桜の奇跡   作:海苔弁

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本当に、アタシなんかで良いのかい?


アタシ、性格キツいから嫌いになるよ?


アンタ、変わり者だね。


アタシを、氷の世界から連れ出してくれて、


ありがとう………




藤閒。


初代の雪女

「……」

 

 

冷たい何かが、自身の額に当たった。秋羅はスッと目を開け、額に触れた。

 

 

「……雪?」

 

『あ!起きた!』

 

『起きた!起きた!』

 

 

雪ん子の格好をした子供達が、そう言いながら秋羅から離れた。ボーッとしていた彼は、ようやく状況を理解し飛び起きた。

 

 

「な、何だ?ここ」

 

 

氷で出来た部屋に、秋羅は奈々と邦立と川の字になって、寝かされていた。

 

 

「……」

 

「ん~~……あれ?ここどこ?」

 

 

目を擦りながら、奈々は起き上がった。彼女に続いて邦立も、大あくびをしながら起きた。

 

 

「ねぇ、秋羅……ここ、どこ?」

 

「俺が聞きたいくらいだわ」

 

「凄ぉい……

 

これ、全部氷だよ!」

 

「微かに妖気感じるな……

 

妖怪の家か?」

 

「多分な。

 

 

でなきゃ、こんな立派な氷の部屋出来るわけがねぇだろう」

 

「……ねぇ、美麗はどこ?」

 

「そういや、アイツいねぇな……」

 

「美麗の前に、この部屋から出よう!

 

彼女はその後」

 

「あぁ」

 

 

『壊そうとしなくとも、出してやる』

 

 

どこからか聞こえる声……一瞬吹雪が起きたかと思うと、そこには白い着物に水色の帯を締めた女性がいた。

 

 

「……ま、まさか」

 

「雪女?」

 

『他に何に見えると言うんだ?』

 

「マジかよ!

 

秋羅!奈々!戦闘……って、武器がねぇ!!」

 

「え?!

 

あ!本当だ!!」

 

『落ち着け。

 

 

私は、別にお前達を喰らうために、この城へ呼んだわけではない』

 

「え?」

 

「城?」

 

『ここは氷で出来た城……

 

 

我等雪女の住処だ』

 

 

降りてきた雪女の傍へ、雪ん子達は駆け寄った。

 

 

「雪女の住処……」

 

『お前達、祓い屋か?』

 

「あ、はい」

 

『なら、ついて来い。

 

何、心配するな。お前達の仲間もここにいる』

 

「ママ達もここにいるの!?」

 

『そうだ』

 

 

そう言って、雪女は氷の戸を開け外へ出た。3人は顔を見合わせ、彼女の後をついて行った。

 

 

雪女に案内された部屋には、幸人達がいた。彼等の他に、エルと紅蓮を宥める愁もいた。

 

 

「ママ!!」

 

「……奈々!」

 

 

一目散に、奈々は保奈美の元へ駆け寄り彼女に抱き着いた。邦立の姿を見た翠はすぐに駆け寄り、彼の顔や頭を見て怪我がないか確認した。

 

 

「怪我は無いみたいだね……よかったぁ」

 

「愁達もここにいたのか……」

 

「目が覚める前に、紅蓮に起こされた」

 

『秋羅、美麗どこ?』

 

『キー?』

 

「え?

 

美麗の奴、愁達と一緒じゃねぇのか?」

 

「俺等の所には、いなかったぞ」

 

「じゃあ、どこに……」

 

『美麗という者は、白髪の子か?』

 

「あ、はい。そうです」

 

『彼女なら、別室だ。

 

お前達、あの少女がどういう人物かを知っていて、ここへ連れてきたのか?』

 

「え?」

 

 

突然の質問に、秋羅達は戸惑った。すると、部屋に巨大な吹雪が起こり、そこから1人の女性が姿を現した。彼女は数人の侍女を連れながら、地面へ舞い降り幸人達を見た。

 

 

『氷雨、此奴等が祓い屋か?』

 

