バディファイト! ~フューチャーヒーローズ~   作:雪咲

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 『魔法少女クリスタ』は結ちゃんが変身した姿。
 《宝石魔女 クリスタ》はカードで変身する姿。

 ちょっとだけ、違うのです。


第3話「宝石魔女クリスタ」

 お互いにデバイスを展開し、ファイトの構えをとる。

 

「煌めく光は少女の希望! ルミナイズ、『輝石魔法少女団』!」

 

「拘束解除、例外処理を実行。ルミナイズ、『SYSTEM:ECLIPSE』」

 

「「バディファイト、オープン・ザ・フラッグ!」」

 

「ヒーローワールド! バディは《MD(マスコットドラゴン) オリハルコン》!」

 

「特殊フラッグ、『プロジェクト・DDD』。バディは《黒き太陽 C・アジ・ダハーカ》で御座います」

 

 私のバディには見たこともない空色のドラゴンが、相手の場には三つのDが描かれたフラッグと巨大な三つ首の機械竜が現れた。

 

「『プロジェクト・DDD』……?」

 

「気を付けて、結ちゃん! 奴は見たこともないフラッグを使うわ!」

 

「では説明いたしましょう。特殊フラッグ『プロジェクト・DDD』は全てのワールドの[太陽竜]・[黒竜]・[ネオドラゴン]のみが使え、手札は5、ゲージは1.ライフ15から始めさせて頂きます。……もう一つ能力がありますが、それは実際に見て頂くのが良いでしょう」

 

「ライフ15……!?」

 

 普通のフラッグのライフの1.5倍!? そんなたくさんのライフ……ううん。削り切れる、絶対!

 

「私のターン、チャージ&ドロー! ……《ハイパーエナジー》! そして私は新しい私に生まれ変わる、ゲージ2を払って【変身】――! 《宝石魔女 クリスタ》っ!」

 

 今は元々『宝石魔女クリスタ』の姿なので、見た目の変化はない。けれど、私の中には新しい力が宿っている。

 

「私はヒーローW・サイズ2・攻撃力5000・防御力5000・打撃力2、【ソウルガード】を持つ、魔法少女/ヒロインのモンスター。それに登場時効果でデッキから、[魔法少女]の魔法か必殺技を手札に加える事ができるの。私は《その輝きを重ねて》を手札に」

 

「それが結様の本当のお姿ですか」

 

「……? 私はゲージをそれぞれ1払ってライトに《宝石魔女ルビー》、レフトに《宝石魔女サファイア》をコール。更にルビーの効果でゲージ1を払って[魔法少女]の魔法に反応して1ダメージを与える効果を起動するね。そして《その輝きを重ねて》! 2枚ドロー、1ダメージ、1ドロー!」

 

 倉野竜誠

 ライフ15→14

 

「っ! ですがこのフラッグにとって、1ダメージ等蚊に刺されたに等しいのです」

 

「そうかな? 何事も積み重ねだと思うの、キャスト《輝きの共鳴》! 場に魔法以外の[魔法少女]が3枚あるから3つの効果が選べる! ゲージ+1、ライフ+1、1枚ドロー! 更にルビーで1ダメージ!」

 

 倉野竜誠

 ライフ14→13

 

 新代結

 ライフ10→11

 

「私で攻撃!『ブリリアント・カッター』!」

 

 ステッキを振った瞬間に放たれる光の斬撃が、竜誠のライフを削る。

 

 倉野竜誠

 ライフ13→11

 

「これで私はムーブエンド」

 

 新代結

 手札5/ゲージ2/ライフ11

 

 倉野竜誠

 手札5/ゲージ1/ライフ11

 

 

「……まさかここまでライフを減らされるとは思いませんでした。しかし、まだライフ10すら至っておりません。私のターン、ドロー。チャージ&ドローで御座います。まずはライフ1を払い、センターに《必殺の型 バルドラゴン》をコール。“バルドラゴンフォーズ!”でゲージを+3」

 

 倉野竜誠

 ライフ11→10

 

 目の前の太陽の力によって竜誠の力がどんどん高まっていく。

 

「一気にゲージ5になった……。で、でも【対抗】でルビーの効果を起動するよ」

 

「特定の魔法を使えばダメージ1でしたね? 構いません、真打と参りましょう。センターの《必殺の型 バルドラゴン》をドロップゾーンに送りゲージ3を払ってバディコール、《黒き太陽 C・アジ・ダハーカ》です」

 

 倉野竜誠

 ライフ10→11

 

 バルドラゴンが漆黒となって消えてゆき、代わり現れたのは三つ首の機械竜。……うん? このカード、よく見たらサイズ4だよね?

