バディファイト! ~フューチャーヒーローズ~   作:雪咲

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 混乱を招いた様で申し訳ないです。

 今回から新しいワールドが参戦します。


大会編:動き出す陰謀
第6話「謎の転校生と新たなワールド!?」


 教室に入ると何やらクラスメイトの雰囲気がざわついていた。何となく、近くの席にいる日下部大(くさかべ・まさる)君に話しかけてみる。

 

「ねえ、日下部君? 日下部君、何やってるの?」

 

「何って、ゲームだよゲーム。バディウォーズっていうウィズダム社が作っている、インターネット対戦でバディファイトが出来るゲームだよ」

 

「ふぅん。ところで、何故みんなこんなにざわついているの?」

 

 日下部君は辺りを見回して、肩を竦めて答えた。

 

「ああ、転校生が来るんだってよ。帰国子女だってさ。俺は強い奴ならだれでもいいけど」

 

 日下部君の言葉に相槌を打っていると、今度は百花ちゃんが入って来た。

 

「……結ちゃん、ランクの高い人と知り合い多いよね」

 

「まあね、強い人ばっかりに挑むせいかな?」

 

「……それだからランク120位なんじゃないの?」

 

「うっ……」

 

 それを言われたらぐうの音も出ない。

 

「そんなことより、百花ちゃん百花ちゃん。転校生だって! どんな人かな?」

 

「さあ、私に聞かれても困るわ」

 

 そしてチャイムが鳴って先生が教室に入って来た。

 

「さてみなさん。知っている人もいるみたいですが、今日から転校生がやってきます。仲良くしてあげてください」

 

「「「はい!」」」

 

「じゃあ、入って来て」

 

 教室に入って来たのは、少し小柄目な少女だった。少女は先生の隣に行くと、黒板にチョークで纐纈詩縁(くくり・しぇん)と書いた。

 

「エブリワン! 初めましテ! 私、纐纈シェンと言います! これからどうぞよろしくお願いしますネ!」

 

 と少し片言の日本語で彼女は挨拶をした。

 

「はい、纐纈さんは知っての通り帰国子女です。彼女が困っていたら助けてあげてくださいね? みなさん、訊きたいことはありますか?」

 

「はい!」

 

 と勢いよく手を挙げたのは日下部君。こういう時はとても素直だよね。

 

「シェンさんの使っているワールドとバディは何ですか?」

 

「ボイジャーワールドです! バディはこの子、パーペチュアルのパーちゃん!」

 

『よろしくね、みなさん』

 

「「「……ボイジャーワールド??」」」

 

 クラス全員が知らないワールドにざわつきが少し強くなる。

 

「……なあ、ボイジャーワールドって知っているか?」

 

「知らない。初めて聞いたよ?」

 

「僕もだ。多分図書館の資料にも載っていない」

 

「えーっとですネ、ボイジャーワールドは昔ある国で出会ったワールドなのデス。確か、ヤミゲドウ? だかに食べられてたとかナントカ!」

 

「…………っ!」

 

「……百花ちゃん?」

 

 『ヤミゲドウ』の名前が出た瞬間、百花ちゃんの表情が一瞬変わったような気がした。大丈夫、なのかな?

 

「カードはファイトの時にお見せしますヨ! 仲良くしてくれると嬉しいデス!」

 

 先生によって、シェンちゃんが席に促されて、授業が始まった。……あ、1限目私の苦手な国語だ。

 

 

 

 

 

 

 中庭でデッキの整理をしていると百花ちゃんがやって来た。……呼んだのは私なんだけどね?

 

「ねえ、百花ちゃん。嫌だったら答えなくてもいいの。……ヤミゲドウって、何?」

 

 一瞬息を詰まらせる百花ちゃんだったけど、諦めた様子でため息を吐いた。

 

「……ちょっと露骨だったわね。『ヤミゲドウ』は私達千歳の家の総本家……『淵神』が封じているいくつものワールドを滅ぼして来たモンスターよ。千歳家は長い時間の中で役目が少しづつ変質していったけど、彼らはずっと自らの使命を守り通してたみたい」

 

「そんなモンスターがいたの!? ……大丈夫、危険じゃ無い?」

 

 慌ててそんなことを百花に訊ねると、百花はとても不思議そうに答えを返して来た。

 

「何時からかしら? 『ヤミゲドウ』の邪気が感じられないのよね。私、そういうことに関しては少し敏感なはずなんだけど……」

 

