「少しぐらい残せよな贇。今日はお前だけのじゃないんだからさぁ」
「僕も子供じゃないんだから、ふーふーパフパフ。うっくっ・・・うむ。分かってるよ〜修也君」
「なら食いながら喋るな。喉詰まらせるぞ〜」
あらあらまあまあ、また揉め事ですかいな。いい加減にしてもらえないかねぇ。何度も何度も小さい喧嘩が起きるのなら、一度大きな喧嘩すればいいのになぁ。
「ねえ店長もう少し頂戴〜拙者足りないでござるよ」
焼いた肉野菜を一度贇の皿に乗せようとする店長だったけど、その贇の皿をスルーして妹の皿に乗せた。
贇は何でと尋ねたら、いい加減食いすぎだと注意された。ボクからしても贇だけ三人前分食べているのだから、店長がもう出せないと注意するのも無理はない。
贇はそんなぁとしょんぼりしたが、何か思いついたようで店長に贇の皿を指差す。何か理由をつけて多く食べようとしているみたいだ。
店長が肩を抜かすと贇の皿に嫌々載せる。上手くいったと笑う贇は載せれるだけ貰い、ボクの方へ来た。
「ねぇねぇ少年君。さっきの子供はどこ行ったの?君もお腹空いてるだろうけど、さっきの子の方がお腹空いてそうだったから貰ってきたけど」
ボクの近くに子供なんていたっけ?いるとしたらボクを殺人者と言う子供だけだったけど、あれは他のみんなには見えてなかったと思ったけどなぁ。少なくとも真野と妹は気付いてなかったし。
「子供なんていた?ボクしかいなかったじゃん最初から」
「いいやいたよ!隠し子か何かかな?」
「何でボクの歳で隠し子がいるのさ?怖すぎるし、逮捕されちゃうよねそれ」
「校舎の方に行ったの?それも言えないのはちと変だよねぇ〜?」
ぬっ・・・・・・どうしようか。目を離した隙にいなくなったと言っても本当に?と返されて詳しいところを言わされるかもしれない。じゃあどうするか・・・うーむ。
「嘘は良くないよ。他に行く場所もないし、校舎の中にでも行かせてもらうよ」
「ちょっと待って!」
ん?と疑問に思っている顔をしてボクを見る。あーあぁ。もうこうなってしまえばしょうがないけど、言うしかないか。
「さっき山の中で会ったんだ。ここら辺に住んでるみたいでさ」
「ふーん・・・・・・本当に?」
コミュ障なのにそんなことが出来るの?と言いたそうだ。贇が本当にそう思ってるのなら事実だし、怖いなぁ。
「本当だよ。ここで会ったんだよ」
「ならみんなの所に連れて行こうよ。その子1人とかかわいそうだよ」
いやまあ、そうだけどさ。本当にいるかどうか。いなかった場合どう言い訳すればいいのかわからないけれども、もうしょうがない。多分校舎の中に入るときに扉を開けた気がするから、きっと大丈夫な筈だ。
「お腹空いてるから僕たちの所に来たんでしょ?いきなりは難しいだろうから、少人数で一緒に食べようよ〜」
校舎内に入るとすぐに贇はボクが人を殺したと言っていた子に呼びかける。実際はいないのだから、出て来るわけがない。出てきたらちと怖い。
一般の教室から職員室、工作室などの専用の部屋まで可能な限り探したけれど、やっぱりいなかった。
「うーむ、いないかぁ。それじゃあ少しだけ僕たちが貰って後は保健室の冷蔵庫にでも入れておこうかな。恥ずかしくて出てないだけなのかもしれないし」
だからいるはずもない人間を見つけるなんて無理に決まってるんだ。そう思ったけど、顔には出さずにボクと贇は食べ物を三分割にして食べて残りを保健室の冷蔵庫に納めた。