桜の奇跡 作:海苔弁
そこから、マリウス達と花琳達が降りた。
互いを見合うと、彼等は幸人の家へと入った。
家の中には、既に4人以外の祓い屋達が集まっていた。祓い屋達だけで無く、大地に翔、陽介、水輝に暗輝もが彼の家にいた。
「お!やっと来た!
遅いぞ!マリウス!花琳!」
「これでも、超特急で来たんですが」
「こっちはさっきまで、依頼があったんだから仕方ないでしょ?」
「ヘイヘイ」
「無駄話良いから、とっととこっち来て例の物出せ」
「はいはい」
懐から出した、青い手紙を2人は出しテーブルに置いた。
「やっぱり、お前等の所にも来ていたか」
「これで、全部って事か」
「あぁ」
「同じ手紙が、いっぱい」
「本当だ」
「奈々、あっちに行ってなさい」
「美麗もいるじゃん」
「大人の話だ。
秋羅の所に行け」
「ヤーダ」
「美麗」
「林檎剥くから、こっち来い」
「林檎!」
「あ!ズルい!
秋羅さん、私も!」
キッチンへと駆けて行った二人を見送り、彼等は再び話し出した。
「全員に送られてきたこの手紙……
内容は全部一緒か……」
「君等祓い屋達だけなら未だしも、私達の所にも来ているという事は」
「誰かが、意図的に送ってきたって事だ。
俺達が、この『アスル・ロサ』から」
「なーに?それ?」
保奈美が座るソファーの背もたれに、奈々は顔を覗かせるようにして立ち、首を傾げて質問した。
「盗み聞きするな!」
「別にいいじゃん!!
私も祓い屋だもん!」
「これはママ達のお話。
奈々には、関係」
「幸人、アスルの出身なの?」
手紙の封を手に取り、字を読みながら美麗は幸人の方を見ながら言った。
「何だ?知ってるのか?」
「小さい頃、晃に釣られて1回だけ行ったことがある」
「小さい頃って……」
「いくつの時だ?」
「6歳か7歳くらいの頃だよ」
「何の用で行ったんだ?」
「知らなーい。
晃のお仕事だったから」
「なぁ、そのアスル何とかって、何なの?」
切られた林檎を口にしながら、敬は質問した。その林檎を見た美麗は、もう一つ取りに秋羅の元へ駆けて行った。
「『アスル・ロサ』。
ここにいる奴全員の、育った施設だ」
「皆、この施設の出身なの」
そう言いながら、大地は懐から一枚の写真を出した。
それは、ここにいる若かりし頃の幸人達が、揃った写真だった。
「この後ろに写ってる建物が、その施設。
これは、18と17の時に撮ったものよ」
「へー。
うわ、師匠若っ!」
「当たり前だ」
「わぁ!ママ、凄い美人!」
「ありがとう、奈々」
「なぁ、この手前に並んでる2人は……」
「幸君と陽君!」
「やっぱりか……」
「わぁ、顔構えが天花ソックリ」
「じゃあ、この幸人の腕組んでる女の子は……」
「愛だ」
「昔話はそれくらいにして、とっとと本題進めるぞ」
「そうね。
何で、この手紙が今頃来たのか……」
「え?何で?」
「別に来ても、おかしくねぇじゃん。
『元気にやってるか?』ってくらい、施設の人だったら聞いてくるだろう?」
「その施設があればの話だけどね」
「え?」
「施設は、12年前に無くなっているんだよ」
「……」
「妖怪の襲撃があってな。
生き残りは0。建物も焼けちゃって……」
「今残っていると言えば、焼け残った柱と壁、あと庭くらいですね」
「そうなんだ……」
「あれ?
そうなると、なぜ手紙がそこから届いたんです?」
「だから、今全員集まって話してんだろうが。
つか、弟子共は家出てろ。話の邪魔だ」
「邪魔って……」
「除け者にしなくても良いだろう」
「あのなぁ」
「気になるんだったら、行けば良いじゃん!」
写真を見ながら、美麗は言った。何かを言おうとした幸人達だが、少し考える素振りをすると口を開いた。
「美麗の言う通り、確かめに行った方がいいのかもな」
「だな」
「そういえば、卒業してから一度も帰ってませんでしたもんね」
「ここにいる奴等は、皆顔を合わせてたけどね」
「仕方ねぇだろう。
仕事関係上、嫌でも顔を合わせなきゃいけなかったんだから」
「幸人先輩と陽介先輩は、普通に一緒でしたもんね!」
「幸君はすぐに辞めたけど」
「ほっとけ」
「フン」
「行くと決まれば、いつ行く?」
「僕等は仕事無いので、今日にでも行けますよ」
「俺等も平気だ」
「私達も」
「俺の方は、長期休暇を出しているから平気だ」
「こっちも!」
「決まりだな」
「行くのか?」
「あぁ。
弟子共どうする?」
「そうねぇ」
「アタシ、ママと一緒に行きたい!」
「俺も!」
「弟子抜きで、行こうと思ってませんよね?師匠」
「毎度毎度、面倒事に巻き込まれているんですから、こちらとしては慣れっこですよ」
「そうそう!」
「私がいないと、ドラゴン達は呼べませんよ?」
「同感だ」
「俺いなきゃ、自分のこと何も出来ないだろう」
「100年前にも行ってるから、何か手掛かりが掴めるよ!」
「こいつ等、どこで育て方を間違えたんだが……」
「いっちょ前の事言いやがって」
「誰が何も出来ないだ。出来るわ」
「仕様が無い。
連れて行きますか」
「ヤッター!」
「俺と水輝は、後から行くよ」
「病院に休むって看板、提げなきゃいけないし」
「分かった」
「私達とマリウス達は、竜に乗って向かいますわ」
「了解」
「私、エルに乗って行く!」
「良いなぁ!
奈々も!」
「テメェは俺等と一緒に汽車だ」
「奈々、あなたもよ」
「えぇー!」
「嫌だ!
エルが駄目なら、紅蓮に乗って行く!」
「そういう問題じゃねぇ!」
「この変人2人は俺と一緒に行くから、貴様は幸人達と一緒に行け」
「それなら良い!」
「何!?その扱い!!」
「創一郞先輩達はよくて、俺等は駄目なんですね」
「キー!!」
彼等を見る一つの人影……
人影はしばらく家を見下ろすと、姿を消しそこから離れていった。