「的中率
研究所に割り当てられた部屋に一人、勉強机に置かれた1枚の紙を覗き込みながら角の生えた男の子が気だるそうに呟く。
あの測定から一週間、灰神は自分の結果を見る度、少し後ろめたい気持ちになっていた。
「まっ、実力であることには変わりないし、どの程度の精密性なのかどうか知りたかったし。
丁度良かったから別に良いか♪」
・・・本当に少しであったのだろう。 直ぐに、声の調子が明るいものとなる。
彼は、基本生真面目だが自分を有意義に出来るのであるのなら基本なんでも使う側の人間なのだった。
すると、ドアの向こう側から灰神を呼ぶ声がした。
「灰神くん。
「はーい。 ・・・・・・・・・・・今、終わりました」
本日は、本格的に
「おはようさん、こいつときたら。いつまで、着替えに時間を掛けるんだっつうの!女子かおまえは!!」
「・・・少し、遅れただけです」
苛烈な挨拶をかましてきたのは、灰神の世話係兼研究所のアルバイト一人・・・恐らく近い将来『道具』の意味を持つコードネームの暗部組織の中間管理者になるであろうと思われる人物である。
特徴的な喋り方であったため、基本他人に興味の無い灰神でも直ぐに気付いたのだ。
「アンタのためにあたし達があんなバカ重い測定器具を運んで来てやってんだからサッサと測定を終わらせる姿勢ぐらい見せてくれたっていいじゃないのさー!!」
初めて会ったときは口五月蠅いだけバカ女かと思っていたら、バイトの後輩であろう人に「こいつときたら」と文句と愚痴を垂らしているところ見掛けて原作キャラの一人に出会ったことを認識し若干感動したのは秘密だ。
アルバイトからどうやって暗部組織の仲介役にまで堕ち (出世?) たのか不明だがこんな研究所に勤めているこの時点で既に暗部と何らかの関係があったのであろうが話が長そうなので灰神は聞くつもりは一切無い。
ちなみに、この研究所は時給制ではなく日給制のため終了時間は実験による被験体の行動や成果次第で早くも遅くもなるのである。
「ところで、何を運んで来たんですか?」
「あー、そこスルーしちゃう?無視しちゃう?」
「・・・・・何を運んで来たんですか?」
「無視か!?」
そこから見えた物は
錆び付いた貨物列車が5両、整然と
右端の車両の横には、添え物のような
「・・・何ですかアレ?」
「いや、唯のスクラップ寸前の
「・・・・
「知らないわよ!?
そーゆーのは、あたしじゃなくてもっと上の連中に聞きなっつうの!!
つうか、一応錘の方は学園都市製の特注の合金よ!!
ほら、アレよ、お偉いさんも急な測定で準備が整わなかったとかそんな感じじゃないかな?」
「一週間たっぷり、あったと思うんですけど。・・・まあ、無駄にお金使うぐらいならこういう
「アレ?問題無いんだったら、愚痴言う必要なんかなかったよね?ていうかアンタ本当に4歳児?
あたしよりケチなんじゃない!?」
そんなに、お金を使って遊ぶことを好まない質の所為か灰神は無駄使いや非効率的なものを嫌うのだ
なので粗末な測定機具を見ても自分に被害が無かったり、結果に差異がなければどうでもいいと考えているため。取り敢えず、突っ込みをしただけなのだった。
ようは、ただの
〔そこー、
「あ、はーい。 今行きます」
測定通達用のアナウンスマイクで催促され、
灰神は
〔それでは、
〔それじゃあ灰神くん、あなたの能力は
「・・・わかりましたー」
灰神は、肩慣らしに
置く際に"ドゴッ"と地面にめり込んだ様な音がしたが灰神は気にしない。
〔ただいまの記録
使用距離505m
誤差10cm
干渉質量500kg
効果時間4秒
精密性能"A"
干渉個数1
演算所要時間0.5秒以下
総合評価 level4〕
「level4・・・か(つーか、
測定結果のアナウンスが流れる。
灰神は、余りの張り合いのなさに肩透かしを喰らった気分になる。
〔準備運動はいいから、限界まで持ち上げてみてくれるかな?〕
「あ、すいません」
急いで
"ざわざわ"
と、観客席から見ている研究所の職員達から感動と驚きがざわめく。10分程、持ち上げ空中に漂わせ続けていると。
〔結構です、最初に置いた
と言われ。灰神は、"ただ置くのもつまらない"と思い
〔ただいまの記録
使用距離505m
干渉質量566.5t
効果時間705秒
精密性能"A"
干渉個数10
同時操作数10
演算所要時間0,5秒以下
総合評価 level5〕
「はぁ・・・(これだけ力があっても生き残れるか分からない
灰神は、頭を掻きながら憂鬱そうに溜め息を漏らす。
"纏"と"流"と"凝"を使いそれぞれの重量に合わせて、オーラを効率良く
「ご苦労様、灰神くんすごいわね。本当に
「伊豆舞さん・・・」
「今は伊豆舞先生と呼びなさい。ところで一つ聞いても良いかしら?」
観測場所から下りて来た伊豆舞局長に呼び方を注意され、不意に測定に何か不備が有ったのか真剣な眼差しを向ける。
「はい、先生?」
思わず、その空気を感じ取り灰神も緊張する。
「最後の測定の時に、見えたあの"透明な腕"は何なのかしら?」