聖なる夜に君を想う。   作:ふま

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スガシロ→ネジ→八香→カカシ→冬馬の視点で進みます


9、生き傀儡

 

 

(忍どもめ___今、八香を渡す訳にはゆかぬ・・・・。)

 

棒立ちに立たされる若造二人、己の闇の中でもがいている事だろう。

忍術で云うなら___恐らくは幻術の様なものを奴らは今見ておるのだ。

苦しむがいい、”臍噛の術”で。己の心の奥底に沈んだままの”悔い”に襲われていれば良い。

入り口近くの小僧どもを倒したであろう弟子達に此処を任せるとしよう。

 

「___ハルオリはもうベッドに沈ませたのであろうな?」

 

女官らが、あの女の着ていた衣装を持ち帰って来た様だ。

 

「 「  はッ・・・。  」 」

「よろしい___若が寝てる間にアヤツの気を吸い取って置かねばならん。急ぐぞ。」

 

明日、この狂った空に満月が出るやも知れぬのだ____準備はしておかねばならぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・鬼や術者を倒したと思えば____!」

「厄介ね・・・・。」

「相手が人質の巫女だとはな・・・。」

 

どんな術かは知らない___だがこの周りにもう術者は見当たらないのだ。

写真の巫女のうちの3人が薙刀術で俺達に挑んでくる。怪我はさせられないのは勿論のこと

操られているとしか思えない程のキレキレのフォーメーションなのである。

 

「ネジ、ゲンマさんから預かったクナイ、もう使うからね!先に行った先生達が心配よ!」

「援護はシャクですが___僕らより陰陽術に詳しいなら助かります!」

「・・・・・あぁ。」

 

意地よりも___あの人の命、そしてこの彼女らをも保護する任務。

背に腹は変えられない。テンテンがそのクナイを力いっぱい打ち付けた。

 

「テンテン!後ろ!」

「!?」

「八卦空拳!」

 

しまった____思わず・・・・・!

テンテンの背後を取った一人にリーが声を上げたと同時であった。

吹っ飛ばしてしまった筈の体が__視界から消えた!?

 

「おいおい・・・、保護だと言われただろうが・・・?」

「 「 「____!」 」 」

「着くなりイキナリかよ、メンドくせェ___」

 

気を失ったであろう女を瞬身でさらったのは、飛雷神の術で掛け付けた不知火ゲンマだ。

そして、リーと対峙している1人に影が伸び、後の1人はライドウが素早く当身を食らわしてる。

 

「二人目を確保・・・!」

「よし成功・・・!____いの!」

「心転身の術!!」

「______いいぞ、何か引き出してくれ。」

 

チョウジは何らかの腹痛の為、いのとシカマルが彼ら特別上忍らと駆けつけたらしい。

イワシがいのを預かり、彼女が巫女から情報を得ようとする。

 

「体はもう大丈夫なんですか。」

 

俺は年相応に回復が早かったが、ゲンマ達はまだ入院していた筈であった。

千本を上向けた男は「あぁ」とだけ呟き、その様子を見守っている。

八香の危機に居ても立っても居られなかったのだろう、まだ万全ではなさそうだ。

 

「____________う!」

「いの、大丈夫か。」

「自分を誰かとも解ってなかった・・・、でもこれなら術は解けるかもしれない・・・!」

 

相手が気を失い、3人目の保護に至った。

ゲンマが並べて置かれた3人を繁々と眺めてはボソリと云う。

 

「解せないな・・・・。ネジ、中身も彼女らに間違いないか?」

「ええ・・・?」

 

体に異常はなさそうだ、写真のうちの3人で疑う余地も無かった。

冷静になって考えて見れば何故わざわざさらった巫女を捨て駒にしたのか。

 

「____ライドウ、イワシ、此処は頼む。俺達はカカシさん達を追う。」

 

何らかの事情で”要らなくなった”と考えるのが通常___ならば、あと二人が・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____”皆、お前を利用する・・・自の国でも、火の国でも何処に居ても同じ事・・・。”

 

そうかもしれない。だがそれは仕方の無い事・・・私はその為に在ったのだから。

 

”お前を火の国に置いたヒルゼンもそう・・・その力欲しさ故に自の国から奪ったのだ”

 

構わぬ・・・それが我が国を守る事にもなったのだ。

 

”哀れな者よ・・・この国に居れば、お前の欲しいものが得られると言うのに”

 

私が欲しいものだと?一体なんだ。

 

”お前の望む平和、民の歓迎、そして惜しげもない愛を注ぐ伴侶だ”

 

それが私の欲しいもの・・・? あまり考えた事はないが・・・。

 

”全てお前が望んでは捨てたものばかり____見るがいい”

 

そう声がした。重い目を開ければソコに嘗て見た、子供らの姿があった。

木の上から見ていた・・・無邪気な火の国の子供らの様子である。

そして場面は___気にすまいと・・・心から追い出していた人々の言動。

「自の国の、元・巫女だそうだが___得体が知れぬ」

「あのお方が来たせいで大蛇丸が___」

通りを歩けばちらほらそんな言葉を囁かれ、人通りの少ない方を選べば

素行の良ろしくない忍らに囲まれる。

私の腕を掴んだ者から読み取った悪意、それはあのダンゾウの嫌がらせでもあった。

「殺す価値無し」足元に生える雑草らに彼らの足止めをさせて事無きを得た。

「魔女め・・・!」___馬鹿者が。自然と寄り添って生きてきた民の末裔だと言うに。

そして惜しげもない愛だと?

