糸使いちゃんの逆行物語   作:96ごま

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お 待 た せ

前回の後書きのオリ帝具って発言は完全にネタバレだったね、すんません(←更新した後に気付いた)
既存の帝具を予想される可能性があったのは盲点だったわ()

と、いつもの反省会は一旦ここまでにして。今回は超久々のお風呂回だぞ、ほら喜べ((

ラバ「タイトルで内容を察してしまった、誰か助けて」


ガールズトークを斬る

「なぁラバ、今日シュラと何かあった?」

 

会議後の夜。入浴時間にそれを訊く為に来たと言っても過言ではない姐さんが隣に座って開口一番にそう訊ねてきた。まぁ会議室に集まった時の俺の様子は明らかに可笑しかったから、周りが気にしてしまうのは無理もないだろう。

 

「別に何もないよ」

 

「本当にそうか~?お前、実はシュラに惚れちまったんだろ?サヨから聞いたぞ~。やっぱ私の予想は当たってたみたいだな」

 

「ち、違う!誰があんなクソ野郎に惚れるか!!何度も言うけど俺は昔からナジェンダさん一筋なのっ!!」

 

「うわー、わっかり易い反応……」

 

勢い良く立ち上がり全力で否定するが、熱くなった顔のせいで姐さんは信じてくれない。これはきっとお湯の熱さが原因だというのに。

 

危ないところを助けられただけで惚れる程俺はチョロくない。あの頃の恋心があんな奴に塗り潰されるなんて事はあっちゃいけないんだ。

 

「ラバ、変な意地張ってないでさ、もう素直に認めちまえよ。あいつの顔見るだけでドキドキしちゃうからボス一筋とか言って自分に暗示掛けてるんだろ?お前のボスへの愛はラブじゃなくてただの敬愛だって、ほんとはわかってんじゃないの?」

 

「ち、違うもん…!」

 

「そんな真っ赤な顔で違うって言われても説得力ないぞ~?」

 

「ううぅ~~っ!!」

 

なにも反論出来ずに恥をかく俺は赤面したまま再び座り、今度は口元までお湯に浸かる。

 

男だった俺が大嫌いなあいつを好きになるなんて有り得ないんだ、絶対に認めて堪るか。俺のナジェンダさんへの愛は今も変わらずラブなんだ。

 

「あ~もぉ~!照れちゃって可愛いなこのツンデレさんめ!」

 

「は!?ちょっ、だ、だから違うって!急に抱き付いてこないでよ姐さん!」

 

ニヤニヤ笑う姐さんに突然抱き付かれ、彼女の両手が俺の膨らんだ胸を包んで揉み始める。

 

「やっ、やだっ!姐さ……くすぐったいからやめっ…やめてってば!」

 

「ぐへへ、なかなか良い身体してるじゃねぇかお嬢ちゃん」

 

「何そのキャラ!?なんで女好きの俺が逆に襲われてんだよ!?こんな展開可笑しいだろ!!」

 

お湯の中で暴れる度に立つ水飛沫の音が周囲に響く。必死に抵抗しながら叫ぶが、姐さんは手を止めてくれない。

 

また女性に襲われるなんて、これではまるでエスデスの時の二の舞ではないか。けれどそう思ったその時、予想外な人物がここに現れた。

 

「ちょっと!さっきから五月蝉いわよあんた達!外に居る男共にまでそんな会話聞かれたらどうすんのよ!?」

 

バァーンッ!!と勢い良く戸を開ける音に吃驚して振り返れば、そこにはタオル一枚の姿のマインちゃんが。その後ろには彼女に手を引かれる眼鏡無しのシェーレさんも一緒に居て、戸が壊れてないか心配してあわあわしている。

 

これには流石の姐さんも驚いて動きが止まり、獣に食われる運命から無事に逃れられた俺は助かった安心感で思わず泣き出してしまった。

 

「うわあぁーん!!助かったよマインちゃーん!危うく姐さんに食われるとこだったよぉー!」

 

「ご、ごめんてラバ!さっきのは冗談だから泣くなって!ほら、私の胸貸してやるから!」

 

「許す!!」

 

まさか泣かれるとは思ってなかったのか狼狽える姐さんが腕を広げたと同時に、躊躇なくその豊満な胸にダイブする。

 

「チョッロ!!?あんたそれで良いの!?」

 

「チョロくて結構。俺はこのマシュマロボディの誘惑には逆らえないんだ!!」

 

「はいはい、ラバはお姉さんのおっぱいが大好きだもんなぁ~」

 

そう言ってマインちゃんの突っ込みに返す俺の頭を撫で始める姐さん。

 

だか俺も胸を弄られたんだからと仕返しで柔らかいそれを揉んでみるが、姐さんは涼しい顔。俺のやり方が下手クソだとでも言われてるかのような謎の敗北感や悔しさ、恥ずかしさが勝ったのですぐに諦めた。

 

「あれっ?でもマインちゃんが風呂入るのってこの時間だっけ?まだ早い筈だよね?」

 

