校舎の周りには、多くの一般的な人サイズのBOWが点在していた。車に乗るためにはこれらを回避しつつ、乗り込まなければならない。その上こっちは触れられたらゲームオーバーだ。ボクは元からBOWだから感染することはないだろうけど、痛みは感じる訳だし、気を付けないと。
作戦はこうだ。まずは噛まれても大丈夫なボクが先行して
地下にいるみんなのところにBOWを向かわせないように、一度二階に上がり窓から外に出る。ザガッと砂が鳴ったが、自分たちも同じように音を立てているから、気にするレベルじゃないと判断したのかな?誰もボクの方を向かないし、近づいてこない。
周囲を確認して例え大声で叫んでも、すぐには来ないぐらいの位置にBOWがいるのを確認してからピライ君にこちらに来るよう合図を送る。手持ちライトだと目立つので小さなレーザーサイトみたいなので行う。
向こうからも来たので、車までの道の確保を続ける。
ピライ君もボクと同じように窓から飛び降りて一直線に車まで音を可能な限り殺しつつなおかつ素早く走った。
ボクの後ろを抜けてもう少しというところで、一体のBOWがそれに気づいた。距離は離れてはいるが、本当に全員が同じ性能とは限らない。ボクみたいに人の心を持ったBOWがいるんだ。ただ歩いてるだけで進化する可能性だってある。
「ピライ君・・・・・・!」
「だがこれだけ離れて・・・ってワンパンでゲームオーバーの俺が言える訳ないな。ロック頼めるか?」
「元からそのつもり。あいつだけ潰したら乗るからいつでも出られるようにお願い」
ああ、という言葉をピライ君から聞いたボクは、彼を信じてその気づいたBOWへと素早く近づく。
ピライ君にあの距離で気づいていたんだ。ここからなら簡単に気づかれているだろうね。だから不意打ちは使えない。この蛮刀の一撃に全てを賭ける。ボクより力のありそうなピライ君がこの蛮刀が重いと言っていたからワンチャン当てれば勝てる。勝てなきゃダメなんだ。
肩の蛮刀をスパッと抜き、BOWの首を狙って右
蛮刀はしっかりとBOWの首に当たった。だが、ボクの力が足りなかったのか、向こうの首の筋肉と骨が硬かったのか、中途半端なところで蛮刀は動きを止めた。
「いやちょっと待って予定と・・・!!」
抜こうにもしっかりと食い込んでしまって抜けそうにない。逃げようと蛮刀から手を離してピライ君の方を見ると、その視界にはボクの方を見るBOWが見えた。
獲物だと思われているのかな?ボクにのしのしと一歩ずつ足を進める。身体全身に恐怖による震えが走ったけれど、こんなのはもう何度も経験している。ボクじゃなくて
行動にそこまでの影響はなく、ボクは目の前にいたBOWに対して体当たりをして、それでできた穴に吸い込まれるようにピライ君が準備をしているであろう車に向かう。
今度は校舎の方から音がする。さっき倒したBOWだろうか?流石に生身で倒すのは無理だ。無視して車へと走る。
「ピライ君・・・!!!!!」
「分かってら!後ろのベッドルーム内に適当なの置いといた!それで迎撃頼めるか?エンジンの掛け方が分かんなくてもう少し時間かかりそうだ」
ボクが今まで使ったのは、贇から貰ったような拳銃ぐらいしかない。これは夢を含めてだ。撃つだけなら出来ても狙うのは無理かもしれない。その上車が動くまでそんな腕で守らないといけない。かなり無茶な行動だろうけどやるしかない。今更走って逃げるは無理だ。
校舎内のBOWの走る速度がどれくらいかは分からないが、遅いのならピライ君1人でもやれる筈だ。それが出来てなかった以上、車ほどは速くないとしても、足が速いことには変わりはないと思うし・・・。
乗車口から重火器を固定して外に向ける。固定する分射角が制限されてしまうけれど、これなら少しはマシな狙いが出来るはずだ。
「どうせバレてるんだから、全員かかってこい!ボクのクソ雑魚狙撃で撃ち抜いてやるわこのやろー!」
自身を鼓舞しながらBOWに向かってボクは弾を撃ち込んだ。