プロローグ(1)
同情などしない。するわけがない。それでもその環境を変える気も起こさせない程に私は弱かった。否、人ではなかったからこそ、変える気を起こさなかったのかもしれない。起こせばその時に協力した者をただ蒸発させるだけだった。だから動かなかった。
ならば今度は人として世界に関与しよう。それが、心の歪んだ私が出来る方法なのだから———
暑い。耳を澄ませないと蝉の鳴き声が聞こえない程、暑い。その上今朝降った雨のせいか、サウナにいるような気分になる。
「おーい贇《いん》〜運ぶの手伝ってくれ〜」
「ジャンケンで勝ったらやんなくて良いって言ったのは店長が言ったんでしょうが。僕は何もしませんよ〜だ」
外で仲良く言い争いをしているのが贇でもう1人が、今回ボクらが集まる理由を作った。
今回の集まりは、家庭の事情で引っ越す事になった友人と遊ぼうという事で、キャンプをする事になった。2泊3日と中々の行程のものらしい。キャンプの場所は廃校になった学校をキャンプ場にした所で、ボクたちは荷物を校舎入れている。贇が拒んだのはそのキャンプに必要なテント等の品だと思う。既に食品は冷暗所内の冷蔵庫や冷凍庫に入れているからだ。あまりこういうのは経験がないから分からない所もあるけれど、まあ楽しみだから良いけれど。
少しだけ贇たちの言い争いが大きくなり、近くにいたボク以外の友人たちにも聞こえる程だった。ここで止めにはいればばどうなるか。まあ確実に攻撃の的になるのは明らかだ。こういう時は関わらない方が良い。
「あいつら朝から喧嘩してるが疲れないのかねぇ?」
「ピライ君もよく喧嘩してるんじゃないか、人の事言えるの?」
「俺は良いの。俺のは時間を無駄に消費するだけであまり関係ないが、店長と贇のはこのキャンプに影響を与えてるじゃねぇか」
「同じ時間を無駄に消費してるというのには変わらない気がするけど・・・」
喧嘩が続くのはボクらとしてもあまり良いものではないので代わりに荷物を運ぼうと外に出ると、キャンプ場の外から車が来る。誰が来たんだろう?
「おーい遅れてすまない!バイトが思ったより時間がかかってさ〜おやっさんありがとう」
「こうするなら全員で行った方が効率が良いと思うんだがな。あとおやっさんと呼ぶな、まだ20歳だ」
おや・・・じゃなかった。窓原さんは今回の主役の修也を連れて来てくれたようだ。というか、まだ来てなかったんだ・・・それは知らなかった。それにこんな朝早くからバイト帰りって考えると深夜明けかな?どうせ他にもすることはないし、修也に荷物を置く場所を伝えに車に向かった。