友人たちとの合流で
ああかっこよく切り出したのはいいけれど、ただのナイフ一本で何が出来るかと言われたら、不意打ち気味に首元に差し込み身体から引き剥がすようにしないと意味がないだろうし、BOWにはあんまり効果ないだろうし・・・うーむ、どうするか?
警戒しながら、危険なことを考えていると、遠くに人影が見えた。こんなところにいるということは、
ナイフを力強く握り締めて、そして肩の力を抜いていつでも首元を狙えるように戦闘態勢に入る。今は結構離れているので足音を可能な限り消しつつ、もう少し近づいたら相手の歩くテンポに合わせて近づいていていこう。
そんな感じで近づいていくと、それらがBOWでないことは見た目でわかった。今までBOWは大体が衣服の至るところに血痕が残っていたが、それらには血痕は見受けられず、BOWとしては大人数での行動だった。夢とはいえ多くの
けど、新型っていう可能性も否定出来ないので、腕に取り付けていた時計を床に落とす。
ドコンッと音を立てた直後に「きゃっ」とか「ヒィッ」などの悲鳴が聞こえた。BOWとは考えにくいな。BOWは
考えられるのは2つ、1つはボクみたいにBOWの自覚がない可能性。2つは恐怖を感じるBOWだという可能性だ。3つ目もあるかもしれないけれど、それの可能性は多分ない。ここまで無傷で来れるはずがない。
「みんなは彼に付いて行って。僕が確認に行くから。大丈夫だって!この中で一番装備が整ってるんだから。それじゃまた後で」
人の言葉を話すBOWか・・・・・・可能性はないわけじゃないけど、やはり襲ってくることも視野に入れないと。
ナイフに力が入る。カリカリと手が震えて狙いが定まらない。これは夢じゃないんだ。今までとは違い、本当に誰かを殺すんだ。心は分かっていても、身体が思うように動かない。
気配がだんだんと近づいてくる。覚悟を決めるんだ。一発目を逃せば一体のBOWはおろか、他のBOWにも気づかれて殺される。
それだけは回避しないと、約束したんだから。
角からBOWが出てきた一気に仕掛ける・・・・・・!!!!!凹む地面も気にせず、一気に、狩人のように相手の首めがけて飛びかかる。
「・・・・・・!少年君!?生きて———」
この喋り方は、贇だ。やばい止まらない!このままじゃ贇に刺してしまう!止まれえええ!
飛びかかった身体が止まることはなく、贇へと少しずつ近づいていく。何とかしようと身体を捻るが体勢は変わらない。やばいやばいやばいやばい!!!!!!
「ほい」
「あれっ?」
贇は気の抜けた声と共に悠々とボクの攻撃を回避した。いやちょっと待って!?角を曲がった瞬間だよ?避けれるわけないじゃないか!なんで避けてんの?ボクがここにいること知ってなきゃ無理でしょ!
贇が回避したことで誰にもナイフが当たることはなく空を切り、ボクもスチャッと何事もなく着地する。あの回避の仕方には一瞬だけれど、恐怖を感じてしまった。
「生きてたんだ・・・・・・少年君・・・」
「正しくは死んだけど、舞い戻って来たって感じかな」
ちょっとだけ格好つけて言ってみたけど、贇は驚く様子もそれほど見せずに話を続けてくる。もっと喜んで欲しかったなって思うけど、もしかしたら、
「それならみんなと合流はしない方がいいね。みんな結構ピリピリしてるんだよね。事実ピライ君をあのバケモノの中に追い出してるし」
ピライ君はボクみたいなBOWじゃない。というよりまず化け物ですらない。それなのにみんな捨てたのか?理解出来ない。なんでみんなで脱出しようって思えないんだよ。友達じゃないか、みんなさ・・・・・・。
「それだから、君も来ない方がいい。最悪殺される。死ぬのはこの状況じゃしょうがないけど、その可能性をあげる行為はしたくない。だから」
贇も一応は考えているんだ。見捨てたのだからもう気にしてないと思ったけど。多分これだったらみんなも追い出したくて追い出した訳じゃない筈だよね。被害妄想や疑心暗鬼があるからだよね。それだったのなら、ボクはどうすればいいのか聞いてみようか。
「・・・・・・いいよ。それでどうすれば良いの?みんなと合流できない以上、ここにいても意味がない訳でしょ?」
「君にはピライ君を頼みたいと思う。僕は向こうで手がいっぱいだから。後これなんだけど持っていってくれないかい。少年君を、ピライ君を守るために使って欲しいんだ」
贇はボクの腕を掴むと、拳銃とそれの弾倉を持たせる。
「これで撃てと・・・」
「使いたくない、使わない、とかならそれでも構わない。でもナイフだけじゃ心許ないでしょ。念には念をってね。時間がかかるとみんなから疑われるし、僕はもう行くよ。少年君、ここから出たらまた会おうね」
「うん。贇、気を付けて。ボクとは違ってあれに触れられたらゲームオーバーなんだからさ」
空いた手で贇と握手をして、ボクはピライの元へと向かった。