「そうだったかしら?あんた達が長風呂してただけじゃないの?」

 

そう言ってふてぶてしい態度で姐さんとは反対側の隣に座ってくるマインちゃんと、それに続いて気持ち良さそうに浸かるシェーレさん。

 

いつの間にか両隣で挟まれてるが、まるで逃がさないとでも言われてるような気がするのは俺の気のせいだろうか?否、気のせいであって欲しい。

 

「とか言って本当は私と同じでラバを心配して来たんだろ?相談相手になってやろうとか、そんな感じに違いない」

 

「んなっ!!?べ、別にそんなんじゃないわよ!あんたと一緒にしないでくれる!?」

 

「ふふっ、マインは優しいですからね。私も人の事を言えませんけど、会議中もラバの事をずっと気にしてましたよ」

 

「シ、シェーレは黙ってなさい!!」

 

少し顔が赤くなったという事はどうやら図星の様子。更にシェーレさんにまで暴露されたけど、やっぱり彼女には強く当たれないらしい。

 

っていうか三人共俺を心配してくれてたのか。てっきり姐さんは俺をからかって遊ぼうとしてただけなのかと思ってたけど、そういう事なら悪い気はしないな。……さっきのセクハラは別だけど。

 

「それより!結局ラバは何に悩んでるわけ?あたしに何か出来るなら協力してあげなくもないけど?」

 

「あはは、マインちゃんは相変わらずだね。まぁつっても大した事じゃ……」

 

「シュラの事が好きになっちゃった~って話でしょ?ちょうど私もそれ聞いてた途中なんだよねぇ~」

 

「はぁ…やっぱそうなのね。あんなのを好きになるなんて、ラバも相当変わり者よね」

 

「もしかして恋バナってやつですか?私恋愛経験なんてないので、そういう女の子らしいお話が出来るの羨ましいです~!」

 

「だから違うって何度言えばわかってくれるの!?もうやだこの会話!!」

 

俺の声を遮った姐さんの言葉に溜め息を吐くマインちゃんと嬉々とするシェーレさん。いくら違うと喚いても三人揃って聞く耳を持ってくれない。

 

一体どうすれば違うって信じてくれるんだよ…?すぐ恋バナに発展するガールズトーク怖い。

 

「全く、そんなにシュラを好きになるのが嫌かね?確かにあいつは悪いとこばっかだけどさ、良いとこも少しくらいあるでしょ?」

 

「あれの良いところって例えばどこよ?」

 

「喧嘩が強いとか、案外顔が良いとか?」

 

「他は?」

 

「…………さぁ?」

 

「ほら!!やっぱ悪いとこしかないじゃん!!百歩譲ってそこそこ実力のあるイケメンなのは認めてやるけど、俺があんなストーカーに惚れる要素なんて無いに決まってるでしょ!?」

 

あれの良いところなんて何一つも思い浮かばない。せいぜい強いイケメンってだけで、むしろ俺の敵。女の子にモテる野郎共は全員死ね。

 

「でもシュラってああ見えて意外と優しいところもありますよね?この前とか私の無くした眼鏡を一緒に探して見付けてくれたんですよ~」

 

「シェーレ、あいつが優しくするなんて事は有り得ないんだからその時は大体裏があると思うわ、次から気を付けなさい。あんな奴に善意なんてあるわけないでしょ」

 

「まぁあいつも不器用だからなぁ。マイン程じゃないけど、優しくしてるつもりが相手にとっては皮肉になってたりするんだろうね」

 

「はぁ!?あたし程じゃないってどういう意味よレオーネ!!って、ラバ?」

 

姐さんに噛み付くマインちゃんがこちらを向いた途端、彼女は俺を見てきょとんとする。

 

「……ラバ、お前すっげぇ顔真っ赤だけど大丈夫か?」

 

「ファッ!!?な、なななんの事かな!?べ、別にあいつに優しくされてなんかねぇし!慰められてなんかないからな!?」

 

「うん、まだ聞いてもないのにわざわざ自白してくれてありがとな。とりあえず一旦落ち着こっか?」

 

茹で蛸みたいにカーッと赤くなった顔を指摘された事によってテンパって自爆してしまう。その原因はさっきの会議前のように再びあれを思い出し意識してしまったせいだ。

 

赤子をあやすようによしよしと姐さんに頭を撫でられ、しまいにはシェーレさんまでこっちに来て撫で始めた。なんだこの状況、普段なら喜ぶところなのに全然嬉しくない。恥ずかし過ぎて穴があったら入りたい。

 

「でもこれ、リネットが聞いたら怒っちゃいそうですね。シュラとはいつも喧嘩してるから余計に……」

 

「あのシスコンなら絶対キレるだろうねぇ。まぁそん時は私達で説得してやろうぜ、可愛い妹の幸せを願ってやれって」

 

「そうね、レオーネの説得でもダメだったら協力してやっても良いわよ。ずっと喚かれても迷惑だもの」

 

「ねぇ、俺があれに惚れてる前提で話すのやめてくんないかな?この話もうやめよ?俺先に出るからね?」

 

