他の読んでくださってる方はお久し振り?
のんびりと投稿していく予定です。
感想とかあれば書いてもらえると、嬉しいなぁ。と思ってみたり。無くても、とりあえず何事もなければ続けますし、叩かれれば消すかもですけど。
1 壊れ始めた日1
「うぅ……良かった、善子ちゃんが、無事で」
「なんで、私をかばったりなんか」
陽が落ちた駅前の道。私をかばって轢かれた曜。
「花丸!ルビィ!」
「うぅ……」
「……善子ちゃん」
倒れたバスの中、窓ガラスに頭を打ち付け血を流す花丸とルビィ
「リリー!マリー!どこッ!」
「「……」」
エレベータが落下して地面に叩き付けられた梨子と鞠莉。
「なんで私を助けたりなんか」
「うぅ、良かった。善子ちゃんは助けられたんだね」
「理由なんて、身体が動いていただけですわ」
崩れた建物の下敷きになった果南とダイヤ。
「どうして、私を助けたりなんて。それで、あなたが落ちたら……」
「……」
私を助けた代わりに転落した千歌。
私はみんなを失った。みんな私をかばったせいで。
私は魔法陣の描かれた布を床に敷き、その手に小さな黒い水晶の付いたペンダントを持ってその上に座っていた。
「堕天使ヨハネが命じます。リトルデーモンよ、私に力を……時よ戻れ!
詠唱をするも、何も起こらなかった。私にそんな力なんてない。ただの非力な一人の少女。
「……って、こんなことで戻る訳もないわね」
もしあの時、もっと早くに車に気付いていたら曜はこんなことにはならなかった。
もし終バス一個前の明るい時間に帰っていれば二人が死ぬことは無かった。
もしあの日、二人が私の住むマンションに来なければ死ななかった。
もしあの時、私が転ばなければ二人は潰されることは無かった。
もし、私があの日屋上に登らなければ千歌が死ぬことは無かった。
しかし、今悔やんでももう過ぎたこと。時を戻すなんてことができない私にはどうにもならないこと。
「……帰って来てよ」
私はただ願った。
皆がいる今までの日常を。皆がいなくなる前の日常に戻りたいと。そして、脳裏によぎった言葉を呟いた。
『我願う。故に我乞う――』
~☆~
「うぅー、なによこの夢……皆が死んじゃう夢なんて……」
「善子ー、そろそろ起きなさーい」
「今起きたわー」
ラブライブの地区予選を終えて二学期になり地区予選を突破したとある日。皆が私をかばって死んじゃうなんて縁起の悪い夢を見た私は、朝から憂鬱な気分になった。なんでこんな夢を見たのかしら?皆が死んじゃうなんてことある訳無いじゃない。
ママの声に反応すると、制服に袖を通す。そして憂鬱な気分の状態でリビングに行くと、ママは食べ終えた朝ごはんのお皿を洗っている状態で顔だけ出した。
「おはよう、ママ」
「おはよう、善子……って、具合でも悪いの?」
「え?どうして?」
「いや、なんだか表情が暗いから」
ママに言われるまで気づいてなかったけど、どうやら夢のせいで私の表情は暗くなっていたみたいだった。別にそんなこと無いと思うんだけど。
「ちょっと変な夢を見ちゃったからかな?」
「そうなの?それでどんな夢だったの?」
「あんまり話したくない内容だから。それよりも学校行かなくていいの?」
「あっ、もうこんな時間。戸締りよろしくね」
ママは時計を見ると、手をタオルで拭いてソファーに置いてあった鞄を持って、そそくさと家を出た。
私は忙しないなぁと思いながら椅子に座ると朝ご飯を食べ始める。静かな空間だと夢のことを思い出してしまうので、テレビをつけるとちょうど星座占いがやっていた。
『まずは十二位の発表です』
占いはちょうど始まったばかりで、星座占いにしては珍しく最下位の十二位の星座から発表された。普通こう言うのは一位と同時に発表されるから珍しいなぁと思いながら、私の星座は何位なのか気になった。
『今日の十二位は蟹座のあなた。唐突な不運に見舞われるかも?ラッキーアイテムは青のニット帽です』
「はぁー、まさかこんな日に限って最下位なんて最悪かも。しかも、青いニット帽なんって、持ってないわよ。曜に借りようかしら?」
占い結果が最下位だったり、持っていない青いニット帽がラッキーアイテムだったりと私は落胆しながら、でもたかが占いに挫けないと心に決めると、時間もあまりないからと食べ進めて、皿を洗い終えると私は荷物を持って家を出た。
「善子ちゃん、おはヨーソロー」
「……おはよう、曜」
バスに揺られていると、曜が乗って来るいつものバス停から曜が乗り込んできて、私を見つけるとそそくさと近づき、いつもの挨拶をした。
良かった。あんな夢を見た後だからもしかしたら曜の身に何かあったのか心配だったし、何事も無くいつも通りの曜が見られて。
「あれ?今日はヨハネってツッコまないの?」
「あっ、そうよ!ヨハネ!」
「なんだ。ただ単に寝ぼけてただけかな?」
あんな夢を見た後だからか、曜が目の前にいることに安堵し、その為にいつもと違う反応をしたことで曜は首を傾げていた。だから、私は慌てていつものように返答すると、曜は私が寝ぼけていてツッコまなかっただけだと判断したようだった。
「それで、寝ぼけるってまた夜遅くまでゲームでもしてたの?」
「いや、そんなことはないわよ……あれ?昨日いつ寝たんだっけ?」
曜に聞かれて私は否定しようとするけど、昨日の記憶が一切無く、いつ寝たのか、何をしていたのか思い出せなかった。
昨日は確か午前中は練習をして……あれ?その後どうしたんだっけ?
