とある淘汰の転生憑鬼   作:syuu

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児童期 怪合
16本編 児童期1 利用されるとは思わなかった


灰神が超能力者(レベル5)に認定されてから8年間・・・。

 

世界は大きく動いた。

 

それはこの学園都市も例外ではなかった。

 

学園都市上層部では灰神の経歴と年齢、容姿を考慮してか。書庫(バンク)のデータの大半を非公開にしていたにも関わらず、学園都市の各学校の教師と学生の盛り上がりは天を突く勢いであった。

 

"前人未到の超能力(レベル5)に人の手が届いた"という事実はそれだけ大きな希望となったのだろう。

 

心成しか、武装無能力者(スキルアウト)の一部も学校にちらほら戻ってくるという声も一時期上がったそうだ。

 

 

そして、"外"もある変化により大騒ぎとなった。

 

 

灰神がベクターウイルスを感染されてから約10ヶ月後、日本の神奈川、ドイツのシュレスウィヒ、カナダのムースニー、イギリスのガラシールズ、オーストラリアのシドニー、イタリアのファエンツァ、ブラジルのコダジャス、 スイスのローザンヌ、ノルウェーのベルゲン、アメリカのケープケネディ、中国のペキン、フィンランドのロヴァニエミ、スペインのログローニョ、ロシアのノボシビルスク、スペインのセビリア、ポーランドのスタロガルト、ベネズエラのラ・パラグア、インドのアーメドナガル、タイのチェンマイ、世界中の各国で両側頭部に角の生えた新生児が確認され始めた。

 

その実態は世界中のテレビに取り上げられ。彼らを二本角の恐竜の名からディクロニウスと呼び、奇病と騒ぎ立てられたが身体的差異による差別の助長としてメディアが専門家やディクロニウスの親族に叩かれ、これを自重した。

掲示板やtwitterでは、新人類(ミュータント)誕生や未知のウイルスを使用したバイオテロ、人類多地域起源説の肯定、単一起源説の否定といった様々な議論と憶測が飛び交い、どれも未だに結論に至っておらず、その手のサイトでは現在も炎上し続けているようだ。

 

一応、子供達の角は"先天的染色体異常による側頭部頭蓋骨過剰発達"と断定された。

 

そして、世界中のディクロニウスの親達と担当医師の機械情報網(ネットワーク)が形成され始めるのに時間はそう掛からなかった。その規模は3年(ごと)に増していき現在ディクロニウスは着々とその数を増やし続けているのだ。

 

もう一つの生体情報網(ネットワーク)が形成されているとも知らずに・・・。

 

 

 

 

〔700tクリア、・・・705t開始します―――〕

 

「相変わらず、順調に能力が向上しているわね。可愛げが無いわ」

 

「・・・・そーゆーのを、本人の目の前で言うのはやめてください」

 

「・・・悪かったわ。最近(ベクター)の解析が滞っちゃってね、上層部の催促がしつこいのよ」

 

広い運動場(グラウンド)にニット帽を被った体育着姿の12歳の男の子と、やる気のなさそうにその子の身体測定(システムスキャン)を見守る中年の白衣を着た女性が学園都市ならではの会話をしていた。

その横には、様々大きさの鉄塊が並べられており。透明な硝子(ガラス)の管のような腕により持ち上げられ、宙を漂っていた。

 

 

あの日から(ベクター)の解析が行われ、伊豆舞博士自ら検査に関わることにより物体の透過性と触覚が備わっていることが知られることとなった。

 

6歳からは第一三学区の小学校に形だけの入学はしているものの、一度も登校したことはないため、その学校に学籍があるにも拘らず誰も見たことのない。幽霊部員ならぬ幽霊学生となっていた。

9歳のころから、本格的に暗部と関わるようになり様々な依頼(主に暗殺)をこなし行き、″外″や海外へとチョクチョク出たりするようになり忙しい日々を過ごしている。

そこでまた、いろいろな出会いや事件があったのだがここでは、割愛させて頂こう。

 

 

しかし未だに、念と覇気の存在は暴かれていないものの、彼女の研究者魂の熱さは凄まじいものであるのだ。

それ故、冷めた時の脱力は今までの活躍ぶりを全て相殺する勢い・・・否ダラけっぷりなのだ。

 

