桜の奇跡   作:海苔弁

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「では、改めて……


李明依(リーメイ)、僕チンの研究員仲間で以前うちに半年だけ研修に来てたの」

「大ちゃんとは話がすぐに合って、こっちに帰ってきてからずっと手紙のやりとりをしてたの!ねぇー!」
「ねぇー!」


家の中へ入り、向に座る大地と明依の行為に幸人達は呆れ顔をした。幸人の隣に座っていた美麗は、彼の腕にしがみつきながらルイとアゲハと戯れていた。


「総大将の曾孫って、動物に好かれやすいんだね。

あと、小物妖怪にも」


身を乗り出し自身に顔を近付けさせようとする明依に、美麗は顔面に頭突きを食らわせ、怯んでいる隙に幸人から離れ窓付近に立っている陽介の元へ駆け寄った。


「げ、元気ね~総大将曾孫」

「明依ちゃん、鼻血出てるわよ」

「依頼主がここなら、町の外で待たせてる仲間達を呼んできて良いかしら?」

「全然良いわよ!むしろ、大歓迎!」

「竜がいるけど、よろしいのかしら?」

「平気よ!


この森、アタシの所有地だから問題無いわ」

「かなりの強者だった……」

「梨白、行ってきてちょうだい」

「分かりました」

「俺は秋羅達が来るまで外で煙草吸ってる」

「相変わらず好きねぇ、煙草。

寿命、縮むわよ」

「ほっとけ」


外に出る幸人の後を、美麗はアゲハを頭に乗せて追い駆け一緒に外へ出た。


「あ~!ぬらちゃん……」

「残念だったな」

「ウ~」


3匹の用心棒

数分後、空からネロ達が舞い降り彼等の背中に乗っていた秋羅と水輝、梨白、愁は降りた。

 

彼等を下ろしたネロは、辺りを警戒しながら幸人と一緒に歩み寄ってきた美麗を加え、自身の足下に置いた。

 

 

「ネロ、美麗を貸せ。

 

 

中に入るんだから」

 

 

鳴き声を上げるネロの顎下を、美麗は宥めるようにして撫で足下から離れ鼻先を撫でた。

 

 

「家の中だから大丈夫だよ」

 

『俺も入っていいか?』

 

「暴れないんであれば、別に良いぞ」

 

『じゃあ入る』

 

 

そう言って、紅蓮は家の中へ入り美麗も彼の後について行った。幸人は煙草の吸い殻を消しケースにしまうと、寄ってきたネロ達の頬を一撫でし、家の中へと入って行った。

 

 

「キャー!

 

 

大黒狼!!初めて見るー!」

 

 

飛び付いてきた明依に、紅蓮は唸り声を上げると彼女を噛み付こうと口を大きく開けた。噛まれる寸前に、陽介が慌てて彼女と紅蓮を引き離した。

 

 

「貴様は死にたいのか!?」

 

「あ~、大黒狼」

 

「おい!!」

 

 

明依を警戒しながら、紅蓮は美麗の傍へ行き守るようにして前に立った。

 

 

「あの、そろそろ仕事の話して下さらない?

 

全員揃ったので」

 

「明依ちゃん、ほら依頼内容!」

 

「は~い……」

 

 

席に座り明依は依頼内容を話し出した。美麗はつまらなそうに部屋を見回していた時、本棚が目に入った。その中に並べられていた本を1冊手に取り、彼女はその場に座りその本を読み始めた。

 

 

 

陽介から聞いた話を、再び詳しく聞いた幸人達は深く息を吐きながら、椅子の背もたれに寄り掛かった。

 

 

「牛魔王の弟が、とんでもないことを行おうとしていることは分かったけど……」

 

「気懸かりなのは、やはりこの3匹の用心棒」

 

 

渡された資料の中に、猿・河童・豚に服を着させた絵が描かれた紙を陽介は見た。

 

 

「あの、写真とかはないんですか?」

 

「ないない!