「善子ちゃん大丈夫?昨日の記憶がないなんてそうとう寝ぼけてる?」
「そんなことは無いと思うけど……やっぱり寝ぼけているのかしらね」
「気を付けなよ。善子ちゃん不幸な目に遭いやすいんだから」
「ええ。気をつけるわ」
昨日のことが思い出せないでいると、曜はそんな私を見て心配そうな表情をする。私はそんな曜に対して気を付けるように返答すると、曜は話を変えて次の衣装はどうしようかという話をし、私は堕天使のような漆黒の衣装をと提案し、曜は苦笑いを浮かべながら話をするのだった。
~☆~
「曜ちゃん、善子ちゃん。おはよう」
「おはよう。善子ちゃん、曜ちゃん」
「ええ、おはよう。花丸、ルビィ」
「おはヨーソロー、二人とも」
浦女に着いて部室に行くとルビィと花丸は先に付いていて、挨拶を交わす。ダイヤとマリーはすでについているらしく、全員が集まるまで生徒会と理事長の仕事をしに行っていて、果南とリリーはその手伝いに行っているとのことだった。そして、千歌はまだ来ていないとのことだった。
「千歌の身に何かあったんじゃ?」
「ううん。少し遅れるって」
千歌の身に心配すると、曜はスマホの画面を見て言う。とりあえず千歌が寝坊しただけなのだと安堵すると、制服から練習着に着替え始める。朝練開始時間になっても制服のままだと戻って来たダイヤに小言を言われかねないから。
そんな感じで着替えていると、部室のドアが勢いよく開く。
「梨子ちゃん。置いて行くなんてひどいよぉ」
「千歌ちゃん。梨子ちゃんはダイヤさんの手伝いに行っちゃってるよ」
「あれ?ほんとだ。あっ、みんなおはよぉ」
「おはよう、千歌ちゃん。あっ、早く着替えないとお姉ちゃんに怒られちゃうよ」
「あっ、それもそうだ!」
千歌は部室に入って来るなり、いきなりそう言い、ルビィに言われてハッとすると、慌てて着替え始める。すると、ドアが再び開き、四人が戻って来る。
時計を見ると朝練の始まる一分前で、だからこそ時計を見て戻ってきたようだった。
「おはようございます、みなさん…って、千歌さんはまた遅れて来ましたね?」
「いや、遅れてなんか……」
ほぼ着替え終えた千歌はそう返すと、一応そこにいるからと不問に処され、こうして朝練が始まったのだった。
それから時間は経ち、放課後練習を終えた帰り。今日は沼津の方での練習はやらずに解散となり、果南とマリーが淡島前で降りると、いつも通り残ったのは私と曜だけとなった。
「ふぅ、今日の練習もハードだったね」
「ええ。でも、夏の頃と比べたら気温がマシになったからなんとかなったわね」
「あはは。善子ちゃんの場合はあの頃は黒いマントを羽織ってたからね」
「マントじゃなくて漆黒の外套。あと、ヨハネ!」
「ふふっ」
私がツッコむと、曜は何故かそこで笑みを浮かべる。どうしてこのタイミングで笑ったのか分からず首を傾げると、曜は笑みを止めて放し始める。
「いや、朝は善子ちゃん元気無さそうだったから。でも、今はいつも通りだから安心しちゃって」
「そんなこと思ってたの?私はいつも通り問題ないわよ」
「そっか。あっ、そうだ!この後暇?」
私の心配をしてくれていたのだと分かり、この先輩は優しいなと思うと、私は強がってそう返す。すると、曜は唐突にそう聞いた。急にどうしたのか分からないけど、この流れは何処かに行くのだと判断する。一応、今日もママの帰りは遅いから寄り道をしても大丈夫。
「暇ね。どうせ夕飯は自分で適当に作るだろうし」
「そっか。なら良かった……のかな?夕飯作らないといけないのなら寄り道するわけにも」
「いや、平気よ。どうせ、いつも通り堕天使の翼か堕天使の泪かで済ませるつもりだから」
「えーと、堕天使の翼って?」
曜は私の夕飯の心配をし始めるけど、別にそんなに準備に時間はかからないから問題は無かった。それに、寄り道しても七時前には戻ってこられるだろうし。
「ヨハネ特性のお好み焼きよ」
「あー、またタバスコでもかけるの?」
「少し生地に練り込む程度よ。それで、どこに行きたいの?」
いつまで経っても曜の本題に進まなそうだから私はそう言うと、曜はハッとする。そして、ようやく本題を話し始める。
