聖なる夜に君を想う。   作:ふま

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オマケの話です。
紫紺→カカシの視点でw





余話につき。

 

 

 

 

「____紫紺、本当に有難うね。」

 

クリスマスの夜、タイル張りのカウンターを拭いていた私に呟いた。

顔を上げるとはたけ殿はお皿を洗いながらニッコリ笑っていらっしゃる。

その横でお皿を拭いていた夏風は微笑みながらも首を傾げ、私の反応を見ている。

 

「気を使わなくてもいいのに、二人して戻って来て・・・。」

 

彼は留守番の我々の為に、材料まで買って来て料理を振る舞って下さったのだ。

驚くべきはその料理の腕前であった。熊一頭をサバき切る八香様に劣らぬ包丁さばき。

完璧に家事をこなせそうだ、だから独身であっても苦にはならないのだろう。

 

「う~ん、なんと言うか・・・八香と同じ気分だったんだよね。」

「御頭様と?」

「そ・・・、誰かと分かち合わないとバチが当たるってね。」

 

あぁ・・・確かに良くそんな事を云われる。

それはこの方然り、八香様にしても”今の自分の幸せは、他人の犠牲の上にある”との意識のせい。

己の信じる正義というヤツは国や、主君の都合によるものが殆ど。我ら裏方の衆も同じである。

 

「で___、結局、求婚は見送りですか。」

「未熟ながら・・・・俺にはまだまだ見守ってやらなきゃいけない奴らもいる。

まだそんな時機じゃないって事を、彼女も理解してくれてる。___でも」

「でも?」

「待たせてしまうだろうなって・・・。その間に悪い虫が着かなきゃいいんだけど;」

 

少し淋しそうにしたかと思えば、苦笑いをしてみせる。

このご時勢、里を守り、一人でも多く優秀な忍を育てるお役目があるのだろう。

 

「八香様は頑固なお方___全てのお見合いをお断りなされるだろうし、余所見ができるほど

器用なお人ではありませんよ。はたけ殿が一番、身を持って知っておられる筈では___?」

 

私は少し呆れ気味に云う。御頭様を過去からお救いするのに、このお方は2度も心中を覚悟されたと云うではないか。もう少し自信を持って良いと思うのだが。

 

「待たせるというか___一つ、心配致しておりますよ。」

「え___?」

「八香様には元々、結婚願望がなかった。」

「・・・・・・・・え!?」

「なので、逆に”待つ”というより、”この間柄”が続くのを望んでおられるのではないかと。」

「つまり____彼女はこのままの関係で満足しているってこと?」

「かも・・・ですな・・・。」

 

拭き終わった布巾を洗いに、夏風と場所を変わらせると同時に「ここはもういいよ」と帰した。

少々、ショックを受けた?はたけ殿の止まった手を見て、肘でツンツンと合図した。

慌ててまた皿を洗い出してる。動揺した所を見ると何時かは本気で求婚する事を考えているのだ。

 

「ゲンマ様がああ云ってから・・・時折、考え込む事が多かったですし・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「時間はお互い掛かるんだろうな。俺は待たせてしまう方だから____彼女を責められないよ。

それならそれで仕方ない、ゆっくりと口説いて行くさ・・・。」

 

そう紫紺に笑いつつ俺は、過去の彼女の発言を幾つか思い出していた。

 

『カカシ殿・・・私を連れて帰らなければ任務は失敗に終わるのでしょうが

脅威となりうる存在も無くなるのですよ? そこまで必死になる必要があろうかと・・・』

 

そして思い当たるのは八香が以前、「子は産めぬ故、お断りをした」と云った件だ。

残された痣は活きている・・・、後継者を望んでいると___察しているのだろう。

 

「もしもさ___俺達の子だったら、脅威な存在になどならないと思うんだ。」

「・・・・その根拠は?」

「だって・・・俺の血も足されるんだ、そうはならないと確信するね!うーん、そうだなぁ・・・

八香似の美貌と、器用さ、天才肌な所は足しといて、性格も彼女似だといいなぁー・・・。」

「____ただのノロケでは・・・ソレ。」

 

呆れて呟く紫紺をヨソに俺は想像した。

絶対、容姿は俺よりも彼女に似た方がいい。サラサラな甘栗色の髪で瞳の色も同じだと良い。

あれッ、俺ってば女の子を想像した? うーん・・・男の子も捨てがたい・・・!

ま・・・! どっちでもメッチャ可愛いに越した事はないw

 

「きっと___天使みたいに愛らしいに決まってる・・・・!」

 

そう断言した。妄想が膨らんじゃうなぁ・・・、子供が出来たらどんな風に育てちゃおうか。

八香はきっと、厳しい母親になるだろうから俺がウンと飴になってあげないとなぁ~w

名前はウーン・・・女の子なら____

 

「はたけ殿___戻っていらっしゃいよ;;」

 

ああ____こんな事考えていたら、彼女の行方が気になりだした。

 

「そういえば、八香は?」

「あぁ・・・雪羽を寝かせにね。」

 

だいぶ経つじゃない・・・、俺はそう気がつくと早々に洗い物を終えて様子を見に行った。

奥の畳のある部屋が雪羽の寝床になっていると言うので様子を伺いに・・・。

彼女の、優しく控えめな声が聞こえてきた。そっと雪見窓の障子から様子を見てた。

敷かれた布団に添い寝するかに横たわり、布団を被せた雪羽にお話を聞かせてやっている様だ。

どうやら”赤ずきんちゃん”の話らしい___へぇ・・・、そんな御伽噺を知っているとは・・・。

 

「お前を食べる為さ___!と、お婆さんに化けていたオオカミはペロっと赤頭巾ちゃんを

丸呑みしましたとさ・・・・・!」

 

・・・、それでまさかお終いじゃないよね。。。。。。?

