桜の奇跡   作:海苔弁

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兄妹(姉弟)じゃないのに、何で同じ名字なの?


良いよな。お前等は、家族がいて。


何で、あの子達は同じ部屋なのに私達は、同じ部屋じゃ無いんですか?


ズルいよ!


兄妹(姉弟)だったら、同じ服着ろよ。



お前等、うるせぇぞ。


何故名字が同じこいつ等が、兄弟(姉弟)だと言うんだ?


ハッキリした理由が無いなら……

テメェ等をぶち殺すぞ
テメェ等をぶち殺すぞ



ったく、手応え何にもねぇ。

全くだ。


ほら、立てよ。あっちで、皆と遊ぼうぜ。

俺等のグループは、ちょっと変人が多いがな。






湊都……


あの人と同じ名前……同じ名前を付ければ、あの人は帰ってくる。


帰ってきませんよ。だってもう……


いいえ、帰ってくるわ。私の元へ……


どうして……どうして帰って来ないの?

何で、私の元に……


あの人の隣にいるのは、あなたじゃ無い。この私……


息子と父親が同じな前なんて……


名前ならともかく、文字まで一緒とは……

一字足しているだけだしね。


悪いが、あの男の血が流れている子を引き取るのは、こちらとして困る。

我々〇〇家には、相応しくないわ。


なら、この俺が〇〇家に恥じぬ者に育ててやろう。文句ねぇだろう?


あなた、湊都って言うんだ。私は花琳。


同じ血筋とは言え、この者達が次期後継者……


花琳はともかく、湊都は心配だわ。


まぁ、あの男の目が黒い内は、従わねぇとな。



可哀想に……子供を残して、死ぬなんて。


この世の中だ。仕様が無い。


2人は、どうするんだ?


何でも、湊都君の母親の故郷にある施設に、送られるそうよ。


そりゃまた、遠い所に。


仕方ないわよ。まだ未成年だもの。


その他にも、理由あるだろう?


あいつ等、妙な力持ってるし。誰も引き取りたくねぇよ。

それもそうね。




結局、皆僕を置いて逝く……嫌なものを残して。


夢の糧

森の中を歩く秋羅達……

 

 

行き着いた先は、森の外だった。彼等と同時に、幸人と紅蓮、葵と茨城童子達が出て来た。

 

 

「え?何で?」

 

『これ以上は危険だ。

 

茨城、行くよ』

 

「ま、待って!!

 

私達も!」

 

『危険だ!

 

 

この森に棲むメアは、人の負を糧に生きているんだ。

 

その負に包まれたら、最期だ』

 

「そんな……」

 

「け、けど……この近くに住んでる爺さんが、メアが見せるのは心地良い夢だって……」

 

『爺さん?』

 

『……頭、多分源だ』

 

『あの爺、余計なことを』

 

「それより、さっき言っていた負って、どういうのだ?」

 

『人にとっての負は、不幸。

 

心に残っている傷から取り出し、その一部を見せるもの。

 

 

例えば、目の前で大事な人を亡くした思い出、自分を不幸にした過去……そんなところかな』

 

「けど、俺が見た夢は親父がまだ生きていた頃の」

 

「私も、まだパパやママがちゃんと仕事をしていた頃の」

 

『多分、幸せ絶頂からどん底へ落とすつもりだったんだろう。

 

でも、見せる前に起こした』

 

「……」

 

「じゃあ、マリウスと花琳は」

 

『負のどん底に、ハマりかけている』

 

「……」

 

『と言う訳で、美麗借りて退治しに行くよ!』

 

 

美麗を抱き上げると、茨城童子は酒呑童子と共に森へ入ろうとした。

 

 

「待て!

 

 

俺と葵も行く。良いな?」

 

「構わない」

 

「師匠!!」

「幸人!!」

 

「お前等はここで待機しておけ。

 

万が一を考えて、結界を張って封印の準備を頼む」

 

「けど……」

 

「心配しないで。

 

君等の師匠は、必ず助けるから」

 

『時間がないから、行くよ!』

 

 

駆け出した酒呑童子達の後を、幸人達は追っていき、彼等の後を愁はエルの背に飛び乗ると、紅蓮を連れて付いていった。

 

 

「ねぇ、あの子達行っちゃったけど」

 

「……平気だろ。

 

 

何とかなる」

 

 

 

あなたは、この〇〇家を継ぐんです。私達に、恥を欠かせないで頂戴!

 

 

あの子達は、あんなに出来るのに……何でこの子だけが。

 

 

不良品は、不良品同士……お似合いね。

 

 

 

 

私は別にあなたのために、頑張ったんじゃない。

 

 

この世の中を生きて行くには、知識が必要。それを手に入れるために、あなたの言う通りにしているだけ。

 

 

花琳、この子があなたの許婚よ。ご挨拶なさい。

 

 

本当に同い年?年上にしか見えない……

 

 

〇〇湊都です。初めまして、花琳さん。

 

 

さんは無し。花琳で良いわ。

 

私、固いのは苦手なの。

 

生まれがどうであれ、私はあなたが気に入ったわ。

 

 

 

 

趣味が悪いですね。

 

僕のような、その辺の買春野郎の子を、好きになるなんて。

 

知識が豊富ですね。一生懸命、勉強なさってきたんですね。

 

あなたといると、全然疲れませんよ……気が休むというか。

 

 

あなたも精霊が見えるの?同じね。

 

この近くに、確か祓い屋がいたはずよ。

 

そこに弟子入りしない?

