反動で少し車が揺れる。遠距離なら問題になる揺れだろうけど、こんなに近くだったら関係ない。とにかくとかどかと弾を撃ち込んで行くだけだ。
「まだダメなの?ピライ君!」
「あああああ!!!!!あいつら予備ぐらい車ん中残しとけよな!あんな作戦たてる余裕があったら念のためっていうのを準備しておけよ!」
「ない感じ!?」
「ない感じ!」
おわた。やーっぱしっかりと考えてから行うべきだったなこんにゃろー。
「どうすんのさ!」
「物理で動かす」
「いやちょっと待って今なんて?」
物理で?テコの原理みたいな感じで?でも中からどうやって?
「心配するな!お前は目の前の敵に集中してくれればいい!」
って言ってもこの状況で物理って信用出来るわけないじゃないか。けど、それしかないのならしょうがない。ボクはボクの仕事をするだけだ。
もう一度重火器をBOWたちに向けて少しでも時間を稼ぐ。ドカドカと地面に伏せていくけど、数が多すぎて処理しきれない。
怖くて怖くて、手がガタガタ震えてるけど、ピライ君の物理攻撃はまだ終わりそうにない。
「ピライ君もう限界だ。無理なら走って———」
エンジン音と振動が車に伝わる。本当に物理でどうにかしたってことなのかな?
こちらに声をかける時間もないほど、BOWたちが近づいていたので、ピライ君はボクがベルトを付けていないのを知った上で、フルスロットルでその場を後にした。
廃校舎を出てからボクたちは可能な限り飛ばしながら街に向かっていた。
「ど田舎な場所から都市部までは結構な距離がある。数日経っているとはいえそこまでBOWたちが体力が持つとは考えにくい。いやこの場合体力っていうより耐力の方が正しいか?」
「そんな他人からすればどうでもいいこと考えてないで、どこに逃げるか考えないと!」
「うるせえ。少しぐらい独り言言わせろや。お前が嫌って言うから渋々本題に入ってやるよ。まだこの辺には無線がまともには使えないらしい。さっき試した見たんだが、多くの人が同時に使っているのか機能していないんだ。多分、都市部にもBOWがいるのかもしれない。ただのテロだったらまだ対処のしようがあったんだがな・・・・・・」
そっちも問題でしょうが!今のピライ君の考えてることが全然分かんないや。物理でどうにかするとか言ってた時点で分かんなくなってたけど。
「おーい!そこの車乗せてくれぇ!」
人だ。結構町から離れているけど、もしかしてエンストで動けなくなったのかな?だとしたら乗せてあげないと。ボクたちの車ならまだ乗れるし。
「無視するぞ」
「えっ・・・?」
どうして?まだ乗れるじゃないか。いくらなんでも酷すぎるよ・・・・・・。
「子供だっているんだよ?彼らぐらい・・・」
「少し遠くなるが右前の方を見てみろ。同じような人がいる。乗せてしまえば、あの人たちも乗せなきゃならなくなる。それにこんな重火器を置いていたら、「日本なのに銃を持っている!こいつらが原因だ!」とか言われてみろ。危険なのはお前なんだぞ?俺はお前ほど症状が出ていないからまだ目立たないが、リオン。お前は自分からは見えていないから正論を言えているんだろけどな、俺から見れば本当にリオンは大丈夫なのか?と思いたくなってしまうぐらいの見た目だぞ?」
そんなに今のボクってBOWに近い状態なのか・・・それは・・・。
「人を助けるのなら、まずは自分の安全を確保してからするべきだ。しないで行う奴はただの馬鹿で逆に他の人に迷惑をかけることをこれっぽっちも考えちゃいない」
「・・・・・・なんか変わったねピライ君」
「そうか?そう感じるのは多分リオンは意識統合があったからじゃないのか?」
「いや、それだけじゃないと思う。だって、今までのピライ君だったら助けはしないかもしれないけど、心が泣いてるのが見て分かるぐらいだったのに」
「極度の疲労がこうしてるのかもしれないな。まあとりあえず無視するぞ」
本当は無視なんてしたくないけれど、彼の言う通り乗せてしまえば他の人も乗せないと行けなくなる。それに、多分予想になるけど、今のボクに触れれば無視しようとしている人たちが感染してボクらの敵になるかもしれない。
他の人に拾われることを願ってボクたちはそれを無視した。
「1つ話をしようかと思うんだがいいか?リオン」
答える力が湧かない。どんな理由を作ってもボクは彼らを無視したってことには変わりはない。もちろんあれがボクたちにとっても向こうにとってもだとしてもだ。向こうは最悪だ。と思っているだろうけどね・・・。
「答えないなら、肯定ってことでいいな。後ろを見てみろ」
返事はせずに後ろを振り返ると、さっきの人たちはもういなくなっていた。見捨てられたから別の所で助けを呼びに行ったのかな?
「多分もう発症寸前だったんだろうな・・・。横切る時に子供の目が赤かった。子供が感染しているところから見て多分親もそれに近いものにはなっているだろうさ。見えなくなったのは・・・」
「・・・・・・言わなくていいよ。大体分かったから」
「そうか?それなら言わないが」
ピライ君、ボクが気分が悪くなるように仕向けてるのかな?それとも彼も彼なりにストレス発散をしているんだろうか?そのために人を人を巻き込むのは辞めてもらいたい所だけど、彼はボクと違って、触れられたらその時点でゲームオーバーな状態だ。ストレスが溜まってもしょうがないのかもしれない。
話すこともなくなりボクもピライ君も黙って車を走らせていると、高速へ向かう道が渋滞で動かなくなっていた。他の人もあの
「やばいな・・・ここで止まるのは自殺行為だ。ちと迂回することになるだろうが、下道から行くか」
ハンドルを切り、外れの道を進んで行く。急いで逃げたいという意識が先にいって時間がかかる方には人は誰もと言っていいほど来ていなかった。
「これならこっちの方が早く移動できそうだね、ピライ君」
「ああ。これなら安心して飛ばせるぜ・・・!——————リオン!左だ!」
「えっ——————」
ピライ君の声に言われた通りの方向を見ようとした瞬間、僕に意識は何処かに消えてしまった。