バディファイト! ~フューチャーヒーローズ~   作:雪咲

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 第2話です。今回、ファイトはありません。


第2話「謎の敵!」

「――今度は貴女の番、私の『声』が届いたのなら、どうか私を呼んでね?」

 

 

 

 

 

 私が通学路を歩いていると、百花ちゃんとリンちゃんの姿が見えた。

 

 

「おはよう、百花ちゃん、リンちゃん」

 

「おはよう、結ちゃん」

 

「おはよう~」

 

 二人の隣に言って挨拶をすると、二人とも挨拶を返してくれた。……何か話していたみたいだけど何だろう?

 

「ねえ、二人とも。何の話をしてたの?」

 

「結ちゃんのデッキの話。どんなカードが必要かなって」

 

「そういえば~、結ちゃんの[魔法少女]はヒーローW/マジックWのカードだよね~。何でヒーローWにしたのの~?」

 

「《ガンロッド プリズムフラウト》を使うタイプだよね。《ハイパーエナジー》が入っているのもあるんだけど、折角属性に[ヒロイン]が入っているのだからヒーローWで使いたかったの。偶にはマジックWも使うけどね?」

 

「私も[鬼姫]は百鬼夜行とカタナWの二つで使っているけど、動きが全然違うものね」

 

「いいなぁ~。私はダンジョンWしか使ったことが無いから~」

 

「他のワールドも触って見たら? 私も[魔法少女]のデッキを色々試してみるから」

 

「私も――――、……?」

 

「百花ちゃん?」

 

「ううん、何でもない」

 

 百花ちゃんが突然立ち止まって辺りを見回していたので、私も辺りを見たけれど変わった物は何も無かった。

 

 

 

 

 

 

 ――放課後。

 

 使われていない教室に百花はやってきていた。手には1枚の紙切れがあった。元々は結ちゃんのロッカーに入っていたものだが、彼女が気が付く前に百花が抜き取ったのだ。

 

「約束通り一人でやってきたわよ。答えなさい、貴方の目的は何?」

 

 彼女が振り返ると、そこには眼鏡をかけた男がいた。

 

「……千歳様、その前に自己紹介を致しましょう。私は倉野竜誠と申します。私の目的は我らが主様の悲願を叶える事、その為に新代結様が必要なのです。どうか、邪魔しないで頂けますか?」

 

「邪魔をしないと思う? 私は遠野淵神……『千歳』の忌み子、その意味が分かってその様な事を宣っているのかしら。――燃やすわよ?」

 

 カードデバイスを構えた百花の瞳に殺意が宿る。それは、このファイトで何かがあれば男は只では済まない事を意味していた――。

 

「分かっていますよ。貴女達の事は一通り調べさせて頂きましたから」

 

「なら望み通りの姿にしてあげる。……ファイトが終わるまで耐えられるといいわね」

 

 デバイスを展開した百花がファイトの始まりを宣言――ルミナイズする。

 

「悉く全てを鎮めてあげましょう。ルミナイズ、『沈鐘の姫君』」

 

「――抗いますか。ならば……。拘束解除、例外処理を実行。ルミナイズ、『SYSTEM:ECLIPSE』」

 

「「バディファイト、オープン・ザ・フラッグ!」」

 

「百鬼夜行。バディは《百竜姫シラユキヒメ》」

 

「――特殊フラッグを起動しましょう。『プロジェクト・DDD』」

 

「何、そのフラッグは――」

 

「ファイトすれば分かりますよ、このデッキの恐ろしさが。はたして、私のデッキに千歳様は勝てますかね?」

 

 

 

 

 

 

「……何これ」

 

 百花の携帯から送られてきたメールを開いて絶句する。そこには柱にロープで縛られた百花の姿が映っていた。

 

 ――絆ヶ丘公園裏で待っています。結様が訪れなければ、その時は……分かっていますね?

 

 メールに書かれた文面を見て、私は公園へと駆けだした。

 

「どういう事!? 百花ちゃん、待ってて!」

 

 もし、私にバディがいればバディスキルでひとっ飛び出来るのに! 焦燥感を募らせたまま、辿り着いた場所には、柱に括り付けられた百花ちゃんと眼鏡をかけた男がいた。男は仰々しい礼をして私を迎えた。

 

「ようこそいらっしゃいました。私は倉野竜誠と申します。本日は結様にお願いがあってこの場を設けさせて頂きました」

 

「そんな事はどうでもいい! 百花ちゃんを返して!」

 

 私の叫びに竜誠と名乗った男は小さく笑って応える。

 

「いえ、それはできない相談ですね。……結様次第では御座いますが」

 

「どういう事?」

 

「今回、私の主様は貴女の力をご所望です。ですが、今の貴女はその域に達してはおりません。ですので、私とファイトして頂いて、勝ったのなら百花様は返しましょう。負けたのなら、我が主様の元へ来ていただきます」

 

「結ちゃん! 逃げて!」

 

 その提案に頷こうとした時、百花ちゃんがそれを遮った。

 

「竜誠は私よりも強いの! 今の結ちゃんじゃ勝てないっ……」

 

 百花ちゃんが、この男に負けた?

