拳銃を渡されたものの、収めておくものがない。危ないけれどズボンのポケットに入れて上に上がる道を探す。
その途中でボクの
傷に従って行くと、その先には取り付け式の梯子があった。多分これを使えば校舎に戻れる筈だ。違えばまた探せばいい。今は贇たちを信じよう。
梯子を上って行くと、腕に振動が走る。梯子の先が校舎にくっ付いているとはいえ、ここまで揺れるのは変だよね。十中八九
右手に銃を持ちながら校舎の床に続く扉をゆっくりと開けていく。右には誰もいない。左はボクの落ちた穴が何も変わらずに風の音を立てていた。
振動はあったから近くにいると思ったのだけれども、もう一つ上———2階にいるみたいだ。
一階に上がってすぐに扉を閉める。変に開けっ放しにしていると落ちてしまうかもしれないし。
振動が近づいてくる・・・・・・いや、上だ!
上だと言い切る前にボクは横に飛び込んで、上からくる木の破片や大きな人型のBOWから逃げる。
「がふっ!」
何とか避けることが出来たけれど、木片と共に埃がボクに掛かり喉が乾く。ピライ君はひとりぼっちでこいつと戦っていたのかもしれない。校舎の上にBOWを保管している場所があるとは思えない。
「リ・・・少年!馬鹿なっ何で生きて・・・」
「話は後で!まずは!」
「分かった・・・ロック稼げ!俺がとどめを刺す!」
BOWも体勢を即座に立て直し、ボクにも敵意を向けてくる。ボクも向こうと同じように、敵意を向けつつ銃とナイフを掴む。こんなものじゃやつを倒すことなんて出来ない。まず核と頭部を潰すことが出来そうにない。ならとどめ自体はピライ君に任せてボクは奴の動きを封じることだけに専念しよう。
左側から蛮刀が流れるように近づいてくる。後ろに飛んでその攻撃を避けるが、向こうはそれを見越して即座に左腕を振り下ろす。まだ着地が出来ていない状態では回避は無理だ。空中で回転が出来るのならワンチャンといったとこっ・・・・・・!!!!!
グチャリと嫌な音を立てながら右肩が砕ける。良くて粉砕骨折と言った所だと思うが、これだって充分ロック稼ぎになってるはずだ。——————なってると信じたい。
「がぃぃぃぃ!!!!!!!!!!」
砕けて数秒後に身体が痛みを理解して、その痛みが腕を伝ってボクの身体全身に行き渡る。発音が変な悲鳴とともに、無事な左腕で肩を押さえる。その行為が無駄なのは頭では理解していたけれど、反射的に身体がそれを、その行動をとってしまう。
「このっ!」
ピライ君は人型のBOWの背中に手持ちの槍を差し込むが、止まる気配はない。やはりBOWである以上頭部と核をほぼ同時に砕かないとダメなのか・・・・・・
「爆ぜろぉぉ!」
ピライ君の叫び声と共に持っていた槍の先が光を放つと、周りに水が飛び散った。目にも入ってしまい、ゴシゴシと目を擦る。
何とか水を取ることが出来たようで目が痛みなく動かせる。状況確認も兼ねて周りを見てみると、部屋全体が黒ずんでいた。夜だから黒く見えるというのもあるけれど、にしては黒すぎる。それに身体もなんかベトベトする。気持ち悪い。
「動けるか?少年」
「問題ないよ。それにボクはリオンだよ?ピライ君」
「戻ったのか・・・・・・」
「統合したっていうのが正しいかな。
「そうか。それならそれでいい。俺たちは別ルートからの脱出を行う。行くぞリオン。ここからは一切の情は許されないぞ。変な情は俺たちの首を締めることになる」
元からそのつもりだと言いたかったけど、ボクの方はこういうことには慣れてないのもあって、言い切るのは無理だった。
「うん。可能な限りはそうするつもり。それじゃあ行こうか」
「その前にこいつの身ぐるみを剥いでおこう。力だけでも人間を超えているんだ。武器なんて持ったらそれはもう鬼に金棒ってやつだ。まずはこの蛮刀を・・・・・・くっ」
「どうしたの?腕が痛むの?」
「そうじゃねえ、ただ重いだけだ。放置する訳には行かないが持てないんじゃな・・・」
確かに大きい蛮刀だけれども、そんな重いようには見えないんだけどね。
ボクも試しに握ってみると・・・・・・むっ、確かに重い。けど持ち上げられないほどではないけど?
その行動にピライ君は口が開いたままになっていた。
「ええぇ・・・・・・やっぱお前凄えわ。俺には出来ないことを平然とやってのけてる・・・」
ピライ君の驚きように少しボクも驚いたけれど、すぐに蛮刀のホルダーを回収し外にある車へと向かった。