糸使いちゃんの逆行物語   作:96ごま

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またしてもシュラバ要素皆無ですが今度はタツミ視点です。
ご都合主義でなにが悪いッ!!!((


真実を斬る

「__……ここから先の事は誰にも言うなよ、いいな?」

 

店内の奥にある在庫部屋の隅。ラバがその床にあった隠し扉を開けると、地下に続く階段が現れた。

 

「すっげぇ!秘密基地みてぇだ!」

 

「こういうのってロマンがあって良いなぁ…!」

 

「そ、そうかしら…?私はちょっと怖いわ……」

 

イエヤスと一緒になって子供のように目を輝かせる一方、サヨはその先の暗さに怯える。

 

「下は暗いから降りる時は気を付けてね」

 

「そうそう。あとこの先はサヨちゃんが一番最初に行った方が良いよ」

 

「え!!?なんで私!?」

 

「だってサヨちゃんはスカート履いてるし……俺らが下に居ると中見えちゃうよ?」

 

「!!先に行くわ!」

 

ラバに指摘されたサヨが顔を赤くして階段を降りて行き、ラバも彼女に続いてく。

 

「なんかクロースがサヨに紳士的な対応するなんて意外だなぁ。あいつ俺と同じスケベ野郎なのに」

 

「その気持ちはわからんでもないけど……まぁ、ラバは女の子の事よくわかってるからなぁ」

 

「?」

 

ラバは同性が好きみたいだから、未だに彼女を男だと思い込んでるイエヤスの意見はよくわかる。まぁラバが男だろうが女だろうが、サヨからしたらただのセクハラだと思われていそうだが。

 

つか名前ややこしいな。ラバは手配書が回ってるわけでもないのに、なんで名前や性別まで偽ってるんだ?何か理由があるとしても、そこまでしてこの店を経営したかったのだろうか?

 

この先に行けばその秘密もわかるかもしれない。そう思いながら俺も下へと降りようとした。……が、

 

「うわぁ、思ってたより暗い……なッ!!?」

 

「ん?どわぁッ!!?」

 

足元がよく見えず、不覚にも階段を踏み外してしまった。しかも落ちた先にはラバが居て、彼女を下敷きにしてしまう結果に。

 

「二人共大丈夫!?」

 

「いってて…俺は平気……。それよりごめんラバ、怪我はねぇか?」

 

「う、うん…大丈…………」

 

先に降りていたサヨが心配の声を上げ、俺は薄暗い中慌てて上体を起しながらラバに怪我はないかと問うが、彼女の声は途中で途切れる。

 

どうしたのだろうか、と疑問に思ったのも束の間。その原因は、床に付けていたつもりだった俺の手が、ラバの胸を思いっきり掴んでいたからである。

 

「えっと……これは、その……」

 

サラシを付けて隠しているとは聞いていたが、直に触ってしまえばその柔らかさは女の子のものだとはっきりわかる。意外と大きいな、なんて頭の隅では考えながらも、全身からはダラダラと汗が流れていく。

 

すると硬直していたラバはみるみると顔を真っ赤にし、

 

「い、いやああぁぁぁーーーッ!!!」

 

「ぶふぇッ!!?」

 

バシィーンッ!!と俺の頬を強く叩いた。

 

「ラバ!!?何かあったの!?」

 

妹の悲鳴を聞いたリネットが急いで降りてくる。しかし追撃で横腹を蹴られて転がる俺の下から自力で脱出したラバは、

 

「姐さあぁぁーーん!!!」

 

「おおっと!?どうしたラバ?」

 

真っ先に心配して来てくれたリネットを素通りし、後から来た姐さんに涙目で抱き付いてその豊満な胸に顔を埋める。

 

それがかなりショックだったのか、彼はその場で固まってしまった。

 

「うっ、ひっぐ……タツミが…タツミが俺の胸触ってきたぁ…!」

 

「おいおい、遂にシュラだけじゃなくてお前までラバにセクハラし始めたのかタツミ?好きな子虐めは感心しないぞー」

 

「ち、ちがっ!!誤解だよ姐さん!あれは不可抗力で…!」

 

「タツミくぅーん?今、うちの妹に何をしたって?」

 

「ひぃっ!!?」

 

ふふふ、と不気味な笑顔でナイフを取り出したリネットにビクリと肩を揺らす。

 

ヤバい、シスコンに殺される…!だがそう悟ったその時、

 

「今のって、誰の悲鳴だ…?」

 

「まさか、クロース…?妹って…?」

 

流石にさっきの悲鳴は男の声とは到底思えなかったのだろう。困惑するイエヤスとサヨは、姐さんに泣き付いたままのラバを見つめていた。

 