 

 

 

あなたは、どこへ行くの?

 

僕は、父の故郷にある施設へ。

 

私も、あなたと同じ所へ行きたい。

 

行きますか?どうせ、1人いなくなったところで、〇〇家は滅んだも当然ですから。

 

本家はどうするの?

 

僕が引き継ぎます。一人息子ですから。

 

彼等の墓は?

 

庭の隅にでも、立てますよ。

 

 

 

これが、あなた方2人の記憶……

 

暗いようで、幸せな記憶……

 

全てを吸い取り、糧にしてあげるわ。

 

 

 

森の中を歩く幸人達……茨城童子の肩に座っていた美麗は、辺りを見回しながら小太刀の束を握った。

 

 

『嫌な空気だね……

 

 

茨城、美麗を地面に降ろさないでね』

 

『了解』

 

「えー!降りたい!」

 

『ダーメ。

 

アンタ等も、足下気をつけな』

 

「足下って言われても……」

 

「さっきから、沼歩いてるみたいだ」

 

『沼?』

 

 

彼等の言葉に、酒呑童子は足を止めた。辺りの気配に、エルは落ち着かない様子で鳴き声を発した。

 

 

『愁、エルを少し黙らせて。

 

茨城、美麗を祓い屋達に渡して戦闘用意!』

 

 

幸人に美麗を渡すと、茨城童子は腰に挿していた鞘から刀を抜き、攻撃態勢を取った。

 

 

突然と止む風……自分達の息、心臓の音だけが響いていた。

 

異様な静けさに、美麗の頭に乗っていたアゲハは体を震えさせながら、愁が肩から掛けていた鞄へ入った。

 

 

(静か過ぎる……何だ)

 

「……!

 

酒呑童子!茨城!そこから離れて!!」

 

 

美麗の叫び声と同時に、地面から尖った黒い木の根のようなものが生え伸びた。

 

 

「な、何だ!?」

 

『お出で擦ったな?メア!!』

 

 

巨大徳利の酒を一口飲んだ酒呑童子は、手刀で襲ってきた黒い木の根を叩き割った。

 

 

「酒呑童子、凄ぉい!!」

 

『どんなもんだ!』

 

 

『また、お前等か!!妾の邪魔をするのは!!』

 

 

女性の声が響き渡ると、黒い木の根が花の蕾の形をして生え、その中から黒く染まった妖怪が現れた。

 

 

『ようやく、姿を現したね?メア』

 

『よくも妾の糧を……

 

他の者を手放したとしても、この2人は返さぬ!!』

 

 

メアの左右に現れる黒い繭の中に、マリウスと花琳は入っていた。

 

 

「マリウス!!」

「花琳!!」

 

『さぁ、妾の糧となれ!!』

 

 

襲い掛かる黒い木の根を、幸人は美麗を抱えて銃弾を放ち受け防いだ。

 

 

「……酒呑童子、降りる!」

 

『駄目!!降りたら』

 

 

幸人の腕から降りた美麗を、紅蓮は背中へ乗せた。襲い掛かってきていた黒い木の根を、美麗は八つ裂きにした。

 

 

「どんなもんだ!」

 

『美麗、絶対に地面に降りるな!!紅蓮、彼女を頼んだよ』

 

「何で彼女を降ろしてはいけないんです?!」

 

『アンタ等、この地面が沼って言ったよね?』

 

「あぁ」

 

『けどね、うち等の足下は普通の地面なんだよ。沼じゃ無くて』

 

「……まさか」

 

『アンタ等、普通の人間とは違うね。半分妖力を持っている。

 

こいつにとって、妖力は餌。アンタ等は微弱だからあんまり影響は無いけど、強大な妖力を持った美麗が、この地面に降りたら』

 

「呑み込まれるな」

 

『そういう事!』

 

 

自分に攻撃をしてくる黒い木の根を、美麗は次々と氷の礫を放ち防いでいった。

 

 

彼等に攻撃をするメアを、愁はジッと見つめるとエルを飛ばした。

 

 

「エル!愁!」

 

「何考えてんだ!?あいつ等!」




桜の守。


今では絶滅した妖。
伝書には、『闇を消す力を持っている』と記されている。

闇の力を手に入れてしまった妖怪達を、黄泉へ返していく行いをしていた。
だが、我が身を守ることが出来ず、その数は年々減っていくばかり。その為、総大将ぬらりひょんの傍に就き、護られつつ闇から彼等を護っていた。

彼等の容姿は男女問わず美しく、特徴的なのが漆黒の長髪。そして、紅色の瞳をしている。
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