「実は次の衣装の案を固めたいなぁと思って。それで雑貨屋さんに行って小物を見てれば何か案が浮かぶかもと思って」
「そう。でも、私が一緒に行く必要あるの?自分で言うのもあれだけど、私の趣味偏ってるわよ?」
「いいよ。私だけでも方向性が偏りそうだし。それに、善子ちゃんの趣味も時々いい時もあるからね」
「時々って……。まぁ、いいわ」
私は若干含みのある言い方に反応するもどうせ言ったところで意味が無いから、私は了承すると、沼津駅前まで行ってバスを降り、曜行きつけの雑貨屋さんに入る。そこには私も何度も来たことがあり、新しいイメージが浮かぶのか謎だったけど、曜はそんなことを気にしないかのように歩き始めるので、私はそれを追いかける。
「私としては、今までとは違う感じがいいんだけどね」
「ということは遂に堕天使衣装を」
「いや、出来れば明るい色がいいかな?次の曲は二回目の説明会の時に歌いたいところだし。せっかく新入生になるかもしれない子たちの為に歌うんだからね」
「確かにそうね。すぐにリトルデーモンにするのは少女たちが耐え切れないかもしれないし」
「耐え切れないって、何する気なの?」
私たちはそんな会話をしながら小物を見て行く。本当のところは黒系色の色がよかったのだけど、説明会で使うかもしれないのなら明るめな曲の方がいい気がした。Aqoursの皆は私の堕天使を否定しないけど、説明会に来る中学生の子たちもそうとは限らないし、そのせいで入学希望が増えなかったら嫌だしね。でも、出来れば一回ぐらいそんな曲もやってみたい気もするけど。
私が返答として耐えきれないというと、曜は意味を測りかねたのか首を傾げていた。
「まぁ、気にしなくていいわ。それよりも、私はこういう小道具を付けるのもいい気がするけど」
「うーん。やっぱり諦めてなかったの?」
私はその場にあった黒い羽を手に取ると、曜はジト目で私を見てそう言った。やっぱり、少しくらいは堕天使成分を入れたいところだった。そんなわけで、入れた訳だけど、そもそも衣装のコンセプトも定まっていない為、泣く泣く断念となった。
「私としてはこういうのもありだと思うけど」
「花のペンダントね。確かにそれぞれのメンバーで違う花にすれば見栄えもいいかもしれないわね」
「まぁ、買うのはもう少し衣装の構想を練ってからだけどね」
一度は手に取った花のペンダントを再び棚に戻して曜はそう言った。私的には今の花のペンダントはいいと思ったんだけど。
それからも雑貨屋の中を見て回り、結局特に買うことはせずに私たちは雑貨屋を出て家に帰ることになった。
「わざわざバスに乗らずに帰るなんて」
「どうせ歩いても帰れる距離だからね。それに善子ちゃんともっと話していたいし」
「もの好きね。まぁ、いいんだけど」
曜は何故かバスには乗らず、一緒に陽が暮れてオレンジに染まった駅前の道を歩きながら家に向かう。
「善子ちゃん、あの信号が変わっちゃいそうだから走ろ?」
「ええ」
曜に言われて点滅している信号を走り抜けると、走るのを止めて歩き出す。
その瞬間、なんだかこの景色に既視感を覚えて私はすぐに気付いた。
この状況は朝見た夢の一部と同じような状況だった。
陽が暮れた駅前の道。曜と一緒の状況。そして、私の目の前で轢かれた曜。
「善子ちゃん!」
ガンッ!キキッー!ドンッ!
私はそんなことを考えていて周囲に気が逸れていると、いきなり曜の慌てた声と共に横から衝撃が走った。私はいきなりのことだったから地面に尻餅をつく。曜がいきなり私を突き飛ばしたことで尻餅をついたわけだから、文句の一つでも言ってやろうと顔を上げると、さっきまで私がいた場所を自動車が通り過ぎて、私と突き飛ばした曜を巻き込んで建物に突っ込んでいた。
「え!?嘘……」
私は目の前で起きた事故に言葉を失った。周りにいた人たちもいきなり起きた事故に言葉を失い呆然と立ち尽くしていた。そして、私はすぐにハッとすると曜が巻き込まれたからと自動車のそばに駆け寄る。そして、
「曜!」
曜は車と建物に挟まれていて血にまみれていた。
次回は早ければ明日投稿予定。あくまで予定です。
では、ノシ