 

「ところが!「う、生まれる!」と叫んだオオカミは突如、腹痛を感じてお腹を摩り始めた途端!ズバーッ!!っと、お腹がはちきれ、血の雨が部屋に降り注いだのです・・・!」

 

オイオイ! なんかR18な展開だな・・・! そんなエゲツない物語だった・・・?

 

「それから、それから___?」

「赤頭巾ちゃんは護身用のナイフで狼の腹を切裂き、堂々と腹から脱する事ができたのです。」

「おぉ・・・・!」

 

イヤイヤイヤ! そこまで生々しい話じゃなかったろ!?

____猟師はどこ? 食われたお婆さんはもう消化されちゃってたカンジ???

 

「そうして狼をやっつけた赤頭巾ちゃんは狼をその場で解体しました。皮とその他の臓物は町で思いのほか良い値で売れたのでホクホクしてお家に戻ったのでした。メデタシメデタシ」

 

エーーーーッ!? お婆さん助けられなかったのに、狼を解体して売りに行った!?

いや、それ、まさしく昔の君じゃね!? マタギ姫と云われた君だよね!????

つか、オバーサンへの悲しみはどうした!? ホクホクって、すっかり忘れてないか・・・!?

 

「あ~・・・・スカっとしたで御座います・・・ぅ・・・zzzz」

 

雪羽ェェエエエ!?? 爆睡しちゃってる? アレで眠れるとか!? 

驚愕しっぱなしで俺は雪見窓の外側で凍り着いていた。

 

「ふぅ・・・・。」

 

彼女が首元まで深く、雪羽に掛け布団を被せた声にハッッとなる。

軽く、コンコン!と叩き、八香を此方に振り向かせた。

 

「カカシ殿____」

「何だか凄い赤頭巾ちゃんだったね___;」

「___御館様から昔聞いたものが役立つとは・・・。」

 

童話を知らず苦し紛れに語ったか、まさかの二次創作か!? 御館様の教育をメッチャ疑う。

 

「初めて食べたご馳走と、クリスマスの楽しさに興奮して大変で御座いました・・・・;」

「アハハ;; 子供らしくて可愛いねェ・・・。」

 

童話は聞かなかった事にした。

 

「おや___また降り出した様で・・・。」

 

雪見窓からまたチラつき出した雪を見て、彼女はそっと廊下に出る。

隣に立てば俺は、君の雪を見上げる横顔を見つめてる。それに気がついて君も俺を見た。

思わず肩を抱き寄せ「ねぇ、八香」と、少し甘えるかにコツンと首を傾けて微笑んだ。

 

「君も俺を待ってくれていると信じて・・・俺も___君を待っているよ。」

「あ・・・・・・。」

 

向き直り、手を握ると君は何かに気付いた様に顔を赤らめ目を逸らしてしまう。

俺の勝手に膨らんでた未来予想図を読み取ったか手を放し、プイと背中を向けちゃったんだ。

 

「ててててて、て、天使などと・・・! 私から産まれる子は、・・・!」

 

恐れ多いかに___やたら慌てたかと思うと、声が小さくなって行く。

後ろから腕を回されると慣れないせいで身を竦め、黙り込んでしまった。

 

「俺はね、こう解釈してる。鬼子母神は病に掛かった君をこれ以上、ぞんざいに扱わせない為に

血を分け与えた。だが大人達はそれを悪用し、白い君を黒く変えてしまったんだと・・・。」

 

けれど、人間の本質までは変えられなかった___ってさ。

 

「だから君自身を否定して欲しくないんだ。その力はけして負の遺産じゃない。」

「カカシ殿・・・・。」

「ま・・・! いつかで良いさ___俺が君の隣に居られるのならね・・・。」

 

俺は雪を見上げながらそう呟いた。

恐らくだけど___イタチは俺に、彼女を託したのではないかと思う。

悪人になりきれないヤツが、その瞳で彼女を知ったと言うなら・・・放って置けなかったのだ。 

だから、この地に彼女を預けた・・・安息の地になり得る場所へと・・・。

 

「そう云えば・・・ここの庭に、ヤドリギはあったっけ?」

「え・・・? いや、ありませんが・・・何故?」

「そっか・・・残念・・・・、え・・・・!? 」

「まさか・・・・!?」

 

俺達はギョっとなり、突然庭先に現れた5Mほどのヒイラギの樹に絶句する。

さっきまでその布団に眠っていた雪羽が居ないのに顔を見合わせて、俺は笑った。

 

「八香___アノ子の気遣い(勘違い)に感謝しよう・・・!」

「は・・・・・!? ん・・・・ッ・・・・・・」

 

長く生きる化生の子は耳年増・・・、俺は安心すらして八香の唇を閉ざす。・・・こう云う事だ。

いつのまにか起きていた雪羽は柊に姿を変えて___ヤドリギはないけれど、代役を買って出た。

ヤドリギの下、神様はキスを許され、二人は結ばれると云う言い伝えだ。

こんなにも、式にまで愛される君を俺が放って置けるワケがない。

俺は彼女の手を放さず___想い続ける。

 

(だから、ずっと傍に居て・・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【//end】

 

 

 

 

 

 

 

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