桜の奇跡   作:海苔弁

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墓場から出て来た、アリサと水輝……


公園へ向かっている最中、水輝は何かを感じふと辺りを見た。


(……何だ?

胸騒ぎがする)

「水輝さん、何かありましたか?」

「ん?

ううん、何でも無い。早く暗輝達の所に行こう」

「はい」


被害者

公園に群がる野次馬……

 

 

その光景を見たアリサと水輝は、野次馬を退かしながら人混みの中へと入り、前へと行った。

 

 

「!?」

「!!」

 

 

左腕から大量の血を流し、浅く息をする暗輝と上から布で止血される紅蓮……そんな二人の姿を見た水輝は、張られていたテープを潜り、中へ入ると医師免許を見せながら暗輝の元へ駆け付けた。

 

 

「アリサ!私のバックから、注射器取って!!」

 

「あ、はい!」

 

「その狼は、私が診るから止血だけお願い」

 

「分かりました!」

 

 

アリサから注射器が入ったケースを受け取ると、水輝はケースから注射器と薬を取り出し、それを暗輝の腕に注入した。

 

 

「……み、水輝?」

 

「兄上?!」

 

「お、俺……

 

 

そうだ……

 

 

美麗は!?紅蓮は!?」

 

「大声出すな!出血が酷いんだから!

 

紅蓮は、そこで止血して貰ってる。後で私が診るつもりだ」

 

「いや、俺が診る。

 

お前、助手頼む」

 

「兄上は動くな!

 

医者の私が、良いと言うまで駄目だ!」

 

「……お前なぁ」

 

 

薬が効いてきたのか、暗輝は重くなっていた瞼を閉じ眠ってしまった。

 

 

「……すぐに、病院へ運んで下さい」

 

「はい」

 

 

救急隊員が持ってきた担架に、暗輝は乗せられそのまま車に乗り病院へと向かった。

 

一段落付いた水輝は、すぐに紅蓮の元へ行き治療をした。浅く息をする彼は、意識が無かった……傷口に消毒液を付けると、傷口を縫い合わせた。

 

 

そんな彼女の行動に、アリサは唖然と見ていた。

 

 

「(これでいい)すみません、お願いします」

 

「はい」

 

「手を貸して頂き、ありがとうございます」

 

「いえ、当然のことをしたまでです。

 

あ、そうだ……あの、彼等の近くに女の子いませんでした?」

 

「女の子?

 

 

えぇ、いましたよ。けど、今は近付かない方が」

 

「え?」

 

「詳しいことは、あそこの警察官に。

 

彼女も、警察官と一緒にいます」

 

 

指差す方向には、数台のパトカーが駐まりその付近に、状況を連絡する警察官と野次馬を通さない様に立つ警察官が数人いた。その近くには、公園の噴水近くに座る女性の警察官とピクリとも動かない美麗がいた。

 

 

駆け寄ると、彼女の体には至る所に返り血を浴びており、地面に座り込み耳を塞ぎ伏せていた。

 

 

「……美麗?大丈」

「触れないで!!」

 

 

婦警の声と共に、美麗の前に氷の柱が鋭く伸び、アリサを攻撃した。ビックリした彼女は、後ろへ飛び下がった。

 

 

「な、何?いきなり」

 

「さっきからこの調子なんです。

 

危険ですから、離れて下さい!」

 

「錯乱状態になってるんだ……

 

 

ミーちゃん、大丈夫だよ」

 

 

注意する婦警を退かし、水輝はしゃがみながら美麗の肩にソッと手を置いた。震えていた美麗は、体をビクらせ冷気を放ち、水輝の手に氷付けさせながらゆっくりと顔を上げた。

 

 

「ミーちゃん、もう大丈夫だよ」

 

「……」

 

「顔に付いた血を拭くよ。

 

もう怖いこと無いから、手を下ろそうか?ね」

 

「……」

 

 

美麗は、震えながら手を下ろした。アリサから鞄を受け取った水輝は、中から大きめのタオルを出し、それで彼女の頬を撫でた。少し緊張が解れたかのように、顔が緩み、気持ち良さそうに当てられていたタオルを掴んだ。

 

 

「先生、鎮静剤打ちますか?」

 

「いいよ。今はもう落ち着いてる。

 

それより、早くその注射針を隠して。彼女は注射が嫌いで、今の状態で見たら暴れ出すよ」

 

「あ、はい」

 

「アリサ、多分幸人達がここに来てるから、探してきてくれるか?」

 

「分かりました」

 

 

鞄を水輝に渡し、アリサは人混みの中へ駆けていった。同時に、空からエルが舞い降り背に乗っていた秋羅が降りてきた。

 

 

「……どういう状況ですか?

 

暗輝さんと紅蓮は?」

 

「病院に運ばれた。

 

今、アリサに二人を探させてるところ。

 

 

これから、暗輝達が運ばれた病院に行ってくるから、後をお願い」

 

「あ、はい」

 

 

一通り美麗の顔を拭くと、水輝は待っていた救急隊員と共に、病院へと向かった。

 

水輝がいなくなると、座り込む彼女にエルは近寄り嘴を擦り寄せた。寄ってきたエルに、美麗は手を上げ頬を撫でた。

 

 

「こっちです!」

 

 

アリサの声と共に、幸人とマリウスが駆け付けた。

 

 

「あれ?水輝さんは?」

 

「暗輝さん達が運ばれた病院に行くって、さっき」

 

「そうか……」

 

「ここは人目につきますから、僕の家へ」

 

「あぁ」

 

「アリサ、彼等を頼みますよ」

 

「はい、先生」

 

 

警察官達の元へ行ったマリウスを見送ると、アリサは肩に掛けていた鞄から、鈴が着いた紐を取り出した。

 

 

「皆さんは、そのままジッとしてて下さい。

 

秋羅さん、美麗をエルに乗せて下さい」

 

「あ、あぁ」

 

 

座り込んでいる美麗を抱き上げ、秋羅は屈んだエルの背中に彼女を乗せた。それを見ると、アリサは鈴が着いた紐を、振り回した。鳴り響く鈴の音と共に、どこからかドラゴンの鳴き声が聞こえてきた。その声に、エルは翼を広げ羽ばたき始めた。

 

 

「皆さん、ジャンプ!」

 

 

アリサの掛け声に合わせて、幸人達はジャンプした。着地した場所が変わり、そこはドラゴンの手の中だった。

 

 

「凄え……一瞬で、ドラゴンの上に」

 

「この鈴は、ドラゴンを呼ぶ物です。

 

ドラゴンは、一般の人に見られてはいけないんです。こういう町に呼んだ際、先程のように目に見えぬ早さでやって来て、我々主を拾うんです」

 

「へ~」




マリウス宅に着き、すぐに眠りに付いた幸人達……


部屋で一人眠っていた美麗は、スッと目を開けた。紅蓮がいないことに気付くと、ベッドから降り表へ出て行った。


しばらく草原を走り、小さな森に着くとその中へ入った。中には、エルとネロ達が眠っており彼女の足音にいち早く気付いたエルは、寄ってきた美麗に嘴と頭を擦り寄せた。

エルの鳴き声に、ネロは目を覚ました。覚めたネロの元へ、美麗は寄ると傍に横たわり、瞼を閉じ眠りに付いた。眠った彼女の頬を舐め、エルは傍に伏せ、ネロは彼女達を囲うようにして丸くなり、再び瞼を閉じ眠った。
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