『はい。

 

けど、彼は桜の守です』

 

『そうか……』

 

「だ、誰?」

 

『申し遅れた。

 

妾は氷柱。主等が言う雪女の長だ』

 

「長……」

 

『色々聞きたそうだが、追々話す。

 

 

初めに聞きたい。主等、あの少女をどこで見付けた?』

 

「闇市だけど……

 

でも、その前はずっと北西の森に住んでたって」

 

『……やはりか』

 

「やはりって?」

 

『……率直に言う。

 

 

あの少女は、初代雪女……氷華様の曾孫だ』

 

「氷華……って、確か初代ぬらりひょんの妻だった」

 

『ほぉー、藤閒を知っているのか……

 

なら、話が早い。曾孫は妾達雪女が保護する。

 

 

主等は、即刻彼女を置いてここを出て行くが良い』

 

「待て待て!!話が急過ぎる!」

 

「美麗は、私達と一緒に居るの!だから、ここに置いていくわけないじゃん!!」

 

『先程も言ったが、美麗は氷華様の曾孫。

 

 

言わば、次期雪女の長だ』

 

「そんな理由で、ここへ置いていけるわけないでしょ。

 

 

血筋がそうであっても、美麗はあなた方の長では無いわ。次の……次の4代目ぬらりひょんになる子よ」

 

『では問う。

 

 

何故、我等の初代雪女、氷華様を主等は殺した?』

 

「そ、それは……」

 

『氷華様……我が姉は、ぬらりひょんに恋したが故に、命を落とした。

 

 

雪女は本来、子孫を残す者……子供はいたと聞いてはいた。だが、そこからは何も分からずじまい。

 

 

それが、今日』

『長!!大変です!

 

すぐに来て下さい!!』

 

 

突然飛び込んできた雪女と雪ん子達に、氷柱達はすぐに気付くと彼女達に案内されながら、部屋へ向かった。

 

 

 

案内された部屋には、鋭い氷の柱を出し近付こうとする雪女と雪ん子達を次々と攻撃する、美麗がいた。

 

 

『妖力が乱れている!?

 

目覚める前に、何かしたか?!』

 

『何もしてません!

 

 

起きてしばらくしたら、こんな事に……』

 

 

唖然とする雪女達……すると、愁の肩に留まっていたアゲハが、鳴き声を発しながら美麗の元へ飛び寄った。

 

 

『キー?キー?』

 

「……」

 

 

暴れていた美麗は、アゲハの姿を見ると攻撃の手を止めた。アゲハは、鳴き声を発しながら彼女の胸に飛び込み、顔を触角で触れ撫でた。

 

尻を着いた美麗は、くすぐったいのか笑い声を出しながら、アゲハの触角を退かし頬を頭を撫でた。

 

 

「……秋羅」

 

「あぁ」

 

 

アゲハと戯れる美麗の元へ、秋羅は歩み寄った。彼の姿に美麗は、嬉しそうに抱き着いた。

 

 

「よしよし、もう大丈夫だ」

 

「愁達は?」

 

「皆あっちにいるよ」

 

 

答えながら、秋羅は美麗を抱き上げ幸人達の元へ戻った。戻ってきた彼女達の元へ、愁は一目散に駆け寄り秋羅から美麗を受け取った。美麗は嬉しそうに愁に抱き着き、寄ってきたエルの頬を、彼に抱かれながら撫でた。




『……あれだけ乱れていた妖力を、一瞬で』

『氷柱様、あれを頼んではいかがでしょうか?

丁度、氷華様の曾孫様がいらっしゃいます』

『……




祓い屋』

「?」


氷柱に呼ばれた幸人達は、彼女の方を向いた。不安そうな表情を浮かべた美麗を、愁は見せぬよう彼等に背を向かせ、彼女を宥めるようにして、頭を撫でた。


『頼みを聞いてくれ。


今、妾達が行っているこの吹雪と関係していることだ。これを解決するには、氷華様の力を受け継いだ、美麗の力が必要なんだ』
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