叫びを上げる。身体にも痛みが走る。先ほどの潰されたのは足だけだったと思うのだが、違うのだろうか?
目を開けると、周りには草木が生い茂っていた。この景色は先日にも見た気がする。いつだ・・・・・・?ああぁ・・・・・・思い出した。この景色はあれだ。
本当に時間が戻っているのかなんて分かるわけがない。彼らに会えばその反応で分かるかもしれない。しかし分かったところでこちらにメリットがあるかどうかは分からないが、まあ為せば成るという奴だろう。
立ち上がろうと腕をつき身体を上げるが、右下半身が思うように動かない。先程の化け物に砕かれてしまったからだろうか?動いてはいるが感覚がない。
・・・・・・感覚がないだけで動きはしている以上、ただ時間が戻っているだけだろう。そう思わないと理解出来ない。記憶を、痛みを引き継いでいるところから考えると正夢とは考えにくい。
右足を地面に付けた感覚がないままだがもう一度テントの方に向かおうとするが、身体の奥底がそちらに行っては駄目だと感じさせる。また化け物に足を潰されてしまうからと心が思ったのだろうか?しかし他に行く場所なんてない。どうしろというのだろう。
近づけば近づくほど、身体が悲鳴をあげる。そこまでして通行の邪魔をしてくる身体は本当この先がどうなっているかを理解しているのかもしれない。
こちらに行けと身体が心に叫ぶ。もうこれ以上テントの方に向かったらそれだけで力尽きると思い、その身体の指示に従う。
肩を上下に動かしながらも進んで行くとそこには、小さいが川があった。水は透明で魚も泳いでいる。水の中に魚がいるのは本などで知ってはいたが、実際に見たのは初めてだ。こんなにキラキラ光るものだとは知らなかった。足が悪いのも忘れて魚を捕まえようとする程だ。ここまで心を揺さぶられたのは久しぶりだ。
足の感覚は相変わらず戻らない。川を飛び越えるのはどう頑張っても無理そうだ。ましてや今はこんな状態だ。まずは冷やして感覚が少しでも戻るようにするべきだ。
靴を脱ぎ水に足をつける。ヒヤリとした感じから血管が縮むような感覚———普通なら血管が縮んでいる感覚なんて分からないが、他にどう説明したらいいか分からないのでそういう事にしているだけだ。———がある。だが、川の底に付けている足裏には岩や石に触れている感触がない。
「キノ!どうして
「黙って歩く!無駄なエネルギーを消費したくないの!」
「確かに変なところはあるけどさ、それでも僕たちのことを考えてのことのはずだよ!」
声が聞こえる。内容からして
少しでも目立たないようにする為に、右足を川に付けたまま身体を寝かせ体勢を低くする。
声の主は自分達の事で手一杯なようでこちらの方には気づいていないようだ。と思ったら足が止まった。話の内容からして多分共に行動している方に何かを伝える為だろう。
あまり人の話を聞くのは良くないが、何故か聞きたくなる。
「だっておかしいもん。じゃあなんで自分の数少ない食べ物を他人に譲るのさ?」
「そ、それは、ストレスで食べられないとか・・・?」
「違うね。絶対何か食べ物を隠して、それを
草?今草って言ったのか?レタスとかキャベツとかの草なのか?これらは葉なのだが、そういう感じの物を煮詰めたのか?だが、そういう食物で疑いを持つ筈がない。本当にその辺の雑草を煮詰めたのか?
「それなら本人に聞けば・・・分けてくれるかも?」
もう1人は
「貰えるんならもうとっくの昔に貰ってるよ。くれないからこうやって探してるの。それに
「えっ?みんな昔から仲良かったよ?どうしたのさ?なんか変だよキノ」
キノとリオンの記憶に誤差があるようで、キノもどうするか迷っているような言葉を呟くと、またリオンの手を引いて歩き始めた。
・・・・・・・・・何故か気になるな。右足の感覚は戻ってはいないがまあ大丈夫だろう。川から足を出してその後を追った。