とりあえずキバって行こうか   作:ゴランド

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最近、もう一つの作品をリメイクして投稿するか、あるいは全く別の新しい作品を投稿しようか迷っているクソな作者がここに1人。

せめてエクスカリバー編を終わらすまでには決めておきたい所存。






24話 くっころ

 

 

 

あれから木場はオカルト研究部に顔を出していなかった。

詳しい事は知らないがリアスが言うには主人である自分の言う事も聞かず去っていったらしい。

 

友達が真剣に悩み出した結果を咎める事は気が引く為、何も言わなかったが、もしかしたらバッタリと会うんじゃないかと思いながら街中を歩く。

流石の東崎も改めて今までの事を考えてみる事にした。

 

 

 

『聖剣』『エクスカリバー』『失敗作』

 

 

 

東崎は木場とこのワードに必ず関係があると確信する。

 

まず『聖剣=エクスカリバー』の構図で合っているだろう。木場は聖剣の中でも特にエクスカリバーを憎んでいる。

だが、分からないのは『失敗作』だ。

 

イリナ達に向けたこの言葉。

失敗作とは一体なんなのだろうか?

 

 

「……あ、やな予感がする」

 

 

緊張感の無い声がふと、口から漏れ出す。

異世界で聖剣、エクスカリバー、失敗作。それ等が頭の中でピースが合わさるように組み上がっていく。

 

 

そもそも何故、現代を生きる人間にエクスカリバーを使いこなすことが出来るのだろうか?

伝承ではエクスカリバーは湖の乙女がアーサー王の為に渡した剣であり、アーサー王の為に作られた聖剣なのだ。

つまりエクスカリバーはアーサー王専用ウェポンである為、現代を生きる一般ピーポーが使える物とは思えない。

 

ならば何故、イリナ達にはエクスカリバーを使いこなせたのか?そして何故、木場は自身を失敗作を称したのか?

 

 

「まぁ、木場君に聞けば分かるか」

 

 

東崎はそれ以上考えるのをやめた。おそらく近いうちに会えるだろう友達に全てを丸投げして彼は歩き続ける。

 

 

話は変わるが東崎が街中を歩いているのには理由がある。

と言ってもニスを求めて歩いている訳ではなく、前回の戦いで遅刻した上に大惨事を引き起こそうとした犬用のドックフード(夕飯)を買いに来たのだ。

 

現在、それを買い終え来た道を歩いていると……

 

 

 

「えー、迷える子羊にお恵みをー」

 

「天の父に変わって哀れな私達にお慈悲をォォォォォォオオオオオオオ!!!」

 

「うわぁ……」

 

 

 

哀れな子羊達が路銭を求めメーメー鳴いている光景が視界に映り込んで来たのだった。

とりあえず東崎はしばらくその様子を眺める事にした。

 

 

「えぇい!こうなったのもイリナ!君が怪しい絵画なんて買うからだぞ!」

 

「怪しくなんてないわよっ!いいゼノヴィア!これは聖ペトロの絵画でとてもありがたーい物なのよ!」

 

「こんなムンクの叫びのような阿鼻叫喚な絵画のどこがペトロだ!君の目は節穴か!!」

 

「何ですって!この異教徒!」

 

「なんだと異教徒!!!」

 

「……フフッ」

 

 

不思議と笑いが込み上げて来る東崎だが、吹き出すのをなんとか抑える。

すると彼女達の腹から不意にグゥ〜と腑抜けた音が聞こえる。

 

 

「……なぁ、いっそこの地の神社や寺を襲って金品を奪うと言うのはどうだ?」

 

「いいわね。手段は選んでいられないわ」

 

「……よし、警察呼ぶか」

 

 

目の前で犯罪が起きるかもしれないので110番をいつでもかけられるようにスタンバイする。

だが、突如として彼女達の様子がおかしくなる。

 

 

「……あ、いや待てイリナ⁉︎そんな事してみろ!教官にバレたら何をされるか……!」

 

「………ああああああああああああああああああああああッッ!!忘れてたぁぁぁぁぁああああああああッ!!!???教官のシゴキから解放されてすっかり忘れてたけど、私達色々とヤバイわ!!そこらの露店で絵画を買って路銭が無くなりましたって!言える訳無いわ!ど、どうしましょう!!!私達ピンチよ!」