「そうなの? あのボイジャーWもそれが関係するのかな?」

 

「……そうだといいわね」

 

 そう言った彼女の表情は、申し訳なさそうな、それとも少しだけ嬉しそうな不思議な表情だった。

 

 

 

 

 

 

「勝負だ、纐纈さん!」

 

「何やってるの、日下部君」

 

 百花ちゃんと中庭から帰ってきたら、皆が机を端っこに避けて日下部君が纐纈ちゃんに勝負を挑んでいた。

 

「いや、初めて見るワールドだから、どういうデッキなのか知りたいんだよ。大会のダークホースになるかもしれないしな!」

 

「うわぁ、……まあ日下部君ってそういう人だし」

 

「私は構いませんヨ!」

 

「纐纈さん!?」

 

「始めまショウ! ファイトを、デス!」

 

 両者合意により、昼休みのファイトが始まった。……あ、審判はまたまた百花ちゃんです。

 

「太陽は百度沈んで百昇る。消して消えぬ太陽竜! ルミナイズ、『ハンドレッド・サンシャイン』!」

 

「グルグルグルグル、ここは答えなキ無限軌道! ルミナイズ、『逆天の懐中時計』!」

 

「「オープン・ザ・フラッグ!」」

 

「ドラゴンワールド! バディは《紅蓮闘士 ゴールデンエイジ・ドラゴン》」

 

「ボイジャーワールド! バディは《逆天機関 パーペチュアル》デース!」

 

「先行は纐纈さんね。ボイジャーワールド、どんな動きをするのか楽しみだわ」

 

 もう、百花ちゃんもそんなこと言って……。

 

「私のターン、チャージ、アンド、ドロー! ギアを上げますヨ! キャスト、《ギア・イグニッション》! お互いのゲージを+4デス!(G3→7)」

 

「は!? 俺のゲージを増やすだと!?(G2→6)」

 

「これでいいんですヨ。もう1枚キャスト、《ギア・アクセル》! 日下部クンのゲージが5枚以上だからコストを払わずに2ドローデス!(手札4→6)」

 

「お、おう」

 

 あ、日下部君戸惑ってる。まあ、見たこともない動きしているもんね。

 

「結ちゃん、ちょっと分かってきたわね。多分、ボイジャーWの動きの一つは『相手のゲージを利用する』よ」

 

「そうだね。でも、多分それだけじゃない筈。もう少し見てから判断するべきじゃない?」

 

「そうね……」

 

 二人でそんな話をしているうちに纐纈さんは次の動きをするみたいだ。

 

「センターにコール、《ムゲンドール ニードル》をコールデス! 《ムゲンドール ニードル》はボイジャーW・サイズ1・攻撃力3000・防御力6000・打撃力0の[ギアドール]のモンスターデス。ですガ! 相手のゲージが5枚以上なら打撃力+3しまス!」

 

「な! しかもそいつ防御力6000もあるだろ!」

 

「さあ、まずはお手並み拝見デス! 《チャールズの蒸気機構》を【設置】してニードルでアタック!」

 

「ライフだ!(L10→7)」

 

「ファイナルフェイズデース!」

 

「もうかよ!」

 

「ダブルキャスト! (L10→8 G7→5)、ここは進めど進めど先の無い袋小路、《夢幻軌道・動々巡り》! ワンモア、クルクル回る二つの針の追いかけっこ、《夢幻軌道・止まぬ茶会》デース!」

 

「【設置】必殺技を連続キャスト!?」

 

「動々巡りはゲージ4以下の時、ゲージの使用を封じマース! 止まぬ茶会はアタック開始時にゲージ1を払わないとアタックを封ジ、払った場合は必ず全てのモンスターで攻撃しくだサイ。そして、《チャールズの蒸気機構》で必殺技を使ったのデ、ゲージと手札+1デス!(G5→6 手札2→3) ムーブエンド!」

 

 日下部大

 手札6/ゲージ6/ライフ7

 

 纐纈詩縁

 手札3/ゲージ6/ライフ8

 

「驚かされたが、それくらいじゃ俺は止められないぜ。俺のターン、ドロー! チャージ&ドロー! ゲージ2を払いライトにバディコール(G7→5 L7→8)! 《紅蓮闘士 ゴールデンエイジ・ドラゴン》!」

 