 

「なんでサイズ4の《黒き太陽 C・アジ・ダハーカ》が場に出せるの!」

 

「《黒き太陽 C・アジ・ダハーカ》はダークネスドラゴンW・サイズ4・攻撃力10000・防御力10000・打撃力2・【ライフリンク3】を持つ、太陽竜/神/カオスのモンスター……ですが、特殊フラッグ『プロジェクト・DDD』により、バディモンスターはどのような状況でも『サイズ3』として扱われます。つまり、このコールは有効なのです」

 

「『プロジェクト・DDD』といい、そのカードといい、無茶苦茶じゃない!」

 

「これを渡した主様は固定概念に囚われないお方でしてね。素晴らしい力でしょう? ――ですが、主様の悲願には未だ足りない。この様な借り物の力では。……少し喋り過ぎましたか、アタックに移りましょう。このカードの能力“イラージュオブエスカトロジー”には攻撃対象以外の相手モンスターにも同時に攻撃ができるのですよ。さあ、存分に暴れなさい!」

 

『我が眼前に立てる者無し、イラージュオブエスカトロジー!』

 

「……っ! ゲージ1でキャスト、《マジカル・シールド》! 攻撃を無効にしてライフを+1、更に魔法少女に【変身】してるから1枚ドロー!」

 

「防ぎましたか。しかし、このアジ・ダハーカには自分の攻撃が無効化された時、スタンドできる能力があります」

 

「嘘!? ……でもルビーとサファイアの効果! ダメージ1と1枚ドロー!」

 

 新代結

 11→12 

 

 倉野竜誠

 11→10

 

「もう1度です。アジ・ダハーカ!」

 

『イラージュオブエスカトロジー!』

 

「きゃぁああああ!」

 

 三つ首から放たれる光線に、ルビーも、サファイアも消えていく。そして、それは私のライフをも貫いた。

 

 新代結

 12→10

 

「これでムーブエンドです。……果たして、結様はこの《黒き太陽 C・アジ・ダハーカ》を倒せますかね?」

 

 新代結

 手札5/ゲージ1/ライフ10

 

 倉野竜誠

 手札4/ゲージ2/ライフ10

 

 目の前には攻撃力・防御力共に10000の壁として存在するアジ・ダハーカ。対して私のデッキは連携攻撃など、あの防御力を超える方法は少ない。

 

「でも、倒して見せる! 私のターン、ドロー。チャージ! & ドロー! もう1回、《ハイパーエナジー》!」

 

「ここで《ハイパーエナジー》! 結ちゃんの引きがここに来て良くなってる!」

 

「待ってて、百花ちゃん。私はライトに《宝石魔女エメラルダ》、ゲージ1を払ってレフトに《宝石魔女サファイア》をコール。そしてキャスト、《その輝きを重ねて》! ゲージ1で2枚ドロー、エメラルダでゲージ+1、サファイアで更に1枚ドロー! ……来た! ゲージ1でセンターにバディコール、《MD オリハルコン》!」

 

 新代結

 ライフ10→11

 

 カードから出てきたのは透き通った空色の小さなドラゴン。オリハルコンだからなのか、空中にふよふよと浮いている。そのオリハルコン――長いからハルにしよっか――はこちらを向いた。

 

『初めまして、ボクはオリハルコン。未来からやって来たんだ』

 

「初めまして。長いから、ハルって呼んでもいい? これからよろしくね、ハル」

 

『うん、一緒に頑張ろう! クリスタ!』

 

 私の姿を見て、クリスタと勘違いをしているみたい? ……ファイトが終わったら、私の本当の名前を教えなきゃ。間違っては無いんだけど。

 

「《MD オリハルコン》はヒーローW・サイズ0・攻撃力2000・防御力1000・打撃力1、マスコット/ドラゴンのモンスターだよ」

 

「結ちゃん、センターにモンスターを埋めたら――! ……いいえ、結ちゃんはそれくらい分かっているはず」

 

「《AP増幅装置》を設置して、まずは3体で連携攻撃!」

 

 《宝石魔女エメラルド》&《宝石魔女サファイア》&《MD オリハルコン》

 攻撃力5000+3000+2000=10000

 

 《黒き太陽 C・アジ・ダハーカ》

 防御力10000

 

「キャスト、《エネミーウォール》。結様のデッキから2枚をドロップします。……ええ、モンスターが落ちたので攻撃は無効、ゲージを+1です」

 

 ドロップ:《宝石魔女 アイス》、《お前の技は見切った!》

 

「まだまだ、ハルは攻撃が終わった時[魔法少女]のソウルに入り、【変身】してたら1枚ドローできる。……これでセンターが空いたよ、《AP増幅装置》で強化された私で攻撃するね。攻撃力10000!」

 

 巨大になった『ブリリアント・カッター』が、アジ・ダハーカを大きく切り裂く。……しかし、その竜は健在だった。

 

