とある淘汰の転生憑鬼   作:syuu

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9本編 幼少期7 角の生えた子なんて

side 警備員

私は水鞠大穐(みずまりたいか)、学園都市第一三学区の小学校教師であり警備員(アンチスキル)である。

今日、いつものように職場の教師同士の情報交換を兼ねた食事会の帰りに不思議な子供を保護した。

完全下校時刻も、疾うに過ぎた夜中に素足で公園のベンチで一人座っていたところを見掛けたのだ。

別に、喧嘩をして勢いで飛び出し靴を履かず外で途方に暮れている子供を保護するぐらい珍しくもない。

教員歴三年の自分でも5人以上は経験済みだ。

その子供の変わっていたところとは、容姿だ。

頭に角が生えており、髪も眼の色も静脈の血液のように赤黒く肌も白人のように白かったのだ。

思わず、頭の中である可能性に辿り付き言葉が詰まってしまった。

 

「お腹が減りました」

すると、その子が敬語で空腹を訴えてきたのだ。

3、4歳ぐらいなのに良く出来た子だ。

「ごめんね、今は何も持っていないんだ。 先生が所属している警備員(アンチスキル)の支部に連絡を入れるから、少し待っていてくれ」

「はい」

第一印象は、おとなしいという評価が似合い過ぎるくらい静かな子供だ。

「こちら第三五支部の水鞠、帰宅途中に幼児を一名保護した。

すまないがこれから一度支部へ預けるので何か食べる物でも用意してくれ」

〔了解しました。水鞠先生はコーヒーですよね?〕

「ああ、頼む。それじゃ、一度近くの警備員(アンチスキル)の支部まで先生が運ぶから暴れないでね?」

「はい」

 

支部へ一度連絡を入れ、子供向けのお菓子等を用意するように頼み、支部へ連れて行こうとする。

しかし、裸足で歩かせる訳にも行かないので、水鞠が負ぶって第三五支部まで歩くことになった。

 

 

 

 

「お疲れ様です水鞠先生。保護したというのは、その子ですね?」

「ああ、先ずは何か食べさせてから事情を聞く。その後でも問題ないだろう」

第三五支部に着くと、同僚の砂川が軽い夜食を準備してくれていた。

End

 

 

「さあ、どうぞ」

灰神は、水鞠と呼ばれる警備員(アンチスキル)に連れられ、食事にありついていた。

「ありがとうございます。・・・いただきます」

前々世の影響で見知らぬ他人相手には基本丁寧語か敬語で接する癖が未だに抜け切れずに話してしまっていた。

ちなみにテーブルに置かれていたのは、

 

『冷やして美味しく 冷やし中華まん』と書かれてあった袋があり

それぞれ、薄赤、白、薄緑の三色の中華まんが入っていた。

「熱い方が良ければ温めるけど、どうする?」

「猫舌なんで、冷たいままで大丈夫です」

「猫舌なんて言葉知っているのか~。凄いな」

「あむ」

灰神は水鞠に温めるかどうか聞かれ猫舌であることを話したら、さり気なく褒められ、照れくさくなり薄赤の中華まんに齧り付いた。

その味はなんと

 

 

 

 

・・・・・・ボルシチ味である。

少し意外であったが普通に美味しい。

まさかと思い、普通の白いのを食すと・・・

 

 

 

 

カルピス味のクリームが詰まっていた。

シチューかと思いつつ食べた為、カルピス特有の乳製品の匂いが口の中で広がり甘味が支配した瞬間、驚いてしまった。

最後に薄緑色のを恐る恐る口に入れると

 

 

 

強烈な山葵(わさび)の匂いが前の2つの味を打ち消してしまった。

「・・・・・!? カハッ、ゲホッ、ゲホッゲホッ・・・辛い」

「アハハハ、やっぱり山葵は少し早かったか?ほら、ムサシノ牛乳とティッシュ」

どうやら狙ってこの3種類を選んだようである。

人が悪いのか、緊張を解く作戦なのかは分からないが場の空気は少し(なご)み始めた。

灰神は急いで鼻をかんで、ムサシノ牛乳を飲む。

しかし正直、学園都市の食品衛生基準法について理事会と詳しく話し合いたいと思う。

山葵は有り得ない、酷過ぎる。

 

取り敢えず、山葵は飲み込むように最初に片付け、残りの2つをしっかり味わいながら食べたのであった。

 

 

 

 

 

 

「寝ちまったのか?」

暫くすると、お腹がいっぱいになり眠くなったのか、灰神は、食べ終わると30分も経たない内に寝てしまった。

「水鞠先生、さっき警備員(アンチスキル)の本部に連絡したところ、ここ最近七歳以下の学生や園児の迷子や家出の捜索願いは出されていないようです」

「まっ、予想通りっちゃ予想通りだな」

「??

にしても変わった子ですね。髪の色も瞳も見たことの無い色ですし、外国からの留学生かハーフかなんかですか?

男の子なのに角みたいな髪飾りを着けていますし」

「いや、それ本物だから」

「は?」

水鞠の同僚、砂川は灰神が『冷やし中華まん』を食べている間に捜索願い等が出されていないか調べ終わり、結果該当するものが無いことを伝えに来て、眠っている灰神の異質な容姿を再確認するように見て、若干勘違いをしていることを水鞠が指摘した。

「だから、本当に頭から生えているんだよ」

砂川が灰神の角辺りの髪を掻き分け本当に頭から生えていること確認すると、 眼を据わらせ疑いの眼差しを向けながら名前を呼んだ。

 

「・・・・・・水鞠さん」

「なんだ?」

世間の保護者が聞いていたら教師全般を酷く不安にさせることを言う。

しかも、いつの間にかさん付けになっている。

 

「本当はどっかから攫って来たとかじゃないですよね?」

「・・・・・・・・・アホかお前はぁぁぁああ!!」

 

 

「その子、起きちゃいますよ」

「お前の所為だろうが!!」

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、先ずは自己紹介から始めようか。

先生の名前は水鞠大穐(みずまりたいか)、君の名前は?」

灰神(はいがみ)(やなぎ)・・・です」

一晩寝てしまい、朝はホットミルクを貰いながら、灰神の事情聴取が始まった。

「柳君だね?柳君はどこの幼稚園に通っているのかな」

「もう通っていません」

「(もう?)お父さんかお母さんの連絡先は分かるかな?電話番号か何か書いてある紙とか有れば良いんだけど」

嘘はまだ吐いていない、灰神には前々世の内に高校まで卒業し大学に受かっている経験があるのだから。

砂川は灰神の名前を聞き、書庫(バンク)にアクセスして名前を探している。

そして、此処からがこれからの人生の分かれ目となる一世一代の芝居を打つ。

「分かりません」

「そっかぁ、まあ分からないのならしょうがないよね~」

「だって・・・・・私のお父さんとお母さんが"角の生えた子なんて要らない"って言っていましたから」

 




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