメで写真を撮るのであった。

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