そもそも___偶然が重なり合った、血の濃い私を本気で愛してくれる人はもう居ない。

ゲンマも・・・カカシ殿でさえ、本当の覚悟はしておられないだろう。

あのお方からの”それ”も恐らくは”一時の気の迷い”と・・・何処か冷めて理解してる。

だから少しだけで良いと、多くは望まなかった。

どちらかと云えば私の一方通行・・・カカシ殿にはもっと相応しいお相手が現れるだろう。

 

”心配には及ばぬ。お前を解放してやろう、我はお前の全てを受け止める者___”

 

すぅ・・・・!と何かが体から抜かれた、軽い衝撃。

 

”お前は新たな生を受ける___お前は__そこで生き続けるのだ”

 

心でも読めるのか____何故知っている。私が寂しさに絶望している事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____先生!」

「何があったんです・・・・?」

 

ある種の幻術か___俺もガイも心に残る辛い過去を再体験させられていたのだ。

掛け付けたゲンマたちによってチャクラを流し込まれ、正気に戻ったところだ。

 

「本当に・・・心の闇を突いてきやがった・・・恐るべき陰陽師だ・・・!」

「時間をたいぶロスしたな___」

「カカシ先生、あれ・・・・・!」

「シバ!?」

 

奴らの追撃を受けたか、フラフラになった忍犬のシバが戻って来た。

手を伸ばせばその場でバタリと倒れてしまった。それでも俺に伝えてくる。

 

「カカシ____大変だ。八香がなんだかヤバそうだぞ。」

「どうした・・・!しっかりしろ・・・。」

「盗み聞きをしてこのザマだ。それより___八香が”生き傀儡”の術に掛けられると・・・。」

「生き傀儡?」

 

女官らから僅かな彼女の匂いを嗅ぎ取ったので追ってみれば、水槽のある部屋で

二人が何らかの作業中、話をしながら小言を言っていたというのだ。

 

『全く__若様はまだまだ半人前・・・。』

『スガシロ様が居なければ我が国はとっくに滅びておる__しかし、口惜しいであろうな。』

『あぁ・・・静馬様を溺愛なさっていたからな。残った出来の悪い方が跡目になったのだもの。』

『それにしても気の毒だのう。あの娘、八香というたか・・・ハルオリ様の再来とは・・・。』

『運命よ。あの娘の血が鬼によって汚されたとしても”生き傀儡の術”で他に生命を与えられる。』

『我が国を救う為の”人柱”か___・・・・!? 誰じゃ!?』

 

そこで気付かれ、シバは逃げ切って此処へ辿り着いたのだった。

俺は彼に済まない気持ちで一杯になる。

 

「カカシさん・・・確かハルオリってのは此処の、太古の巫女の名前ですよ・・・!」

「あぁ・・・。」

 

この国の事を文献で調べれば必ず出てくる名前であった。元は流浪の民だと聞く。

八香がそれの生まれ代わり?自然の力を司ると云う点ではそうかも知れないが・・・。

 

「有難うな____ゆっくり、休んでくれ。」

 

彼を消して戻らせる。その場に居た全員が”生き傀儡の術”という言葉に不安になってる。

術としては初めて聞く名・・・そして、”我が国を救う為の”人柱《ヒトバシラ》”と云う言葉に。

俺はふと思い出す___彼女が話してくれた、幼少時代の事を。

 

「カカシ____!」

「無事だったか、パックン・・・・!」

「話は後じゃ!皆、わしに続け!」

 

掛け付けたパックンに希望の光であれば良いと___俺は皆に「行こう」と目配せする。

 

 

 

 

 

 

 

「午前零時____今宵、満月の夜を迎えまする。」

「うむ」

「よう辛抱なさいましたな___花嫁の準備をしておきました故・・・・」

「う、うむ」

 

さっきのは何だったんだ___殴られた衝撃を受けたのだが・・・。

スガシロが云うには、春織を前に・・・その霊気の高さに勝てなかったとか・・・?

陰陽師としては恥ずかしい限りである。何もせず術中にはまるなどと・・・!

 

「若、花嫁がお待ちで御座います___」

「あ・・・ぁぁ。」

 

私は後頭部の何となくな痛みを抑えつつ、彼女が待つ神殿へと移動している。

婚約の儀は___契りを交わす事で成立するのだが・・・不安ではある。

それが成立したのを見届ける役目の者らが4人も閨を取り囲んでおるのだ。

儀式とはいえ。うまくイク・・・いや、上手く事が運ぶだろうか・・・?

 

「・・・・・・・・・・!」

 

準備とはこう云う事であったか。香を炊かれた蚊帳を潜った中では褥の上___

一糸まとわぬ女がまるで十字に貼り付けられた様、寝かされておるのだ。

潤んだその眼は生贄になるのを覚悟したか、覗き込まれると瞼を閉じてしまう。

 

「恐れるな____春織・・・。」

 

私はそっと・・・焦がれた彼女の美しい胸に、唇を寄せる。

チュ、と音を起てると処女の様な清らかな体がビクリと跳ねる___

恥じらいで体をくねらせる様に、私の全ての疑問や不安が吹き飛んでしまう。

美しいのだ、白く瑞々しい肌に紅い綺麗な模様・・・触れれば硬いと思える程の形の良い胸は

まだ男を知らぬ、若過ぎる女の体そのものであった。

 

「お前を娶る為の儀式だ・・・、按ずるな、痛くはしない___」

 

小さな、色気のあるぽってりした唇をウットリ眺めては奪い取る。

 

「ン、ン・・・・ッ」

 

苦しげに声を上げられると欲情を搔き立てられる・・・・!

4人の監視のことなど___もうとうに吹っ飛んでいた。

 

(_____もう誰にも渡せぬ・・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

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