とある淘汰の転生憑鬼   作:syuu

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11本編 幼少期9 「平和って良いものだよな~♪」

灰神柳は、置き去り(チャイルドエラー)の施設『あすなろ園』に預けられて一ヶ月間、平和な日々を送っていた。

「平和って良いものだよな~♪」

この『とある魔術の禁書目録』の世界に転生してからの約4年。

やっと監禁生活を終え、普通の人間らしい自由な生活を送っているのだ。他人の視線を気にすることもなく、食べるものも味気ない栄養食から家庭の食卓に出るようなものに変わり。三時にはアイスやお菓子を食べられる生活に移ったのだ。

明るくなるのも分かる。

「なぁ、やなぎはさっきからボーっと、何しているの?」

「平和を噛み締めているだけ~」

「・・・・・? へんなの」

 

「トモオくん、早く荷物を入れて置こうよ」

今は、幼年組全員で明日の社会見学の準備をしており。 灰神は有り余る嬉しさを隠せずにいた。

 

この容姿の所為でまた孤立した幼少時代を過ごすかと心配していたが、超能力という異物が在るためか、あすなろ園の園児達は角の生えている灰神を受け入れてくれている。

前々世では殺伐とした日常が当たり前であったので、こうした何気ない会話を交わすという状況がとても新鮮で心地良いのだ。

 

「ほら幼年組のみんな!

早く明日の準備をして寝ないと先生に怒られちゃうよ。明日、第二三学区にみんなで飛行機の見学に行くんでしょう?寝坊しないように早めに終わらせちゃって」

「「『は~い』」」

あすなろ園では、皆が兄弟姉妹のように年上の子が年下の子の面倒を見て、先生やボランティアの人達の仕事を手伝うようにして負担を分散させているのだ。

小さな子供というは勝手に動き廻り、世話には手が掛かるので、身近な人物が手伝うだけで労力が大分変わるものだ。

 

明日は灰神が待ちに待っていた、第二三学区の国際空港の見学へ行く日であり、 新たに習得した技能のテストと人類淘汰作戦の第一段階へと向かうのだ。

平和な生活を送っていても、この『学園都市』では安全な日々は簡単に崩れてしまう。

故に、灰神は日々念能力の習得に明け暮れている。

当然、偶然誰かに見られたり、確証は無いがこの『とある』の世界の住人が念に目覚めたりする可能性も有る為、細心の注意を払い修行をしている。

幸か不幸か、灰神は身体の傷跡の所為で他の園児達と比べ一人でいる時間が長いため時間の確保には大した苦労はなかった。

今、実戦でも使える新しい応用技は"堅""周"の2つが追加された。

"隠"と"流"も一応習得はしたのだがこの2つは一人の修行では成果がイマイチ分からないのだ。

確認仕様にも、そもそも念は一般人には見えないし、組み手で確認すると相手が念に目覚めるどころか下手をすれば死ぬかもしれない。

そのため、この2つは実戦ではあまり当てにしていない。

"円"に至っては、(ベクター)と"纏"との組み合わせで間に合っているので、さほど重点には置いていない。

勿論、新しく習得した技能とは上の2つのことではなく、某海賊の『見聞色の覇気』のことである

灰神が意図して習得した訳ではなく、偶然の産物であり。

園内で他の園児が私物をよく無くす為"凝"や(ベクター)の疑似的"円"で探し続けたところ自然に習得していたのだ。

明日は、まだ未熟ではあるが 見聞色の覇気の力を使い、思考を読み取り。海外へ行く(若しくは戻る、海外から戻って来た者や観光客)乗客へ、アトランダムにベクターウイルスを感染させ、世界各国に同時期にディクロニウスが生まれるようにし。灰神(オリジナル)へと辿り(にく)くするようにするために行くのだ。

アレイスターには時間稼ぎ程度にしかならないかもしれないが一般の各学者達には効果があるだろうと灰神は予想していた。

滞空回線(アンダーライン)を使い、日夜情報を集めているアレイスターには(いず)れ解明されてしまうため、確証を得る前に行動を起こすのだ。

何も怪獣映画のゴジ○やモス○、ガメ○のように日本にだけ特別異常事態を起こす必要はなく、灰神の目的は、日本だけでなく世界中の人間を進化させるのが最終目標であるため。

今回は、あくまでディクロニウスの発生原因の撹乱が主体であるので2、300人前後感染させればいいと考えていた。

 

 

しかし、やはり灰神の平和な生活は続かなかった。

 

 

空港入口

「皆さん、これから学園都市唯一、空の玄関であるこの第二三学区の国際空港へ入ります。一般の方々も利用していますので、身勝手な行動は慎んでください」

「みんな、他の方々に迷惑を掛けないようにしましょうね?」

「「『はい』」」

園長先生から、角を隠すために貰ったお気に入りの藍色ニット帽を目深に被り、皆と一緒に空港内を回っていた。

 

(ベクター)を足の裏から出しターゲットの所まで床の中を木の根のように透過させ這い伸ばし、この場にいる全員の死角となった瞬間にベクターウイルスを植え付ける。何故このようなまどろっこしいことを、しているかというと。ベクターは通常、波動が強い時に視認出来るようになるが、稀に波動が強くなくても視認できる人間がいるためである。

 

アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、世界約50ヶ国の人間250人程、感染を終わらせていた時に事件(ふこう)が起きた。

 

 

 

 

小さなスプレー缶のようなものが金属音を発しながら幾つも転がり、4秒ほど経ったとたん。凄まじい音と光が空港を襲った。

 

灰神は見聞色の覇気を使っていたため、いち早く閃光発音筒(スタングレネード)に気付き目と耳を覆った。

 

しばらくすると、どの機種かわからないように大げさに黒く塗り潰された駆動鎧(パワードスーツ)を着た集団が現れ空港を制圧していた。灰神以外全員、黒い駆動鎧(パワードスーツ)を着た集団にこの空港で一番広い待合室(ラウンジフロア)に連れて行かれた。

 

 

 

 

 

3時間後

 

[我々は、学園都市の統括理事会と交渉を行うために此処を占拠したテロリストである。無駄な武器の消費を避けるためにこの場にいる職員、一般人は速やかに我々の指示に従って貰いたい]

 

 

空港内放送にテロリストのリーダーであろう者の声が静かな空港に響き渡った。

 

[尚、抵抗をする素振り見せた場合、部下に“躊躇なく打て”と命令を出しているので余計なことは一切ご遠慮願いたい。君達の命は統括理j・・・・・・・・・・・

 

急にリーダーの放送が切れたことにテロリストと人質の双方にざわめきが起き。数秒後、テロリストが全員糸が切れた操り人形のように倒れ始めた。

 

人質であった職員と一般人が悲鳴と歓喜を上げながら、我先へと外へ出て行った。

 

 

その中で少し離れた位置に一人、苦い顔をしながら灰神は小さな声で呟いた。

 

「くそっ、やられた」

 




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