「「「・・・・・・・・・」」」
沈黙がその場を支配していた。
確かに灰神の両親は2人とも結果的に灰神を捨てているが実際には生後2ヶ月の時の話であり。
父親には、会ってすらいない。
しかし、バカ正直に灰神がこれまでの生活を伝えるということは、灰神がいた施設の人間が不自然な死に方 (隠蔽された場合は集団行方不明や不自然な研究先の移転等)をしたことと、灰神の脱走を結び付け。 危険人物、若しくは重要参考人として拘束し、別の科学者が上層部に指示を仰いでまた別の施設でもっと厳しい監視体制で研究という名の監禁を、またされる可能性があるのだ。
「・・・私は、どんなに良い子でいることを言い付けられても、痛いことをされても、静かにしろと命令されても、お手伝いをずっとやることを強制されても、踏まれても、蹴られても、寂しくても、辛くても、両親ふたりが正しくなくても、悲しくても、卑しい鬼と言われ続けても、
一緒に居られ、、れば、・・・・だた、 っ ぞれだげで よ゛がっだの゛に」
「もういい、喋るな」
「グスッ」
当然のことながら演技である。そんなこと言われてもいないし、両親と話し合ったことすら無い。実際、身体に拷問の後のような傷跡を作ったのは、木原等比である。
実に汚い。ディクロニウス特有の整った容姿を最大限利用した演技である。
しかし、水鞠と砂川はそんな灰神の演技を真に受け、貰い泣き状態に陥っていた。
「水鞠先生、衛星の映像を見せて貰えるように本部に申請しましょう。この子の両親に一発、ガツンと怒鳴ってやりたいです」
「ああ、俺も同じ気持ちだ。 早速、本部に連絡を・・・書類なんて後回しだ!!」
勿論、灰神はこういうお人好しな人間に会った場合、このような流れになることを予め、予想していた。
そのために、施設を出る前に
「なんだと!?昨夜、衛星が何者かに襲撃!!しかも第一三学区外周の壁の防衛監視システムが無効化!?何故、
・・・・6時間後には全て正常に作動し直しただと?」
灰神は
しかし、物質を透過し内部に容易く
ただし、
結局、水鞠と砂川は灰神の昨夜の行動を確認する事のできる資料を見つけることは叶わず。
二名の
灰神としては、国籍すら危うい実験動物状態から人間としての権利を一応保証された身分となったのだ。
しかし、唯の教師であり、一介の
2日後、
灰神は
「初めまして。あなたが灰神柳君ね?」
「・・・こんにちは」
「すみません、園長先生。わざわざ、お迎えに来て下さって助かります」
二十代後半の女性が第三五支部に灰神を迎えに訪れ。水鞠が見送りをしていた。
「恰好良い角と、綺麗な髪の色ね」
「・・・・」
「あの、園長先生ちょっと」
灰神の容姿については予め聞いていたのか、大して驚きもせず。その容姿の感想をはっきりと伝えた。
すると、水鞠が園長先生を別室で灰神の事情を詳しく話そうとする。
「あの子、容姿のことで両親に虐待されていたらしいんですよ」
「分かりますよ。職業柄こういうことは、よく聞きます。だからこそ、そういう子は自分を肯定して自信を持たせなければいけないのです」
「後、今は服で隠されていてわかりませんが無数の傷跡がありますので、他の子達とは別室の部屋で着替えをさせてやって下さい。あの子は、・・・一人で着替えができますので」
「・・・わかりました。大丈夫ですよ、
そして、園長先生にあすなろ園に連れられ自己紹介をすることになった。
「皆さん今日からまた一人、新しい家族が増えます。拍手で迎えましょう。
さ、いらっしゃい」
園児たちの小さな手の拍手が、灰神を迎え入れる。
「・・・初めまして、灰神柳です。よろしくお願いします」
「はい、みんなーせえ~のっ「「『お帰りなさいー』」」」
「お帰り?」
無難な挨拶をすると、園長先生が園児と声を合わせて予想外の返事を返してきたのだ。
「そうよ。このあすなろ園は初めて来た子を家族として迎え入れるために、この挨拶をするのよ
此処はあなたの新しいお家よ。例え、これから出て行くようなことがあってもいつでも、いらっしゃいね」
「・・・!じゃあ、こう言った方が良いですよね?」
灰神は少し考えると、何か閃いたように言葉を紡いだ。
「ただいま」
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