桜の奇跡   作:海苔弁

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ワカラナイ……

ワカラナイ……


ナゼ、アノコヲ……


ダレナンダ……


ワカラナイ……






殺ス……アイツヲ


俺ヲ、〇シタ奴ヲ!!


クローンの帰還

「?」

 

 

窓際に立っていた秋羅は、ふと何かを感じたのか外を見た。吹き荒れる強風が、窓硝子を鳴らしていた。

 

 

「どうかしたか?」

 

「いや……(気のせいか)」

 

「あ~あ!

 

何で祓い屋の弟子達は、こっちの部屋にいなきゃいけねぇんだか」

 

「仕方ないでしょ。そう言われたんだから」

 

「そうですよ」

 

「俺等だって、歴とした祓い屋だっつーの」

 

「でもまだ、師匠の尻に敷かれてるじゃない」

 

「うっ……」

 

 

「皆さん、せっかく何で自己紹介でもしませんか?」

 

 

ゴシック服を着た女が、横髪を耳に掛けながら言った。

 

 

「何故、そんな事を?」

 

「必要なんですか?」

 

「いつかは、我々も弟子を取る身になる。

 

その時に、互いを知っていれば先生達と同じように、コミュニケーションが取れるではありませんか」

 

「まぁ、確かに……」

 

「それでは、私(ワタクシ)から。

 

英国で祓い屋をやらせて貰っています、海影マリウスの弟子……海影アリサと言います」

 

「随分日本語上手いな」

 

「先生に教えて貰っていましたので」

 

「あれ?マリウスさんって、日本の人?」

 

「母親が英国の人だったみたいです」

 

「なるほど」

 

「そんじゃあ、次は俺!

 

南西部担当の土影創一郞の弟子、土影敬だ!」

 

「……こんな奴が、本当に祓い屋なのか?」

 

「正真正銘、土影の祓い屋だ!!

 

秋羅!何とか言ってくれ!」

 

「丁重にお断りする」

 

「オイ!!」

 

「次は俺です。

 

東部担当の火影迦楼羅の弟子、火影火那瑪です。以後お見知り置きを」

 

「じゃあ、次。

 

北部担当の水影葵の弟子、水影時雨です。よろしくね」

 

「北東部担当の木影翠の弟子、木影翠邦立です」

 

「南部担当の金影保奈美の弟子、金影奈々です」

 

「南東担当の月影幸人の弟子、月影秋羅だ」

 

「……志那国担当の紅影花琳の弟子、紅影梨白(ベニカゲリハク)」

 

「長ぇ髪……何だ?志那じゃ、男は皆その長さなのか?」

 

「……」

 

「無視かよ」

 

「無意味な質問は、慎みなさい」

 

「お前に言われたくねぇんだよ、堅物」

 

「……秋羅、本当にこの人は土影の弟子なんですか?」

 

「俺も初め見た時は、疑ったもんだ」

 

「お前等酷くねぇか?!」

 

 

互いと話し合いながら、秋羅達は時間を潰した。

 

その時、秋羅は何らかのまた感じ、窓の外を見た。

 

 

「……な、何だ……あれ」

 

 

彼の言葉に、一同は窓の外を見た。外には橋を覆い尽くす妖怪の群れが、忽然と姿を現し本部を攻撃してきた。

 

 

 

“ドーン”

 

 

 

爆音と共に、本部全体が揺れた……

 

 

会議室にいた幸人達は、一斉に立ち上がり外を見た。攻めてくる妖怪の群れに、門番をしていた兵士が本部に入れまいと戦っていた。

 

 

「緊急報告!!

 

妖怪の群れが、突如の出現!!群れは、本部を攻撃しています!!」

 

「突如って……どうなっているの?」

 

「考えてる暇はない。

 

二組になって、本部に入り込んだ妖怪共をぶっ倒すぞ」

 

「弟子達はどうする?」

 

「自分らで何とかやるでしょう」

 

「危険を察知すれば、早急に対処しますよ。

 

うちのアリサは」

 

「それは、うちの梨白も同じ事よ」

 

「弟子の自慢話はいいから、早く出るぞ!!」

 

 

 

ホテルの小屋……

 

 

エルと一緒に留守をしていた紅蓮は、本部の方から感じる無数の妖気に驚き、近くに生えている木の上から本部を見た。

 