 

「お、落ち着け!あ、あれだ!JAPANでは芸をすると金が向こうからやって来るらしい!」

 

「そ、そうだったわ!猿よ!猿を回すと周りの人達がお金をくれるのよ!」

 

「わ、わかった!猿……は居ないな。よし!イリナ!回すぞ!」

 

「えぇ!……って回すってなにがぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???」

 

 

すると何を血迷ったのか青髪の娘ゼノヴィアは茶髪のイリナの両足を脇で挟みジャイアントスイングをし始めた。

しかしそんな事で金が入ってくる筈もなく、それどころか周りにいた人達が離れていく。

 

 

「…もうちょっと見ていきたいんだけどなぁ」

 

 

流石にこのままだとマズイと思ったのか東崎は後ろ髪が引かれる思いをぐっと抑えながら彼女達の元へ行く。

そして東崎は手に持っていたソレを投げ、ドサリと彼女達の足元に重い音が響く。

 

 

「おぉ!本当に来た!流石はJAPAN!《お・も・て・な・し》精神は伊達では無いのだな……⁉︎き、貴様は!」

 

「ぐえっ⁉︎」

 

 

すると、ゼノヴィアは東崎の存在に気付くとイリナを放り投げその場から飛び退き布に包まれた剣を手に取る。

 

 

「フフフ、私達が弱っている所を狙ってくるか。まぁ野蛮なファンガイアが考えそうな手だな」

 

「弱っているのは自業自得だと思うんですけど。まぁいいやソレはこの前のお詫びって感じで」

 

「だ、黙れ!お、お前の慈悲など……う、受け取る訳……な、ないだろう!」

 

 

ガッツリと足元にある重厚な袋に視線をチラチラと向けるゼノヴィア。

その様子を見た東崎はハァと溜息をつく。

 

 

「そっか、じゃあ受け取らないって事で──「あ、いや……ソレはソレで受け取っておこう」あ、そう?」

 

 

野蛮なファンガイアの慈悲を受け取るゼノヴィア。

するとどうしたのか、彼女が袋の中を覗き込むとプルプルと身体を震わせるながら彼に問いかける。

 

 

「おい……、なんだコレは?」

 

「何が?」

 

「袋の中には金の代わりに茶色の小さい物体が大量に入っているんだが?」

 

「え?そりゃそうでしょ。ドックフードなんだから」

 

 

ドックフードだった。お金では無く、犬用の餌を目の前のファンガイアは与えて来たのだ。

そんな彼の慈悲(笑)に対して彼女はプルプルと肩を震わせながら額に青筋を立てながら呟く。

 

 

「フフフ、よーし殺す」

 

 

至極当然の反応だった。

 

金色の瞳を輝かせながら布に包まれた剣を構えるゼノヴィア。

一触即発の雰囲気が辺りを包み込み始める。

 

ナチュラルに馬鹿にして怒らせたという事実を理解していないこの男は「え?なんで怒ってんの?牛乳飲んでる?」と呟き戸惑うばかりである。

まさか先程の言動で相手の癪に触らないと思っていたのか?コイツは……。

 

 

「私達への侮辱、天使側への宣戦布告とみなしていいんだな。イリナ殺るぞ……」

 

「………」

 

「……おい、イリナ。何を黙ってドックフードなんかを見つめている。目の前にいるのはファンガイアだぞ?しかもその頂点に君臨するキバの鎧を受け継ぎし者だ!」

 

 

ハイライトの消えた瞳でドックフードを見つめるイリナにゼノヴィアは喝を入れるが、反応が無い。

どうしたのだろうか?とゼノヴィアがしばらくイリナの様子を眺めているとおもむろに袋の中に手を突っ込みドックフードを一掴み。

 

 

「ねぇ知ってるかしら?……ドックフードって人間でも食べられる物もあるのよ」

 

 

そのままイリナはドックフードを自身の口へ運ぼうとする。

 

 

「待てイリナ!早まるな考え直せ!それはそれとしてちゃんと食べられるかどうかは私が確認しよう、ソレを寄越せ!」

 

「渡すもんですかこの異教徒!」

 