 

 

 

 

「__えーっと……まずクロースの本当の名前はラバックで、実は女の子。しかもここに居る全員があの殺し屋集団ナイトレイド…?」

 

「あー、ダメだ、色々あり過ぎて頭が付いて行けねぇ……。つか俺らとあんま歳変わんねぇのに帝国兵士から暗殺者にって、クロ……じゃなくてラバックの経歴すげぇな」

 

店の地下にあったナイトレイドの隠れ家。机を挟んだ二つのソファーに左からサヨ、俺、イエヤスと、その正面にラバ、姐さん、リネットの順で座っている中、俺達の正体を明かされた二人は頭を抱えていた。

 

因みにラバの名前だけでなく性別までバレるきっかけを作ってしまった俺はラッキースケベの件も含めて深く反省し、つい先程ラバに土下座したのだが、未だに怒った顔のままそっぽを向かれている。更にリネットがずっとニコニコした笑顔で俺を見てるのも物凄く怖い。いやほんとマジで怖いです許して下さい…!

 

「帝都の悪政が酷いのは噂で知ってるけど、それに対抗してる反乱組織にタツミが関わっていたなんてね……」

 

「世間って意外と狭いんだなぁ。誰にも頼らず自分達でーって意地張らずに素直にリネット達にもタツミを探すの手伝って貰えば良かったぜ」

 

「それは俺もさっき思った。まさか二人の店で働いてるとは思いもよらなかったよ」

 

「……お前ら冷静だな。話聞いたらもっと動揺すると思ったのに」

 

「これでもまだかなり動揺してるわよ。ただ殺し屋とは言っても、貴方達が根っからの悪い人じゃないって信じてる……ううん、信じたいから冷静を装ってるの。だって、私達友達でしょ?」

 

「!!……うん。ありがとう、サヨちゃん」

 

正面に座るサヨに手を握られながらそう言われたラバが、泣き笑いにも見える素の笑顔で礼を言い、その手を握り返す。

 

ラバとリネットは二人をずっと騙し続けてきたけど、とても良い奴らだ。だからきっと今まで相当な罪悪感があったに違いない。でもそんな二人だからこそサヨも信じようとしてくれてるんだと思う。

 

だがその感動の空気をぶち壊すように、姐さんの冷たい口が静かに動いた。

 

「それで?君らは私達の秘密を知っちゃったわけだけど、これからどうする?もし革命軍に協力しないなら、今ここで消されるかもしれないよ?」

 

「っ!!姐さん!」

 

二人を消すという姐さんの発言に、俺は感情的になって勢い良く立ち上がる。しかし、

 

「……私は革命軍に入るわ」

 

迷いのない目で、サヨがそう言った。

 

「ナイトレイドはあくまで悪者を倒す殺し屋なんでしょ?帝国兵士に志願しようと決めた時点で人を殺すのは覚悟してるし、理不尽な理由で罪のない人達を殺してしまうのと比べたらこっちの方が良いわ」

 

「いや、そんなあっさり決めちゃって良いのかい?悪者を倒すからって、僕達は別に正義のヒーロー集団じゃないんだよ?」

 

「わかってます。でも村が苦しんでるのは今の帝国のせいなんでしょ?それを一度壊して再構成した新しい国が貧しい人々を救ってくれるのなら……私は迷いなく協力するわ」

 

サヨの意見にはイエヤスも賛成のようで、俺の横でうんうんと頷く。

 

「ま、そういう事だから俺らもそのナイトレイドに入るぜ。このままバイト生活を続けても村への仕送りがキツいし、しっかりした仕事も見付かって一石二鳥だ」

 

「サヨ…イエヤス…!」

 

これで二人が帝国軍に入って俺達と敵対する、なんて最悪の未来が免れた。大切な幼馴染みが味方になってくれた事に心底安堵する。

 

すると最初からこの結果をわかっていたかのように満足気な笑顔を浮かべる姐さんが、やれやれと呆れた仕草をしつつも嬉しそうに弛緩した表情を浮かべるラバとリネットにアイコンタクトを交わし、三人同時に立ち上がった。

 

「それじゃあ、そうと決まれば早速二人をアジトに連れて行かないとね。また仲間が増えたってボスに報告だ」

 




【おまけ】(本編に収まり切れなかった小ネタ←)

イエヤス「ところでタツミ。ラバック(あいつ)の(胸)はどうだった?」

タツミ「……意外と大きかっ」(刃物が顔を横切る)

リネ「あ、ごめん。手が滑っちゃった」(暗黒微笑)

二人「ひいいぃっ!!?」
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