本部を襲う妖怪の群れ……

 

 

その群れを見た紅蓮は、すぐに危険を察知し檻から暴れているエルを出し、彼の背中に飛び乗ると一目散に本部へ向かった。

 

 

 

 

本部の園庭……

 

 

微かな揺れに、紫苑は摘んでいた花を手に立ち上がり、辺りを見回した。同じように、蘭丸も立ち周りを見ると、ジッとドアを見つめた。

 

 

「……蘭丸」

 

「厄介な者が、ここへ来ているようだ……

 

紫苑、こっちへ」

 

 

“パリーン”

 

 

「!?」

 

 

突然、硝子屋根が割れた……見上げながら、紫苑は小太刀の鞘から抜くと、蘭丸の傍へ寄った。寄ってきた彼女を抱き寄せ、彼は腰に挿していた鞘から打刀を抜き、辺りを警戒した。

 

 

その時、黒い霧が辺りに広がってきた。その霧を見た紫苑は、ハッと顔を上げ濃くなっている霧の方へ顔を向けた。

 

霧の中から、現れる人影……

 

 

『見つけた……

 

 

 

 

俺の子供』

 

「え……」

 

 

構えていた紫苑は、体勢を崩しそこに立った。霧が晴れ、現れ出たのは長い白髪を靡かせた、ぬらりひょん(クローン)だった。

 

 

 

廊下を駆け抜け、兵士達を襲っている妖怪を、幸人達は次々と倒して行った。

 

 

「キリが無いな!」

 

「どんだけ妖怪が攻めて来たんだよ……てか、何でいきなり現れ出たんだ?」

 

「本部に張ってる、結界をぶち壊すほどの力を持った妖怪……

 

 

まさか、ぬらりひょんクローン!」

 

「可能性はあるが、何でここへ来たんだ?」

 

「理由なら、あれだろう。

 

 

大地殺しに来たんだろう」

 

「何で僕チンなの!?

 

僕チン、何もしてないから!!第一、あのクローン作ったの所長だし!!」

 

「所長だぁ?」

 

「霧岬奏歌(キリサキカナタ)。

 

この妖討伐隊研究の全責任者。クローンは、彼が独自に進めてた研究で、僕チン達が知ったのはクローンが脱走した時!」

 

「何でそいつ、ぬらりひょんのクローンを作れたんだ?」

 

「何でも、高祖父さんが殺したぬらりひょんの体の一部と血液を保管してたらしくて……それを素に、再びぬらりひょんを蘇らせようと思ったわけよ」

 

「ちょっと待て……

 

その霧岬が、ぬらりひょんを殺した犯人の子孫なのか?」

 

「正確には玄孫。

 

所長の家系、何か皆早死にするみたいだからね」

 

「……そんで、今その所長は?」

 

「確か、今日帰って来るはず……いや、もう帰ってる。

 

あの人の事だから、多分園庭に行ってるね」

 

「何で園庭なんだよ」

 

「だって、所長女の子だもん」

 

「それ、正真正銘の女か?」

 

「もっちろん!」

 

「……

 

 

月影、こんな奴ほっといてとっとと園庭行くぞ」

 

「だな」

 

「ちょっと!!それ酷くない!?

 

 

でも、気を付けた方が良いよ」

 

「?」

 

「所長……

 

 

 

 

研究成功の為なら、多少の犠牲出しても、何にも感じない人だから」




人物紹介9


名前:海影マリウス
年齢:35歳
容姿:黒髪に赤みがかった橙色の目。左肘から手の甲に掛けて傷痕があり、それを隠すようにして白い手袋をしている。
担当場所が英国のため、普段はいない。花琳とは年子の兄妹。


名前:海影アリサ
年齢:20歳
容姿:銀の長髪。赤い花が描かれたバレッタでハーフアップにしている。目の色は水色。


名前:紅影花琳(カリン)
年齢:34歳
容姿:黒髪を一つ団子に纏めている。目は赤みがかった橙色。右脚から膝に掛けて傷痕がある。
担当場所が志那のため、普段はいない。


名前:紅影梨白(リハク)
年齢:21歳
容姿:灰色の長髪を一つ三つ編みにし、右目を隠すようにして、前髪を垂らしている。目の色は紫色。
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