桜の奇跡 作:海苔弁
プロローグ
桜が……散ってく……
『泣かないで……』
泣いてない……お前が、傍にいるから。
『なら良かった……
君は生きなさい』
お前は生きないの?
『僕は……君の中で生きる……
何……君を好きになる人ぐらい、また現れますよ……
さぁ、お別れだよ……』
また、どこかで会える?
『きっと会える……
それまで、待っていてくれ……
必ず、迎えに行く』
強風が吹き荒れ、桜の花弁を舞い上がらせた。舞い上がった花弁と共に、目の前にいた者の姿は消えた……
その者は、目から大粒の涙を流し、大声で泣き喚いた。
しばらくした後、そこへ一人の女性が舞い降りた。泣き喚いていた者は、泣き疲れたのかそこで眠っていた。
『……全く……
力を使いやがって……
使えば、代償が大きいくらい分かるだろう?
……分かるわけ無いか……お前は、それを教えてくれる者がいなかった。
?
まだいたのか……
お前はもう、傍にはいられない。黄泉へ行け。
あぁもう……分かった。
今回だけ特別だ。
次は無いからな』
それから何年もの月日が流れた……
ある満月の夜。
とある町……
町近くにある湖の畔で座り込む、一人の子供……
目の前には半分体を無くした者が、倒れていた。彼に駆け寄り、泣き喚く女性……
子供は訳が分からないまま、その場に座り込んでいた。そして、自身の体に点いていた血を見て、状況把握した途端、ネジが外れたかのように、泣き喚いた。
それから数年後……
道を歩く者の前に、現れる数体の妖怪。
その者は、深く溜息を吐くと、背中に背負っていた大剣を振り下ろし、その場にいた妖怪達を切り裂き倒した。
妖怪達を倒した後、その者はある町へ行った。
そこで、ゴミのように捨てられていた子供を見つけた。
『お前、親は?』
『……』
『家族はいないのか?』
『……母さんが……
俺はいらない子供だって……二度と自分の前に姿を見せるなって』
『……そうか。
じゃあ、俺と一緒に来るか?』
『え?』
『俺は、お前が必要だ。
だから、一緒に来い』
差し伸ばした手を、子供は握った。その者は子供の手を、しっかりと握ると連れて、町を離れていった。
とある森……木の下で眠る子供。傍にいた獣が子供の頬を舐めた。それに気付き起きた子供は、獣の頭を撫でながら大あくびをした。
立ち上がり、自身の服を着ると獣と共に去って行った。
それぞれの歯車が動き出した……
歯車が合った時、彼等は全てを知る……
自分達がどうして集まったのか……
どうして、選ばれたのか……
全てはあの場所に生えている、桜の木が知っている……