 

「こーも仕事が(はかど)らないと研究意欲が湧かなくなるのよ。

いっそのこと別の超能力者(レベル5)でも見つからないかしら」

 

「・・・」

 

灰神の返事がない、ただの屍のようだ。

 

「灰神くん?」

 

「あ、はい・・・見つかるんジャナイデスカ?タブン」

 

灰神は今自分が主人公達とどのくらいの年齢差があるのか把握をしていないことに気付いて脳内が一時停止(フリーズ)してしまったのだろう。言葉の半分が片言になり、冷や汗が止まらなくなっている。

状況を整理すると、年下ではないことは分かっており。問題はどのくらい離れているかどうかなのだ。

ディクロニウスを繁栄させる為に学園都市の重鎮や経済界に影響のある人物を中心にベクターウイルスを感染させているがこの『とある』の世界で最も安心してディクロニウスが繁栄するには、『上条勢力』の一員となり、是が非でも彼・・・即ち"上条当麻"と友好な関係を築き上げるのが一番確実であるのだ。

巻き込まれる可能性(リスク)を考慮しても、コレは大きなメリットとなる。

上条当麻の関係者となるということは、良くも悪くも重要なことなのだ。

それ故"一体どれほど年齢が離れているのだろうか?"と灰神は焦り始めた。

 

 

「そうよね。灰神くんという前例がいるからには、近いうちに現れるかもしれないわね!」

 

そんな灰神の心境を余所に伊豆舞は心を踊らすかのように明るくなる。

 

「となれば、サッサと測定終わらせて、お仕事を済ませて貰おうかしら?」

 

「!・・・はい」

 

今焦っても仕方がないと気持ちを切り替え、最後の錘を(ベクター)で持ち上げ、550m地点に置く。

 

〔ただいまの記録

使用距離550m

誤差8cm

干渉質量710t

効果時間1087秒

精密性能"A"

干渉個数52

演算所要時間0.5以下

総合評価  level5〕

 

「ご苦労様、んじゃいつもの頼んじゃってもいいかしら?」

 

と、伊豆舞は鼻歌でも歌い出しそうな声で灰神に仕事の依頼をしながら真っ直ぐ仮眠室へ向かう。

 

「いいですけど、10分までですよ。測定の後、細かい作業をすると余計に疲れるんですから」

 

「良いじゃないの、暗部の汚れ仕事から整体マッサージまで出来る能力を持っているんだから有効活用しないと、ふっ ぐう!?」

 

伊豆舞は灰神の愚痴を聞き流しうつ伏せ寝でリラックスしていたが、その横で不機嫌に灰神の(ベクター)で、頭を押さえつけられた。

 

「・・・始めますんで黙りやがってくださいね?」

 

「ふぉめん、ふぉめん・・・・・あぁ・く、ん・・なぁ~・・・利くぅ」

 

(ベクター)を身体中に透過させゆっくり動かし、壺を刺激する度に伊豆舞は声を洩らす。

 

「(まさか(ベクター)の透過性をマッサージに利用されるとは思わなかった)」

と灰神は憂鬱に呟く。

 

ただ能力を無駄に使っているように見える。まるで猛獣使いが自分の頭をライオンの口の中へ入れているような状況が目に浮かぶ・・・。

しかし、この行為も一種の信頼の表れなのであろう。

一歩間違えれば、内出血大サービスになり兼ねないのだが、そういった事故はまだ起きていない。

 

「いや~、念動力(サイコキネシス)を医療分野で応用しようとしたらこんな使い方(マッサージ)を思い付くなんて私もまだまだ捨てたもんじゃないわね」

 

「・・・終わりましたよ。はぁ、疲れた」

 

片や、艶やか。片や、疲労困憊。

 

灰神は超能力にも等価交換の法則が存在するのではと、邪推を少しだけしていた。

 

 

 

そして、数日後、第一三学区で第一級警報(コードレッド)が発令され風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)が緊急招集されるも、ある少年に傷一つ付けることなく全滅される。そんな事件に灰神は巻き込まれるのであった。

 

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