「なんだと異教徒!!」

 

 

今度はドックフードの為に争い始める2人。

そんな彼女達を前に彼の中きら沸き立つ感情は呆れでも哀れみでもなければ怒りでも無い。喜悦の感情だった。

もし手元に白飯があれば余裕で5杯はいけるなぁと言う感情がフツフツと東崎の中から溢れ出て来ようとする。

 

と言うか、未知の領域に足を突っ込もうとしている感じだった。

 

いいぞ!そこの娘達。もっとやれ。

 

 

「いや、お前は何やってんだよ」

 

 

東崎が視線を後方に向けると、見慣れたオカルト研究部の仲間であり友達でもあるイッセーと後輩の小猫、そしてそんな2人とは関係が無さそうな生徒会の一員でもある匙元士郎が呆れた表情でこちらを見ていた。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「うまい!うまいぞコレは!!!」

 

「やっぱり私にとっての日本のソウルフードはファミレスの料理よね!!」

 

 

目の前に並べられた料理が次々と彼女達の口の中に消えていく。

余程空腹だったのか料理を完食したと思ったら次の料理に手を付けるの繰り返しであり、ゴリゴリとイッセー達の財布の中身が減っていく。

 

 

「あ、チョコレートマウンテンパフェのクリームマシマシお願いします」

 

「頼むのかよ⁉︎ったく……あ、すみません。ササミお願いしまーす」

 

「お前も食うのかよ⁉︎」

 

「私も東崎先輩のと同じで」

 

「小猫ちゃん⁉︎」

 

 

上から東崎、イッセー、小猫の順でオカルト研究部の面々も料理を頼む様子に匙は唖然とする。

 

 

「くっ……悪魔達に飯を食べさせてもらうなんて、何という屈辱……ッ!」

 

「あぁ、私達は悪魔に魂を売ってしまったのね……」

 

 

「コイツらいけしゃあしゃあと…」と呟くイッセーを他所に東崎は彼女達が手を付けている料理の皿をおもむろにこちら側に引き寄せる。

 

 

「あ、それじゃあいらないんだね。まぁ屈辱なら仕方ないよね」

 

「──だが料理には罪は無い。うん罪は無いぞ」

 

「その通りね!だからハンバーグを食べさせてください。お願いしますリッ君ッ!」

 

「なぁ、お前この2人の扱い上手くなってないか?」

 

 

頭を下げる2人の姿に匙は呆れたような表情を見せる。

東崎は何やら不満そうな表情で皿を戻すと2人はすぐさま料理にがっつき始める。

するとゼノヴィアは満足したのか手を付けていた料理を食べ終えるとこちらに質問をして来た。

 

 

「……それで?私達に接触して来た理由はなんだ?」

 

「あぁ、エクスカリバーの破壊に協力したい」

 

 

イッセーが言う事を要約すると木場はエクスカリバーに復讐する為にグレモリー眷属から離れたらしく彼を連れ戻す為に否、彼を助ける為にエクスカリバーの破壊に協力したいという事だ。

 

 

「破壊するのかエクスカリバー……ヒロインXに『人様の宝具をぶち壊そうとしてんじゃねぇカリバァァァァァッ!!』されても知らないよ?」

 

「いや、ヒロインXってなんだよ⁉︎」

 

「……成る程。言いたい事は分かった」

 

「それじゃあ!」

 

「その話は難しいな」

 

 

ゼノヴィアはイッセーの言葉を遮るように呟く。

 

 

「元々、この使命は私達に与えられたものだ。先日言った通り悪魔が介入するべき事では無い」

 

「なっ⁉︎お前!死ぬかもしれないんだぞ!」

 

「それでもだ。私達はエクスカリバーを回収する、それだけだ」

 

 

ゼノヴィアは自身の意思の固さを見せつけるように腕を組みながらそう告げる。

イッセーは納得できずにゼノヴィアに対して口を開こうとすると東崎が手で制する。

 

 

「まぁ、しょうがない潔く諦めようか」

 

「東崎!お前木場の事がどうでも良いってのか⁉︎」

 

「うーん、まぁ。人の過去を散策するのは決して良い事じゃないからなぁ。それにイリちゃん達も僕達と協力するのは嫌なんでしょ?」

 

