金属の支配者 作:眼咤琉
作刀が終わって一週間。
家の中にこもりっきりだったから、外の世界を見て回った。
こうして見ると思ったよりも意外な発見が相次ぐ。
この島の人々の普段着は和服。作務衣ばっかり着ていたので、無駄に新鮮だった。
ところで、日本ではほぼ目にすることのなかった和服。
なぜかここで見た事に奇妙な懐かしさを覚える。
タルム島の文化は日本のそれとよく似ていた。
食事、住居、衣服。住人の外見としては黒髪で黄色人種の日本的な顔立ちが多いが、金髪などのヨーロッパ系の人間もいることにはいるが、少数派だ。
突如として低いサイレンが鳴り響く。海賊の襲来を告げるその音は聞く者を否応無しに不安にさせる。なのに人々は平然として、ほんの少し足を早めて帰路を急ぐだけ。
ああ、またか。
タルム島ではこの音が鳴る度に呆れる。
優れた金属の鉱山をいくつも保有し、世界トップクラスの金属加工技術を持つこの島は同じような大きさの島と経済力を比較した場合、桁違いに高い。
仮にこの島をナワバリにする事が出来れば、大きな富をもたらす事は確定している。
ただそれは“仮”の話。
新世界の海賊ならともかく、
それは何故か。その秘密は。
カンカンと木刀を打ち合わせる音。
お互いに一撃を叩き込まん、と鋭く速く強く得物を操る二人の男。
横から木刀が来れば、受け止めて相手の横っ腹に蹴りを入れる。
どれだけ前世の剣道の達人が試合をしようとこれほどの闘いは出来ないだろう。
前世よりも圧倒的にレベルが高い。転生特典が少なかったか、と後悔しても、もう遅い。
不安になっていると、例のサイレンが響く。
彼らは顔を明るく咲かせて、真剣を取りに行く。
戦闘狂か。内心でツッコミを入れた頃には、海賊が目の前の浜に上陸していた。
艦は一隻。見た限り人数は少なさそうだ。
よく鍛えられているのか、無駄な筋肉など一切なく、皆、スラリと引き締まった体をしていた。
海賊どもが進撃を開始するのと同時に自警団が迎撃を始めた。
人数的にはあちらに分がある。
その差はみるからに明らか。それに勢い付いた海賊は進軍の速度を上げた。ただそれは自分らの死期を早めただけ。自警団は死神のごとく、彼らの命を刈り取る。
ブシャアと鮮血が降った。それを合図にして、両陣営が激突する。
自警団の面々は一騎当千。無双とはこの為にあるのだ、と武で語らんとしているように見えた。
あっという間にしたっぱを鏖殺し、残るは幹部だと窺える屈強な男たち。
自警団は奴等に怯むことなく突撃。
切って、切って、切り伏せる。
自警団の彼らの刃が陽に輝く頃には幹部も地に倒れて。
最後にはグヌヌと悔しそうな表情を浮かべる男一人が残った。
船首から高みの見物を決め込んでいた船長とおぼしき彼。
その彼が船首から飛び降りると、自警団が一人を除いて刀を鞘に納める。
「俺は一億一千万ベリーの『アース』だ。
「タルム島自警団長『マサムネ』だ」
相手の名乗りに呼応して自警団長のマサムネさんが名乗る。
正眼に構えるマサムネさんとは対照的に腰に差したサーベルを適当に構えるアース。
先に動いたのはアース。サーベルを型も何もなく振り回してマサムネさんに肉薄する。
あっさりとそれを避けた。マサムネさんの背後でアースがつんのめって隙を晒したので、体を半回転させて斬ろうとした。
「アースナイフッ!」
半回転した肘にカウンターの要領でアースが土のナイフを叩き込む。
マサムネさんはグッと呻いたものの、強引に回転し、アースに正対する。
アースの力量に感服したのか、マサムネさんは体をぶるりと震わせた。そして沸々と殺気が溢れでる。
「アースソード!!」
土で剣を生成し、マサムネさんに斬りかかる。
マサムネさんは半身ずらして回避し、
「な……ぜ……?」
そしてこれがタルム島が誰のナワバリにもならずに生き残れている秘密。
“剣気”と呼ばれる覇気の存在だ。
この島では覇気のことを“剣気”と呼ぶ。
エネルたちが見聞色の覇気を
この島では武装色の覇気は“硬化の剣気”。見聞色の覇気は“先の先の剣気”。覇王色の覇気は“裂帛の剣気”と呼称するのだ。
なおかつ、修行すれば裂帛の剣気以外は必ず修得できる。故に自警団は全員が使える。
また裂帛の剣気を持つ人間がタルム島では異常なほどに誕生する。一世代に一人の割合だ。
裂帛の剣気を持つものは剣術もうまく、鍛冶もうまい。
そうすれば自然に島長の存在へとなっていく。
島長は裂帛の剣気を持つ場合が大半だ。
練度の高い自警団と剣気の存在が、タルム島の独立を保っているのだ。
戦闘描写のようななにかと説明回
次回予告!
海賊の残していったメタメタの実を食べるリュウ!
そして島に忍び寄る不穏な影。