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「また、ダメだったか」
僕は不採用通知を投げ捨てた。
三流大学、しかも僕は二浪している。
本命の大学が諦めきれず二浪までしたが、結局ダメで滑り止めの大学に入ったのがいけなかったのか。
もう、ほとんどの会社の入社試験は終わっている。
残るは中小企業だが、やっぱり、大企業に入りたい。
大学入試で失敗したんだ、ここで挽回したい。
周りにも自慢できるし、女と付き合うにも、勤め先のブランドは大きい。
なんとかならないものか・・・
ふと、求人情報が目に留まる。
『三つ葉商事 一般職急募 男女問わず ※総合職への転換制度あり』
これは・・・
去年、男女雇用機会均等法が再改正され、総合職と一般職の男女採用数の均衡を図ることになった。
政府の指導により、大企業には目標数値が設定されている。
これは、実際には一般職の男子募集ではないか。
それに、総合職への転換制度もあるって書いてあるし、取り合えず、一般職で入社して、総合職を目指すという手もあるんじゃね。
一筋の光が見えた気がした。
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<配属先決定>
二週間の研修が終了し、配属先が決まった。
本店営業五課
本社への配属だなんて、幸先がいい。
「本社勤務」って、なんかエリートサラリーマンみたいじゃね。
最後に、一般職全員と男子一般職だけで記念写真。
土日をはさんで、週明けには、いよいよ本番だ。
土曜日の夜、僕は久しぶりにサークルの友人達に連絡をとり、飲んだくれた。
「オレ、いきなり本社勤務になったんだよ」
僕は上機嫌で友人達に自慢した。
「スゲー、マジかよ」
一般職ってことはもちろん秘密だ。
翌日の昼過ぎに、ようやく起きる。
うーん。
もう、明日からはこんな自堕落な生活はできないな。
僕は、最終日に配布された制服を見る。
上は、ワイシャツにベスト、下はパンツスタイルっていうかズボンだ。
リボン風の小さなタイがちょっと恥ずかしい気もするが、ソムリエやギャルソンだって、こんなリボンタイしてるし、これ位どうってことはない。
最終日には、サイズ確認のため、実際にこの制服を着てみたが、男性が着ても違和感はなかった。
ズボンともデザインがマッチして、むしろオシャレな感じ・・・てか、僕って結構イケメンじゃね。
<通勤電車>
こんな朝早くから電車に乗るのは何年振りだろう。
朝のひんやりとした空気が心地いい。折角だから、先頭車両に乗ってみるか。
んっ?
周りが女性だらけだ。
次の駅でも、入ってくるのは女性ばかり。
しまった!これは、女性専用車両か。
僕は慌てて、次の駅で隣の車両に乗り込む・・・乗れない。
この時間って、こんなに混んでるのかよ。
僕は諦めて、一本見送って次の列車に乗る。
むっ?なんだか、お尻がムズムズする。
オイオイ、僕は男だぞ。
首筋に荒い息がかかる。
気持ち悪い。
痴漢は絶対すぐ後ろのヤツなのに、ぎゅうぎゅう詰めで全く身動きが取れない。
何だか恥ずかしくて、ちょっと怖いのもあって声も出す気になれない。
悔しくて、惨めだ。
こんなことなら、そ知らぬ顔をして、あのまま女性専用車両に乗っておけばよかった。
こんなに混んでなくて、結構快適だったのに。