そういや贇が縛られてたところから、みんなの所に行くには、一度山を登ってから降りて行かないとダメだったんだ。贇の方が先に向かったけど、山の方にいないって事は川を渡って行ったのかな。確かにこっち側からなら行けるかもしれないしボクも一度行ってみるか。
———贇はあんなに弱かったかな?———
またかあの声か・・・・・・長い間友達でいるからよく分かってるよ。確かに贇らしくないけど、修也は時々贇より強い時もあるからね。山では修也の方が上回ってたっていう話でしょ。何もおかしい所はないじゃないか。というか、なんで君が贇のこと知ってんのさ。あそこに残った記憶のようなものでしょ?
返しがないけど図星だったのかもしれない。
川へ向かうと思ったより幅が広く、ジャンプすればいけるかもしれないというような幅で、ちょっと怖い。届かなくて落ちたらびしょ濡れだけで済まないし、やっぱり山側から行くか。
先程の広場付近に向かいながら登山道に入りみんなの所に戻る。店長たちに贇はもう着いてるのにお前は遅いじゃないかとは言われたくないので、理由として小枝を拾いながら降りていく。
枝を両手で抱える程の本数を持ちながらみんなの所に戻ると、待ちきれなかったようで、店長が食べ物を焼いてそれを修也と贇が揉めながらも皿に盛ってそれを食べていた。お腹が空いているのは分かるけど、呼びに行ったボクを待っててくれたって良いじゃないかな・・・。
「お。おーい!あまりにも遅かったから先に食い始めたわ。お前の分もあるから早く来いよ〜」
店長がボクを呼んだことでもう食べていた妹はどっさりと盛られていた皿を掴み木の枝をまとめた場所に置いたボクにわざわざ持って来てくれた。
「ほいよ。夏だって言っても冷えない訳じゃないからな。それに虫が乗ったら嫌だろ?さっさと持て」
「ありがとさん。後虫が嫌なのはそっちの方じゃないですかねぇ。昨日それでボクは殴られた訳なんだけど・・・」
「ああ“ぁん?」
「すいません。なんでもないです。助かりました。次もよろしく。」
「分かったんならさっさと食えよ。何の為にわざわざ持って来たと思ってんだ」
どうせまたあそこに戻る行くから置いてくれていても関係ないんだけどなぁ。けど、お腹が空いているのは事実だし、ありがたいことではあるんだけどね。
妹はボクに皿を渡すとさっさっとみんなの所に戻り、ボクは片手で皿を持ちつつ手を洗ってから、手を付ける。あーんっと———うーむなかなかイケるなぁ。ちと時間が経ってて中がちょっと暖かいぐらいの感じだけれど、焼いた直後なんて舌を火傷するだけだし、ちょうどいい感じだ。
食べながらみんなの所に向かおうとしていたら、その行動を取ろうとした時にはもう皿の食べ物を食べ終わってしまったのに気付くと、早いなあと感じながら次は何食べようかなぁって考えていたら、目の前にまた目のない子供がいたけれど、何かを邪魔する訳でもなくただこちらをじっと見つめている。
「何か言いたい事でも?」
そうこちらが尋ねても子供は何も答えずに山の方へと戻って行った。けど最後に子供の目を見たけれど、どこか悲しいというか、羨ましさを感じる目つきにも見えた。言うこともないのに何でわざわざボクの所まで来たんだろう?
気になるところは幾分にもあるけれど、贇の食べ具合から見て、他の奴には渡さぬとでも言うように店長の焼いたのを贇が盛り付けた皿を並べた先から、他人のも目を盗んで食べているので、これはマズイなとボクもみんなの所に少し速走りで向かった。