『任せなぁ! 俺が全部ぶん殴ってやるぜ!』

 

「《紅蓮闘士 ゴールデンエイジ・ドラゴン》はサイズ3・攻撃力8000・守備力1000・打撃力3・【ソウルガード】を持つ太陽竜のモンスター! 更に『拳』のアイテムを装備すれば、【貫通】と【2回攻撃】も得られる! キャスト、《太陽の恵み》でゲージ+3(G5→8)。そしてゲージ2とダメージ1(G8→6 L8→7)を受けて装備、《紅蓮太陽拳 バルクリムゾン》! このカードは太陽竜と連携攻撃すれば【2回攻撃】を名前に「紅蓮闘士」を含むモンスターと連携攻撃すれば【貫通】を得る!」

 

 日下部君の場には紅い肉体に蒼い鎧を装備した竜が現れていた。

 

「日下部君の十八番だね。これで4点の貫通攻撃が2回飛んでくる」

 

「この攻撃に耐えられるかしら?」

 

「攻撃の為にゲージ1(G6→5)を払う。いくぜ、相棒! 俺達で《ムゲンドール ニードル》を攻撃だ! 効果で俺は【貫通】と【2回攻撃】を得る!」

 

「キャスト、《機構解体》。ニードルを破壊し、そのサイズ分、ゲージ+1ですネ!」

 

 ニードルが爆散し、彼女のゲージに変わってゆく。

 

「あの子、結構上手いわね。あれなら、【貫通】の4点ダメージが入らない」

 

「でも、日下部君達は【2回攻撃】でまだ全然動けるよ」

 

「今度は俺と相棒でそれぞれ攻撃!」

 

「日下部クンの攻撃は受けますガ、もう片方にはキャスト、《ギアシールド 絡繰の盾》で無効にしテ、日下部君のゲージ2枚を表にしまス(L8→6)」

 

「2点しか通らなかったか……、ターンエンドだ」

 

 日下部大

 手札4/ゲージ5/ライフ8

 

 纐纈詩縁

 手札3/ゲージ6/ライフ6

 

「私のターン、ドロー! チャージ、アンド、ドロー! さあ、ショウタイムデース! センターにバディコール! 《逆天機関 パーペチュアル》デス!」

 

『マスターの認証を確認。逆天機関、起動を開始します!』




《ムゲンドール ニードル》
 モンスター
 サイズ1/攻撃力3000/打撃力0/防御力6000
 クラン:ボイジャーワールド 属性:ギアドール
 相手のゲージが5枚以上なら、このカードの打撃力+3!
 『長針と短針のおいかけっこ』

《ボイジャーワールド》
 フラッグ
 君は「ボイジャーワールド」と「ジェネリック」のカードが使える。

 ちょっと情報が錯綜して、大変な事になったボイジャーワールドのカード達。別所で先行公開したせいで、色々と大変な事になってしまってすみません。

 世界観の設定は後ほど活動報告で詳しく乗せるとして、ちょっとだけ説明しましょう。(追記、読み返していたら、大体説明していました)

 《ボイジャーワールド》は蒸気と錆と海の世界。古き良きサイバーパンクとオーパーツだらけのディストピアを合わせた世界観です。
 空は黄昏色、海は赤錆色に染まり、大地は金属音を奏でる。しかして、彼らの瞳に絶望の色は無く、まだ見ぬ場所、まだ見ぬお宝、まだ見ぬ技術を求め、時に宇宙にすら飛び出して人生と言う名の大航海をする。そんなクランです。この世界には主に「機構」、「ギアドール」、「エンジニア」、「海賊」の属性のモンスターが居て、他にもドラゴンなども存在します。
 名前には、部品の名前やコンピュータ用語、数学用語、が基本的に宛がわれます。また、金属の名前や蒸気、気候に関係するものもいいでしょう。
 また、一部海賊の幹部などには船の名前が使われる事もあります。

 今回の子は時計の針の名が宛がわれています。その効果は相手のゲージに反応した打撃力の増加。このワールドは、『相手のゲージ』や『自分の必殺技』を歯車に見立てて機構を組み、相手を追い詰める事を得意としているので、相手のゲージを増やすカードや相手のゲージを制限するカードなどを使い、打撃力3点を叩き込みましょう!

 次回は後編です。はたして、詩縁ちゃんのバディ《逆天機関 パーペチュアル》はどのようなカードなのか!
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