 

 百花ちゃんの言葉に私は動揺を隠せない。百花ちゃんは私のクラスの中でもトップクラスに強かった。その彼女が負けたのなら、私は勝てるの?

 

 ……ううん、勝てる勝てないじゃない。やらなきゃ、私は……。

 

「ファイトよ、百花ちゃんを返しなさい! 私は――」

 

 

 

「――『正義の味方』なんだから!」

 

 

 

「よく言えました! その言葉に応えましょう!」

 

 私の奮起の言葉に聞いたことある声が応えた途端、私の世界を白い光が埋め尽くす――。

 

 

 

 

 

 

「初めまして、結ちゃん」

 

 真っ白な世界で、私の目の前にいたのは先程の声の女性だった。

 

 ……ううん。私、この人を知らない。

 

 ウェーブのかかった髪を揺らすワンピース姿の女性は、昔のお母さんに似ていて、けれどまったっく違っていた。

 

「あなたは、誰?」

 

「私の名前はクリスタ、宝石魔女クリスタよ。未来の世界から結ちゃんの所にやって来たの」

 

 クリスタと名乗った女性はそう言って私に微笑みかけた。

 

「私がここに来た理由はね。未来から、結ちゃんに力を貸してあげて欲しいって頼まれたからなの」

 

「未来から……?」

 

「そう。今、未来では大変な事が起こっていてね。そこにいた竜誠って男の後ろにいる黒幕が、私達の世界をあるモンスターの楽園にしようと企んでいる。その野望を止めるには今の時代の結ちゃんの力が必要よ」

 

「私の力が? ……分かった。でもその代わり、目の前の男をぶっ飛ばすのを手伝って」

 

「ええ、もちろん。百花を人質に取るなんて許せないもの。だから、後はよろしくね? ――私」

 

「え?」

 

 彼女の最後の言葉を聞き取ることはできなかった。クリスタの姿が光の粒へと変わると私の中へと流れ込んでいく。そして、周りの世界も元に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

「結ちゃん、結ちゃん!?」

 

 結ちゃんの言葉に気が付いて目を見開けば、光に飲み込まれる前と同じ場所。……でも、百花ちゃんも男も驚愕に目を見開いている。

 

「どうしたの? ……その恰好」

 

 百花ちゃんに言われて自分の服装を改めると、私の私服ではなくて、白に青のアクセントとたくさんの透明なフリルがあしらわれた――まるで魔法少女の様な装いになっていた。

 

「まさか……このタイミングで覚醒するとは。いいでしょう! 結様のお力、私の目で確かめさせて頂きます!」

 

 男が何やら興奮しているみたいだけど……関係ない。百花ちゃんを返してもらう!

 

「私は……魔法少女クリスタ! 悪い人は、私の輝きで成敗します!」

 

 

 




《宝石魔女 ルビー》
 モンスター
 サイズ2/攻撃力5000/打撃力2/防御力3000
 クラン:ヒーローW/マジックW 属性:魔法少女/ヒロイン
 【コールコスト】ゲージ1を払う。
 “クリムゾン・バレット!”【対抗】【起動】ゲージ1を払う。このターン、君が[魔法少女]の魔法を使ったとき、相手にダメージ1!
 君のターン終了時、このカードを手札に戻してもよい。
 『1発必中! クリムゾン・バレット! ……え? たくさん撃ってる?』
 『今更魔法少女らしくって言われても……、困るんだよね』

 結ちゃんのデッキの鉄砲玉、ダメージディーラーのルビーちゃん。【起動】する必要がある為ワンテンポ遅くなりますが、[魔法少女]の魔法を打つたびに相手にダメージ1を与える事ができます。その気になればルビーのダメージだけで倒すことができるかも?
 見た目は二丁拳銃を持った紅い瞳に紅い髪の魔法少女、……魔法少女? 少しウエスタン風味のコスチュームだったりします。

《宝石魔女 サファイア》
 サイズ1/攻撃力3000/打撃力1/防御力2000
 クラン:ヒーローW/マジックW 属性:魔法少女/ヒロイン
 【コールコスト】ゲージ1を払う。
 “カーム・サポート”君が[魔法少女]の魔法を使ったとき、デッキからカードを1枚引いても良い。“カーム・サポート”は1ターンに1度のみ使える。
 君のターン終了時、このカードを手札に戻しても良い。
 『ルビーお姉さまをサポートします。カームサポート!』
 『はわわ……、どうして上手くいかないのでしょう』

 結ちゃんのデッキのエンジン、おどおど系魔法少女のサファイアちゃん。こっちは魔法少女らしい服装です。能力はただでさえ回りやすい[魔法少女]の回転力を上げるドロー効果。このカードで魔法を装填して、ルビーで放つのが魔法少女の基本戦術です。
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