「……何で!? 防御力は確かに上回ったはず……!」

 

「彼のもう一つの効果です。場を離れるとき、手札2枚をゲージに置くことで、破壊を無効に出来ます。……さて、これで貴方のモンスターは全てレストしましたが、何かありますか?」

 

「もう、結ちゃんの場に攻撃できるモンスターは、無い……」

 

「――いいえ、違う」

 

 表情を変えない竜誠と暗くなった百花ちゃんに向かって、私は否定の言葉を投げかける。だって……。

 

 

 

 

 

「まだ、私が残っている――――! ファイナルフェイズ!!」

 

 

 

 

 

「「ファイナルフェイズ!?」」

 

「必殺コール! ゲージ3を払い、『私自身』を必殺モンスターに――!」

 

「結ちゃんの……必殺モンスター!?」

 

「それは、……素晴らしい! その力、私に見せてみなさい!」

 

 私の姿が変わっていく。身長や髪は伸び、背中からは白い翼が生え、服装はより神秘的に、神々しく。正に魔法少女の物語の最終回、全てを賭けた主人公のその姿!

 

「《クリスタ “ブリリアント・ファイナルフォーム!”》はヒーローW・サイズ3・攻撃力8000・防御力5000・打撃力3、【ソウルガード】、【ライフリンク即死!】を持つ、魔法少女/ヒロインのモンスターとなり、私の上に重ねて【必殺変身】! 登場時の能力でドロップソーンより2枚まで[魔法少女]のカードをソウルに入れる。そして攻撃力13000となった私で、再びアジ・ダハーカに攻撃!」

 

 『ブリリアント・カッター』を今度は手に持ち弓に見立て、ステッキを番える。狙いは《黒き太陽 C・アジ・ダハーカ》一つ。放ったステッキは衝撃波を帯び、アジ・ダハーカに風穴を開けた!

 

「アジ・ダハーカ撃破!」

 

 倉野竜誠

 10→7

 

「【ライフリンク3】でライフが削れました、……がそれでもまだ7も残っています。私の現在のゲージは5枚、逆天も難しくは無いでしょう」

 

「ううん、これで終わり」

 

「出来ますか? 7点ものライフをこの状況から? 結様のゲージは残り3枚なのですよ?」

 

「……最初に手札を見た時、重すぎて使えないカードも引いてたの。何でかなと思っていたけど、……この時の為だったんだね。私の能力はゲージ1とソウル1を払うことで、手札の[魔法少女]の必殺技を【使用コスト】を払わないで使えるの。ダブルキャスト、このカードの発動条件はお互いのセンターにモンスターが無く、[魔法少女]のアイテムを持っているか【変身】している事!」

 

 私の言葉に、彼は諦めた様子を見せた。

 

「――データ収集はここまで、ですね」

 

「ここからは魔法の時間、奇跡だって起こすことが出来るんだから! 《大魔法 ブリリアント・ブリンガー》ツヴァイ・ストライク! 1枚に付き4点、合計8点のダメージ! いっけぇええええええ!!」

 

 空に輝く2つの結晶、光は乱反射し、闇を浄化する巨大な力となる! これが私の必殺技! 2つの結晶から放たれる巨大なビームに巻き込まれる直前、目の前の男は踵を返して何処かへと歩いていく。

 

「……今回は引きましょう。しかし、覚えておくことです。我が主様は結様を必要としていることを」

 

「「――お断りよ!」」

 

 私と、百花の声が重なる。それと同時に2つの光線が、《プロジェクト・DDD》のライフを全て破壊した。

 

 倉野竜誠

 7→0

 

 

 

 WINNER! 魔法少女クリスタ――新代結!

 

 

 

 

「ふぅ……。今からそのロープを解くから、少し待っててね? 百花ちゃん」

 

「ありがとう、結ちゃん。でも、まさか勝つとは思わなかったよ。強くなったね」

 

「えへへ……、今は借り物の力でも、きっといつか使いこなして見せるんだから!」

 

 私は姿を消した男に目もくれず、百花に結ばれた縄を解き始めた……。

 

 

 

 

 

 

 その後、バディポリスがやって来て、私達は保護された。どうやら、何者かに妨害を受けてたみたい。今回は何とか助かったけど、私達はへろへろだった。バディポリスは念のため、私に監視を付けることにしたらしい。でも、私生活に影響は与えない、という事だった。ちょっと怖いけど、バディポリスたちがきっと守ってくれるはず。気になることもあるけど、今は大人に頼らなきゃ。

 

 ……バディポリスの人と、こんな話をした。

 

「しかし、子供一人で助ける危険だよ。もっと大人を頼ってもいいんだぞ?」

 

「ううん、私一人じゃ無理だったよ。とっても素敵な人が助けてくれたの」

 

「そうなのかい? ……しかし、立ち去ってしまっては表彰もできないじゃないか」

 

「……そうだね。いつか、そんな風になれたらいいな」

 

 ……だけど、私が半分モンスターみたいになっちゃった事、誰にもばれてない、よね?