 

 

だってその用心棒、もう1000年以上前の妖怪なんだよ」

 

「え?!そんな昔から!?」

 

「今、総大将曾孫が読んでる本に出て来るくらいだから」

 

 

床に本を広げ、読んでいた美麗は明依の声に反応するかのようにして、顔を上げ幸人達の方を見た。

 

 

「お前、いつの間に」

 

「総大将曾孫って、本の虫なのね!」

 

 

席から立った幸人は、美麗が読んでいる本を借り本を表紙を見た。

 

 

「……西遊記……

 

これか?」

 

「正解!」

 

「それって、絵本の」

 

「誰もが読み聞かせや、親に1度は読んで貰ったり自分で読んだりしたことがあるであろう、法師様と3匹の妖怪が繰り広げる冒険物語!

 

これは、その3匹の主である玄奘三蔵法師が牛魔王を倒すために彼等と共に旅をするという内容!」

 

 

熱く語り出した明依に、苦笑いをする幸人達を気にしながら、美麗は座っている秋羅の膝に乗り、テーブルに広げられていた3匹の絵を見た。

 

 

「秋羅、これ?

 

三蔵法師の用心棒って」

 

「あぁ、その3匹。

 

猿が孫悟空、河童が沙悟浄、豚が猪八戒だ」

 

「フーン……

 

こいつ等探しに行くの?」

 

「そのつもりなんだけど……」

 

 

 

夕方……

 

 

外へ出た美麗は、ネロ達の元へ駆け寄り頬を撫でた。

 

 

「ったく、テメェ等研究員は話が長いな」

 

「明依ちゃん、スイッチ入ると長話になっちゃうからね」

 

「今日はもう、宿を取って休みましょう。

 

何か、疲れたわ」

 

「だな」

 

 

「この町の宿、ちょっと特殊だよ!」

 

 

見送りに出て来た明依は、そう言いながら紅蓮を触ろうと手を伸ばすが、その行為を陽介に止められていた。

 

 

「特殊って、どういう事?」

 

「建物が玄関を中心に左右に分かれていてね、男女に部屋が分かれてるのよ」

 

「特殊だな、本当に」

 

「1度、どっかのカップルが不正行為した時に何か問題起こしたみたいで、それに宿主が怒っちゃって」

 

「別れさせたと」

 

「そういう事。

 

ま、明日からよろしくお願いしますね!祓い屋さん!」

 

「ハイハイ」

 

「あれ?ランスさんは?」

 

「彼はここに泊まるの。

 

ちょっと、調べ物を一緒に手伝って貰いたくて!」

 

「じゃあ、お前もか?」

 

「そうでーす!」

 

「変態がいなくて、清々するわ」

 

「全くだ」

 

「ちょっと、その言い方はないでしょ!!」

 

 

 

宿に着き水輝達は、部屋で一息吐いた。美麗は肩に掛けていたポンチョを脱ぎ、纏めていた髪を振った。

 

 

「涼しい!」

 

「やっとフード地獄から解放されたね、ミーちゃん」

 

「何で被らなきゃいけないの?」

 

「白髪で目立つし、妖怪に狙われやすいからよ」

 

「日本より?」

 

「そう」

 

「ミーちゃん、髪の毛梳かしてあげるから解きな」

 

 

水輝に言われ、美麗は腰辺りにある毛束をの結ゴムを取り、三つ編みを解いた。

 

 

「相変わらず、綺麗な髪ねぇ。

 

その髪、いつも自分で結ってるの?」

 

「ううん。

 

愁がやってくれる」

 

「幸人の話だと、愁の奴ミーちゃんに初めて会った時この髪をセットしてくれたらしいよ」

 

「あらそうなの」

 

 

椅子に座った花琳は、団子に纏めていた髪を解き下ろした。

 

 

「花琳の髪の毛、長ーい……」

 

「美麗程じゃないわよ」

 

 

髪を梳かす花琳の元へ、アゲハと遊んでいたルイが駆け寄り彼女の肩に駆け上ると、髪を弄り遊びだした。

 

 

「あ!コラ!

 

髪の毛で遊ぶんじゃない!」

 

 

戯れるルイを見てか、アゲハは美麗の膝に乗り触角で彼女の手の甲を撫でた。

 

 

「ルイの前だから、すっかり良い子になっちゃって」

 

「ルイ、アンタも見習いなさいよ」

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