湯に浸かりながら長話していたからのぼせてきたと伝えると、姐さん達はそれなら仕方ないと言って風呂場からの退出を許してくれた。

 

だが三人はまだガールズトークを続ける気なのか上がろうとする気配は全くない。のぼせても俺は知らないからな?その話を中断するなら今の内だぞ?なんて呟いても知らんぷりされてしまった(シェーレさんに限っては普通に聞こえてなかっただけだと思うが)。

 

 

 

 

 

「__あーやだやだ。なんで女子ってすぐ恋バナに発展させんのかねぇ?」

 

脱衣所を出てすぐキッチンに行き、若干苛ついたようにタオルで髪を乱暴に拭きながらコップに注いだ水を一気に飲む。

 

ちゃんと乾かせってまた兄さんに叱られそうだけど、この時間帯は自室に籠ってるだろうから関係ない。それより今はこの変な気持ちをどうにかしたいのだ。

 

「ったく、あんな奴のどこが良いってんだよ?ただの執着心の強い悪質ストーカーだろうが」

 

って口にして悪態をついてみたが、その顔はまだ熱い。

 

「……いや違う、これは風呂上がりだからだ。やっぱいつの間にかのぼせちゃったんだようん」

 

……俺は一体誰に言い訳してるんだろうか?姐さん達に?自分に?考えれば考える程わけわかんねぇ。もうどっちでも良いや。

 

混乱した脳が正常に働いてくれない今、何を考えてもこのもやもやした気分は晴れない。むしろ明日の件も相俟って自分に嫌気が差し悪化してしまっている。

 

「あれ?ラバじゃん。こんな時間に何やってんだ?」

 

「ああ、タツミか。見ての通り風呂上がりの水分補給だよ」

 

夜食でも食べに来たのか同じくキッチンに訪れてきたタツミの質問に答えれば、彼は俺の格好を見て納得した。

 

「ってか、ちゃんと髪乾かせよ。風邪引くぞ?」

 

「チッ、お前は兄さんか」

 

「なっ!?い、いくら俺がお節介だったとしても舌打ちまでしなくたって良いだろ!?」

 

心配して軽く注意しただけなのに、と嘆くタツミ。思わず八つ当たりしてしまったのをすぐに自覚した俺は反省し、バツの悪い顔で謝った。

 

「ラバ、今日はどうしたんだよ?会議の時もだったけど、なんか変だぞ?悩みがあるなら相談してくれ。俺に出来そうな事があれば協力するからさ」

 

「……うん、ありがと。お前も全然変わってなくてほんと助かるよ」

 

「?」

 

多分タツミのこういう純粋な笑顔と優しさにみんな惹かれてるんだろうな、と。遠い記憶と全く変わらない彼のおかげで不思議と荒れた心が落ち着き、釣られるようにして俺も笑みが溢れる。

 

誰かが困ってる時は察しが良く相談にも乗ってくれて、しかも何も知らないとはいえ二周目の今も俺が男だった時と変わらずにふざけ合ってくれる親友。嫉妬する事も未だにたくさんあるけど、なんだかんだ言ってこいつと一緒に居る時間が一番安らぐような気がする。

 

「へへっ…流石は俺の一番の親友であり戦友、だな」

 

「えっと…?さっきから何ブツブツ言ってるんだ?よく聞こえないからもうちょいはっきり喋ってくれ」

 

「お前の顔見たら苛々が吹っ飛んだって話」

 

「はぁ?なんだそれ?バカにしてるのか?」

 

「そういう意味じゃねぇよ。……明日の任務、全員無事に生き残って帰ってこいよ」

 

「?おう」

 

そう言ってすれ違いざまにタツミの肩を軽く叩き、夜のキッチンを一人去って行く。

 

みんなにやる気を出して貰う為にも、明日は朝早くに起きて美味い弁当でも作ってやろう。今の俺には祈る事しか出来ないけど、どうか、彼らが全員無事に生き延びてくれますように。何度繰り返そうとこの道を選ぶ俺だって人間なのだから、そのくらい願ったってバチは当たらないよな?神様。

 




さぁ次回からやっと竜船の話だ!でもシュラバがどっちも登場しない三獣士戦はリネットさんがほぼメインになるかもしれないのがなぁ…(不満気)

リネ「少しくらいオリキャラの僕がメインの回があっても良いじゃん。ずっと思ってたけど僕が活躍する事の何が不満なの?」

主役じゃなくて脇役として君を作ったからだよ。なのに君が主人公ムーブかましたらこの作品の主旨が変わってぶっ壊れるだろ、黙って舞台装置になれ!お前はその為に作られたストーリー優先型のオリキャラなんだ!だからいつまでもキャラが定まらねぇんだこんにゃろう!!(突然の逆ギレ)

リネ「ちょっと待ってこれパワハラってやつじゃないの!?僕だけなんかブラック過ぎない!?ちゃんとキャラクターを人として扱ってよ!!」

ラバ「闇深いなこの作品」(他人事)
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