思うんですけど。私、竜と神のお話が大好きすぎて、未来の話を書くとZ/X味のある文章になってる気がします……。(これ書いてた時も、公式同人誌読んでた)
あ、今回はファイト無しで、本編の伏線をおおいに含むのでご注意ください。
何処かにある場所、何処でもない場所。星すらも瞬かない彼方の地で一人の女性が微睡みから目を覚ました。
酷く、眠い。消えていきそうな意識の中で、女性はこの様な状態になる前の事を思い出していた。
最期の竜、ビッグリップ・ドラゴンとの戦い。全ての力、人間という枷すら脱ぎ捨てて相打ちに持ち込んだ今、彼女の肉体は既に無く、精神のみでふよふよと漂っているだけだった。
『……るちるちゃんは、大丈夫かな』
地球に一人残した弟子の事が心残りだ。あの子は私のことをとても慕っていたから、きっと泣いてしまっているかもしれない。でも、あの子には私とずっと戦ってきた仲間が付いている。傷は完全に癒えることは無くても、皆が支えてくれるだろう。
『……何が、いけなかったのかな』
悪意は許した、悪事は挫いた。親友を倒して、偽りの太陽を砕き……それでも手遅れだった。人の手によって地の力を失い、天の力の侵攻によってバランスの崩れたこの世界は、自滅という道を選んだ。
大地の断末魔を産声に生まれた彼を“相打ち”という形で倒し、私は“滅び”という名の救いすら否定してしまった。世界に生きる者達の意志が消えてないから、これ以上世界が滅ぶような事は無いけれど。
……私の、せいだ。そんなこと、お母さんが聞いたら、きっと殴られて、抱きしめられたのかな。
『人が誰かを恨むって、こういう時なのかな? お父さん。……私には、分からないや』
いつ暴発してもおかしくなかった引き金を、それでも引いてしまったのはお父さんだ。それも、私達の為だったって事は知ってる。
竜は星から解き放たれた。力のバランスは少しずつ崩れ、終末が訪れたこともあったけど、それも撥ね退けた。
『まあ、いっか。もう私には関係の無い事』
力なく笑おうとして……できなかった。精一杯の笑顔はあの時に使い切ったから。
そうやって、ずっと、ずっと、漂っていると、何処からか竜の鱗の様な物が流れ着いて来た。
『……ビッグリップ・ドラゴン、あなたも独りだったのね。大丈夫、こっちにおいで』
竜の鱗に手招きして、こちらに引き寄せて抱きしめた。僅かに、悲しみが伝わってくる。
遥か昔から、無理をしていたこと。引き金を引いただけで人が悪い訳では無い、とあなたは訴えてくる。
『そっか。ずっと辛かったんだね、叫び声を上げたかったんだね。……気付いてあげられなくて、ごめんね』
私は正義の味方なんかじゃない、私は誰かの隣に立てる味方になりたい。幼い頃、そんなことを言っていたことを思い出した。……私、その想いは今も残ってる?
『……うん。ビッグリップ・ドラゴンの断片よ、あなたは悲しみだけを背負ってはいけません。だから――デーヴィとして、あなたに新しい名前と私の思い出をあげる。此処はデーヴァローカじゃないけれど、きっと名前は意味のあるものだから。名前はオリハルコン・ドラゴン、私の大切だったバディの名前』
抱きしめていた鱗が竜の姿へと変わり、そして卵へと戻っていく。私の中のハルの力と私の思い出が混じり合い、きっとあなたの力になるはずだから。
そして、私は卵を解き放った。何時の時代の、何処に辿り着くかは分からない。けれど、孤独ではなくなったあなたなら、きっと素敵なバディと出逢える。
『いってらっしゃい。あなたのバディに、よろしくね』
……もしかしたら、この時の私は笑えていたのかもしれないと、そう思っていた。
……………………。
《クリスタ “悠久の微睡み”》
モンスター
サイズ3/攻撃力10000/打撃力0/防御力13000
クラン:スタードラゴンW 属性:デーヴァ
『君なら、私の手の届かなかった未来に、きっと辿り着ける』
《大地の悲鳴 ビッグリップ・ドラゴン “SD”》
モンスター
サイズ1/攻撃力3000/打撃力2/防御力1000
クラン:無し 属性:-
このカードは全てのフラッグで使える。
【コールコスト】君の場のモンスター1枚の上に重ねる。
【対抗】このターン中、相手が効果以外でカード5枚上を使っているなら、手札のこのカードを【コールコスト】を払わずコールできる。
相手が効果以外でカードを使ったとき、君のライフ+1!
『終に、大地は悲鳴をあげた』