 

 

 

 それと、その事について一つ気付いてしまったことがある。

 

 

 

 “ブリリアント・ファイナルフォーム!”は、もう使っちゃだめ。

 

 

 

 使うだけなら問題ないと思うし、それを使って負けるのも多分大丈夫。問題なのは【ライフリンク即死!】で負けた時。私はもうクリスタの力を受け継いでいる、そんな私自身が(・・・・)ライフリンク即死!なんてしたら(・・・・・・・・・・・・・・・)……? 

 

 ――この力は、使うべき時だけに使うことにしよう。今の私は『私自身』のカードを作れる。だから、私は私の力で戦っていけばいい。時間はかかるけど、まずは一つ一つ、私に必要な物を探していかなくちゃ。

 

 それと、竜誠との戦いから少しの時間が経った。今までと違うのは、百花ちゃんの様子が少し変わった事くらいかな? 理由は分からないけど、安心したような表情を見せる事が、多くなった様な気がする。……何故だろう? 

 

 夏が近づいて来る。もうすぐ、私達が通う絆ヶ丘学園が主催する『バディファイト・絆(カップ)』が始まるんだ。――今年こそは優勝して見せるんだから!




《宝石魔女 クリスタ》
 モンスター
 サイズ2/攻撃力5000/打撃力2/防御力5000
 クラン:ヒーローW 属性:魔法少女/ヒロイン
 【コールコスト】ゲージ2を払う。
 登場した時、または君がこのカードに【変身】した時、デッキから[魔法少女]の魔法か必殺技を1枚まで手札に加え、デッキをシャッフルする。
 君のターン終了時、このカードを手札に戻してもよい。
 【ソウルガード】【変身】(ゲージ2を払う。)
 『結晶纏身! 私の名前は、魔法少女クリスタ!』
 『私の輝きをステッキに乗せて! 必殺、ブリリアント・カッター!』

《クリスタ “ブリリアント・ファイナルフォーム!”》
 必殺モンスター
 サイズ3/攻撃力8000/打撃力3/防御力5000
 クラン:ヒーローW 属性:魔法少女/ヒロイン
 【コールコスト】ゲージ3を払う。
 このカードが【必殺変身】した時、ドロップゾーンにある[魔法少女]のカードを2枚までこのカードのソウルに入れる。
 このカードが【必殺変身】しているファイナルフェイズ時、ゲージ1を払い、このカードのソウルを1枚ドロップゾーンにおいても良い。そうしたら、手札の[魔法少女]の必殺技を1枚【使用コスト】を払わずに使える!
 君のターン終了時、このカードのソウルを1枚ドロップゾーンに置くか、このカードを破壊する!
 【必殺変身】(ゲージ3を払い、[魔法少女]のアイテムの上に重ねる)
 【ソウルガード】【ライフリンク即死!】
 『それは、クリスタが最後の最後にたどり着いた。命をも削る最強のフォーム!』
 『力が何処までも沸いてくる。過去、今、未来の私。力を貸して!』
 『綻ぶ身体、湧き出る魔力。今にも砕けそうな時でさえ、――彼女は笑顔でいた』


 結ちゃん本人でもあり、デッキのエースでもある【変身】モンスター。
 《魔法少女 クリスタ》は登場した時、[魔法少女]の魔法か必殺技を持ってこれる。今一番欲しいカードを探してこよう。【変身】した後は効果を持たないので、直ぐに【必殺変身】するのがおすすめだ。
 《クリスタ“ブリリアント・ファイナルフォーム!”》は自身の攻撃力もさることながら、自身の魔力を用いて必殺技を放てる最強のフォームだ! 《宝石魔女 クリスタ》で持ってきた必殺技を、このカードで放つと無駄が無いぞ! ……その代わり、その姿には制限時間がある。――魔法の時間は、何時かは終わりがやって来るのだ。

 魔法少女VSプロジェクトDDDの闘いは如何でしたか? ファイナルフォームは、誰かの物語の終わりにして、彼女の物語の始まりでもあります。それは未来から今へ送るバトン。誰かの夢は、彼女の夢へ。

 ……さて、次回からは大会編が始まります。勿論チーム戦、という訳で二人が三人目を探す為に頑張ります。次回をお楽しみに!

 ……ちょっと類似点が多すぎて、【必殺変身】する時に『雪花の誓い』みたいな事をしてたけど大丈夫だよね? このカード自体は映画のずっと前に考えたものだし。
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