僕らの鎮魂歌   作:キノコ二等兵

5 / 40
プロローグ(5)

「ほらほら、早く運ぶんだよ。結構焼くのに時間かかんだからさぁ!」

 

「分かってる分かってる〜ボクは店長みたいに力はないんだよ!握力だって女子学生の平均以下しかないんだよ」

 

ピライ君は握力は関係ないだろとツッコミを入れるが、ボクは気にしない。まだ昼食は準備段階のようで、薪を拾いに行くついでに遊んでいるトロワ達や、揉めあいしていた妹達もいない。化粧直しとかかな?やるにしても食べてからやるのが普通な気がするから違うと思うけど。

 

「それ運んだらトロワ達を呼んで来てくれ。どうせ遊んでるだけだろうけどよ。残りはピライ、お前が運べ」

 

「えぇ・・・。何往復すればいいすっかあ」

 

全部運んでからでもいいと思うけど、ピライ君は構わないと言うと食材を置いてまた冷暗所に走って行った。本当に彼だけに任せていいんだろうか?焦って落としたりしても困るけど・・・。

 

「結構な数とはいえ、ピライが任せろって言うんだからトロワ達の所に行って来いよ」

 

「誰のおかげでピライ君を1人で運ばせる事になったんですかねぇ?店長さんや。トロワ君達は贇にやらせればいいじゃないか」

 

「贇は・・・ちと今は無理だな」

 

何でだろう?相変わらず修也から追いかけられてるのかな?けど、2人は妹達と同じように今見える範囲にはいない。さっきのピライ君みたいに屋根にでもいるのかな?

 

「どうしてなのさ。まだ修也に追いかけられてるの?」

 

「いやまあ、もう終わってるんだけどさ、見えるか?山の奥の方なんだけどさ、あの辺に贇は縛られて放置されてるみたいなんだよな」

 

修也に追いつかれて縛られたのかな?ボクの目じゃ贇がどうなっているのか見えない。トロワ達を呼んで行くついでに行こうかな。

 

山の中に入るには学校を出て少し迂回してから入らないと行けない。一応迂回しなくても行けるけど、修也や贇みたいに身体の力がしっかりしてないと川に落ちるような感じに見える。まあ、ここから見えるだけだから実際はボクでも行けるかもしないけど。帰りに贇の所に行くついでに行けばいいや。

 

その山は登山道もしっかり作られているようで、ボクでも簡単に登れる。登山道があっても急な坂があったり大きな岩があって滑りやすかったりする山や、登山道自体がない山もあるのでそういうのから見るとかなり登りやすい。

 

山に入って行くと、結構な本数の木の枝が落ちていて、その量は一部の登山道が埋まるぐらいの量だった。集めているにしてもこんなにあったら何回かに分けて運ばないと今のピライ君みたいになりそうだけど大丈夫なのかな?

 

こんなに登山口にあるのにトロワ達の1人も見えない。これだけあるから帰りに集めるつもりなんだろう。けどどこまで行ったんだ?

 

さらに奥に行くけれど誰もいない。もし山坂を転がり落ちていたら葉っぱにその跡が残るだろうし、電話か何かで連絡をする筈だろうから多分さらに奥にいるんだろう。

 

ざっざっざっざっ。葉音で聞こえないだけのこともあるかもしれないし、ボクも歩き続けるのは辛いのでそれも兼ねて近くの岩に座って休む。

 

風で動く葉の音。ザラザラという砂の音。土の隙間から出てくる水の音。動画とかでしかここまで聞いたことなんてなかったけれど、そういうので聞くよりも心に染み込んで行くような、えっとなんて言うんだっけ?うーむ思い出せないからいいや。

 

足の震えが止まったので、さらに奥に進んで行く。多分十数メートルぐらい登ったところでやっとトロワ達の音が聞こえた。どこまで奥に行ってるんだ・・・。呼ぶほうの身にもなって欲しいよ。全く

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。