「いくすきゅーずみーーーー」
そんな棒読みな英語でよくもまあ外国に行ってたもんだねぇ。贇さんや。
「少年君じゃないか!早く降ろして〜もう縛られてから結構経っててお腹が痛いなりぃー!!!!!」
「だから口調は統一してって言ってるでしょうが・・・」
「仕事ならそうであるであるべきだけど、これは仕事じゃなくてキャンプだぞ?少年君よ」
「いきなりマジレスするのやめてくれませんかねぇ。降ろすから動かないでそのままでいてね。ボクは君達みたいに体力はないんだからさ」
贇は太い木の枝に縛られている状態で降ろそうにも、その枝に手が届かない。修也はどうやって贇を縛り上げたんだろうか?頭が冷えたら降ろすつもりだったろうから、ボクでも降ろす手段はあると思ったんだけど・・・・・・。ないなぁ。木の後ろを見てもあるのは贇を縛るのに使ったひもの残りがあるだけだ。
「登れば簡単じゃないか!早く降ろしてよぉ〜」
イラっ!贇のやろー人に降ろしてもらう立場なのに、そんな態度取るのか。とは言え見捨てたら店長達に怒られるだろうし、その前に贇の性格としては普通な態度だし、しょうがないけど降ろすしかないか。
「登れないから苦労してるんだよ。修也や贇はそういうの得意だから出来るんだろうけど、山とか行った回数が少ないボクには無理だよ」
「はくじょうものー!それだから妹ちゃんにどやされるんだ!」
ボクが出来ないからって言っていいことと悪いことがある。キレて殴りたい所だけれど、ここは我慢しよう。
「ひもの残りを引っ張れば木を登れるから」
まあやるしかないか・・・。言われた通りに紐を掴んで引っ張るが贇の位置は動かない。
「ただ引っ張るだけじゃ登れないに決まってるじゃないか!それぐらいどうすればいいのか考えてよ」
人に頼む態度じゃないよね、まったくさ。実際何をすればいいのかはさっきの自分で考えてという言葉の中にあると思う。それに引っ張るだけで降りれるのなら、最初から登ってとは言わない筈だから。
ひもをしっかりと握り全体重を乗せつつ、上がっていく。勿論ボクの力ではすぐに疲れてしまうから、足を木に当てて支えにしながらゆっくり登っていく。普通に登ったほうがいいとは思うけど、何故かこっちの方が簡単そうなので、優先した。
なんとか贇の所にたどり着くと今度は、ひもを外す作業に入る。贇の体重も合わさってひものこぶがキツくなっていて、解けそうにない。
「やっぱ解けそうにないよ。切るしかないのかなぁ」
贇はボクにひものところに持ち上げてくれとばかりに身体を揺らすので、その行動の通りに揺らした勢いを利用して何とか上にあげた。原理はブランコの立ち漕ぎみたいな感じだ。
「ふっ・・・っと。ひもの間に手を入れてくれない?そうすりゃ外せるから」
えっと、手を入れてと言われてもこれだけ隙間なく閉められてると、入れようにも入れられない。
「腕ごと縛られてるからそこと身体の間に手を入れて」
「よっと。こんな感じかなぁ。贇どう出せそう?」
「充分だよ。ありがとね、助かったよ」
贇はひもを解いて身体の拘束を解いた。あれ?これってボクいらない気がするするんだけど?何もしてなくないかな?まあいっか。気にしたところで意味ないし。
「さあ行こうか。みんなも待ってるでしょ」
贇は余程お腹を空かしていたのか、ボクからでも聞こえるぐらいの腹の音が聞こえる。あまり羞恥心を持ってない贇でさえ少しは恥ずかしいようで、えへへと笑って走って行った。
「贇が修也に捕まるなんてどうしたんだろ?木に足でも引っ掛けたのかな?」
ボクは一度大きく身体を伸ばして、固まった身体を柔らかくしてからボクも贇の後を追った。