「当然よ、だって三大勢力間は未だに緊張状態が続いているんだもの。勝手にそんな事をしたらダメに決まっているじゃない……あ、ストロベリーパフェお願いしまーす」

 

「と言う感じだよイッセー君」

 

「ぐっ……」

 

 

東崎の言葉に押されるイッセー。確かに彼の言う事も最もだろう。

しかし納得できなかった、いや納得できるはずがない。

すると先程まで静かにしていた小猫が口を開く。

 

 

「東崎先輩は……祐斗先輩が心配じゃないんですか?」

 

「いや?心配だよ勿論。だけど木場君自身が僕達に協力する姿勢を見せない限りはなぁ……。無理矢理お世話を焼くのは本人に失礼だからね」

 

「……そう…ですか」

 

 

東崎の言葉にどこか悲しそうな表情を見せる小猫。

この件に乗り気じゃない態度を見せる彼はゼノヴィアに話しかける。

 

 

「と、言うわけだよ」

 

「成る程。思ったより話が分かるじゃないか」

 

「まぁね。と言うわけで引き止めてごめんなさい。僕達はもう帰るよ」

 

「なっ⁉︎おい勝手に決めんなよ!まだ話は終わって……!」

 

 

 

「と言うわけで()()()()()()()

 

 

 

「……え?」

 

 

ゼノヴィア達の目の前に一枚の紙を出す。

イッセー達は東崎の行動に疑問を持つがそのまま東崎の話は続く。

 

 

「いや、支払いだよ支払い。オムライス、ハンバーグ、ミートソーススパゲティ、グラタン、その他諸々でざっと◯◯万円(人には言えない額)だね」

 

「「……え?」」

 

 

ゼノヴィアとイリナは東崎の言葉の意味が分からなかった。

その横でイッセー達は嫌な予感を察知する。

 

 

「もしかして僕達が払うと思った?え?何言ってんの?馬鹿なの?そう簡単にお金をポンと渡してくれると思ってたの?え?金が無い?自業自得でしょ?僕達には関係無いんだから。で?お金が無い貴女達はどうするの?あーあー、もしもこの事が教会の方に知られたらどうなるのかなーー?」

 

 

━━もしかしてコイツ……

 

 

「……で協力してくれるよね」ニッコリ

 

 

 

━━ハメやがった⁉︎

 

 

 

悪魔の目の前で悪魔的所業が行われた瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

 

公園の噴水近くにイッセー達とゼノヴィア、イリナ。そして木場祐斗が集まっていた。

 

 

「……まさかエクスカリバーの破壊をエクスカリバー使いに承認されるとは癪だね」

 

「ふん、そう言う貴様こそ今は主人の元を離れているそうじゃないか。別に今ここではぐれ悪魔として貴様を排除する事も可能だぞ?」

 

 

一触即発の雰囲気にイッセーは内心ハラハラするが、東崎がポケットからとある物を突きつける。

 

 

つ『伝票』

 

 

「──と思ったが仲良くしようじゃないか。よろしく頼むぞ先輩」

 

 

弱みを握られた教会の戦士が手のひら返しする様子に木場は可哀想な者を見るような目をゼノヴィア向ける。

 

 

「……あぁ……うん。よろしく頼むよ」

 

 

そして、何かを察したのかいつもの爽やかな笑顔を向ける。

そんな悪魔からの優しさに気付いたのか、屈辱的な思いに囚われたゼノヴィアは膝をつく。

 

 

 

「くっ……殺せぇッ!!」

 

 

 

この光景を見たイッセーが「くっころ」を本当に言う女性がいて驚愕すると同時に歓喜しているのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 






愉悦の道に足を突っ込み始める東崎……。



返還されたエクスカリバーが戦争に使われ、バラバラにされ、堕天使に利用され、木場の復讐の対象にされてベディヴィエール涙目。


まぁ、つまるところ……。



マーリンがエクスカリバーを管理しなかった所為じゃね?(突然の責任転嫁

マーリン「⁉︎」


あと、イリナの扱いをヒロインにするか、色物残念系親友兼幼馴染にするかメチャクチャ迷う。
まぁ、高確率で後者になるんですけどね。

イリナ「⁉︎」

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