階段を上がり向かった先は旧生徒会室だった。今じゃ使われていない教室に入って何をするんだ?薄い本的展開か?
「んなわけないでしょうが」
ヒエ・・・・・・贇に心の声覗かれてる。うわぁーこいつの近くに居たくねえ!
「君がダダ漏れなだけだと思うんですけど。顔に出すぎ」
へいへいそうですかいな。
刹那さんは俺たちのことを聞いてはいるだろうが、無視してエアコンのフィルターを外す。掃除なら昼にやりゃ良いと思うんだが。こんな暗い時にやろうと思ったら電気が必要だろうし、電気を付ければ赤鬼たちが来る。あべこべだ。
「2人ともここから逃げるわ。登るのは難しいけれど何とか頑張って」
「こっからどこに行くんだ?ダクトにでも繋がっているのか?」
「日本だから大きなダクトはないと思わせておいて実際は普通にあったりするものなの」
刹那さんはエアコンを掴み中に入っていく。ホコリまみれになるだろうが仕方ない。
贇がじゃあつぎは僕がと言って刹那さんと同じように登っていく。贇はそのあと振り返り俺に手を伸ばす。
「証拠も無いのに襲ってゴメン。取り敢えず和解のしるしとして君が登るの手伝うよ」
凄い速さでの手のひら返しだな。だが贇の言った通り俺1人じゃ登れない。運動不足もあるが、俺はいつも懸垂をするとき逆手で行う。力が入りやすいからな。だがエアコンの設置上それは出来ないので、有り難く力を借りる。
片腕を贇に預け上ろうとしていたところに赤鬼たちが扉を蹴破り入ってきた。
「キツイけど・・・くっううん!!!!!」
人1人の身体を片腕で持ち上げるなんて・・・それも伏せたままの状態でだ。どこにそんな力があるんだ?見た所俺とそれほど変わらないが。
何とかダクトに上がった後俺は殿として手製の手榴弾をその部屋に投げ入れた。傷はつくだろうが、背に腹はかえられないので必要経費というやつだ。
刹那さんを先頭に進んでいく。匍匐である以上速度はないので数十メートルが数百メートルに感じてしまう。
「まだなのさ刹那ちゃん。もう60〜50メートルは進んでるんじゃない?」
「もうすぐだから・・・後、ちゃん付けはそんな歳じゃもうないんだから」
2人は昔からの知り合いなんだろうか?まあ俺は昨日会ったばかりなので知らないこともあって当然なんだが。
前が止まる。目的地に着いたのだろう。
「2人ともそこで待っていて」
俺たちを止めさせた後、前から服の擦れる音が聞こえる。刹那さん1人で前に進んでいるのだろう。
「贇。ここを降りるから着いてきて」
ガチャガチャとフェンスを押し引きした時に鳴る音がすると、冷たい風が贇越しに俺まで届いた。学校にダクトのような所があった記憶はないので、少なくとも教室ではないことは分かる。
刹那さんは先に降りて数秒後良いわよと声を出す。先ほどの数秒感はクリアリングのためだろう。
贇は身体が柔らかく、こんな狭いダクト内で前転するように身体の向きを変えて下に降りる。俺にそんなことは出来ないので、穴が空いたままのダクトを少し進んでから後ろ向きで降りる。
いつのまにか下っていたようで、下水道のような場所に降りた。匂いはないので、別の目的で作られたようだが・・・。
「刹那ちゃんと修也は僕の後ろに付いてきて。2人よりは人型対策には自信あるから」
それって人を・・・・・・。
「柔道とかそういう運動系やってただけだよ。殺人はやってない」
贇は振り返ると先行して前に進む。水溜りがあるようで時々ピチャピチャと音がする。
暗いのもあってそれが逆に恐怖心を煽る。
贇が手を出して停止を促す。赤鬼がここにもいるのか?だとしたらうめき声が聞こえてもおかしくない。だがそれがないといことは別のか?
「修也、彫刻刀を」
やっぱり何かはいるんだな。言われた通り彫刻刀を渡すとすぐに角を曲がると走り抜けていき、何かに近づいて行く。
「・・・っ!」
何かは左側から棒が伸びてくる。こんな暗い中でそれを身体を必要以上に動かすこともなく回避して懐に入り込む。
「もう少し反応速度を上げた方がいいよ」
彫刻刀を首元に差し込み薙ぎ払うように引き抜く。
「多分まだいるかもしれない。2人とも気をつけて行こう」
先行は贇のまま俺たちは進み外へと向かった。