修也と別れてすぐのこと。店長は肩を押さえながら真野たちと合流すると、脱出に使えそうな乗り物を探していた。
「店長・・・・・・修也は?」
「殺してはいない。リオンの妹のおかげでな。虫の息って訳でもないから安心しろ。時間が経てば戻ってくるさ」
あのように疑いのかかる状況を経験したのにもかかわらず、真野たちは追い出そうとはしないようだった。ピライの件で懲りたのかもしれない。
「ありがとう・・・」
「なんか言ったか?」
「いいや。手伝うが、今どこまで行った?」
「電車は見つけたんだが、動かし方が分からなくて使えない。分かれば多分使える」
真野が見つけた電車に足を運ぶと、その電車は輸送車だった。
「基本操作は同じなはずだが・・・真野は電車の体験会行ってないのか?」
「そんな簡単に電車の運転席に触れられるか馬鹿野郎」
ならと、店長は先頭の運転車両に行って電源や調整を行う。
「そこらへんも体験会で?」
「まあな、せっかくだから今度行って見たらどうだ?」
「興味ないから遠慮しとくわ」
店長は調整が終わったと真野に伝えると後部車両に戻っていく。芹と贇に攻撃した蟹型のBOWがこちらに来た場合、今の武器じゃ対処は出来ないだろう。輸送車なのだから、対処が出来る武器があってもおかしくない。
「リオンの妹。なんか使えそうな物はあったか?」
頷き車内から取り出したのは、妹の身長よりも高い銃だった。対物ライフルというやつだろう。確かにこれならばあの蟹の装甲を貫けるかもしれない。
良くやったと頭を撫でようとしたが、途中で止める。どんな理由があろうと、店長は彼女の兄を殺している———贇以外がリオンを見ていないので知らなくてもしょうがない———ので、そんなことができる立場にはなかった。
「(やっぱクズだよな・・・俺って)」
自分に嫌悪感を抱きながらも脱出を優先する。懺悔なんていくらでもあと出来るのだから当然だ。
「店長!もう出るか!?」
「修也を待つ!だが先に別のBOWが来るようなら、悪いが見捨てるしかない!」
「分かった!」
真野の問いに答えながら対物ライフルの弾倉に弾を込める。リオンの妹も予備の弾倉作るためにそそくさと手伝ってくれているので、ペースは非常に速い。これならば、6セット分は用意出来る。
6セット目が終わり7セット目に手を付けようとした時、修也がいるであろう方向から、人と何か・・・・・・ミサイルだろうか?爆薬の入っていないただの弾のようだが・・・・・・?
壁に突き刺さると人は壁に貼り付けられて動きを止めていた。
「・・・・・・て、店長・・・・・・逃げ・・・」
「修也・・・・・・!」
真野に合図を送り電車を走らせた。電車はすぐにトンネルに入ったが、その入る瞬間に見えたのは店長が予想していた蟹型のBOWだった。