とある淘汰の転生憑鬼   作:syuu

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17本編 児童期2 関わり合いは御免被りたい

数日後の昼頃

学園都市の空には第二三学区から窓の無い試作無人戦闘ヘリ『六枚羽』が飛び交い。道路は武装した警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)、学園都市の各治安組織が慌ただしく往来していた。

その全てが向かう先には、数多くの次世代兵器に囲まれた少年がただ一人。地面が幾つも抉れてできたクレーターの中心に佇んでいた。

 

 

side ??

「くっだらねェ」

 

 

最初は公園でサッカーをしている連中を一人ポツンと見て立っているだけだった。

周りから浮いていなかったと言えば嘘になる。あまり良い噂を聞かない研究施設の出身であり、同年代の中でも能力の発現が堅調であり、それの副作用か皆と違う髪に肌、目の色それが原因であったのだろう。誰一人自分に声を掛けることはしない。

しかし、出る杭は打たれるのだ。

遊んでいた誰が強くボールを蹴ったのだろう。自分の方へ転がってきて、手に取り仲間に入れて貰おうとすると、その中の突っかかってきた一人が。

 

触れただけで腕の骨を折った。

それを止めようとした大人達も―――自分に触れること無く倒れ伏し。騒ぎを聞きつけてやって来た風紀委員(ジャッジメント)の能力も―――放った本人達に襲い掛かり、黒いスーツの集団が四方から放った銃弾も―――気付いたら彼らを襲い、駆動鎧(パワードスーツ)を着込んだ一団が放ったミサイルも軌道を逸らし―――。

騒ぎは雪だるま式に大きくなる一方で、自分には掠り傷ひとつを負うことはなかった。

ああ、そうか今自分はここに集まって来ている全員に恐れられているのか・・・。奴らには、まるで怪獣映画の悪役(バケモノ)のように見えているのだろう。自分に宿ったこの能力(チカラ)は世界を滅ぼすことも出来る怪獣そのものなのだろう。

人間とは、なんて脆く壊れ易い・・・。自分が軽く触れただけでその身体は吹き飛び、その温もりに触れようとしただけでその肌は血に染まり熱くなる。

自分は・・・人と関わっては、いけない怪物(バケモノ)なのだ。この能力(チカラ)他人(ヒト)の手に余る代物だ。自分が少しでも感情にまかせてその能力(チカラ)を振るうだけで人が死にかねない。

やがてこの騒ぎが広がり続ければ学園都市がひいては世界そのものが敵に回り、全てを滅ぼしてしまうかもしれない。

その問題を解決するには、自分は全ての人間に『感情』を向けなければ良いのだ。憎しみは元より、愛情すら時に更なる憎悪を生む。

他人に何をされようとけして動じない鉄のような心を持てばいい。そうなることで強過ぎるチカラの暴走から他人を守ることが出来るはずだ。

しかし、その少年の幼いが故の間違った答えに、逆らうかの如く近付く者がいた。

End

 

 

 

「灰神くん、伊豆舞博士が呼んでいるわよ~?」

昼寝に丁度良い昼下がりの午後1時前、伊豆舞の秘書、如月が灰神の部屋に訪れて呼び出しを受けたことを伝えに来た。

「分かりました・・・ハァ」

灰神は、部屋の窓から見える空を通り過ぎる無人ヘリを視界の端に捉えながら自室を出る。

その目には何処か諦めの色がチラついており、声もいつもより低めになっている。目的地へ向かう足並みも重く、暗い空気を纏っていた。

「いつもより元気が無いけど、どうしたの?お とっととぉ!?」

いつになく、気落ちしている灰神を気遣って如月が声を掛け。案の定(いつものように)自分の足に引っ掛かり、よろける。

「っと。今日、窓を見ていたらヘリコプターがいっぱい飛んでいたじゃないですか。それをボーっと数えていたら眠くなってテンションが低くなっているんですよ」

灰神は今にも、スッ転びそうな如月を生暖かい目で見ながら(ベクター)を伸ばす。8年間ずっと見て来た光景のため手慣れており、慌てることなく如月が床にキスをする前に掴み上げ、(文字通り)体勢を持ち直させ返事をする。

「アハハハ、いつもありがとね」

「いえ、いつものことなので」

「でも、本当に辛かったら遠慮無く相談に乗るからドンドン言ってね!!」

「はい」

当然、灰神がこうにもテンションがだだ下がりな理由は眠気が原因などではなく、数日前の伊豆舞の言葉が頭に残り靄がかかったようにすっきりしないので嫌な予感(フラグ)がいつまでもしており、ストレスが溜まって疲れているのだ。

自分から動くのも億劫になったのか(ベクター)を伸ばし普通より大きなノックをし、ドアを開ける。

「失礼、します」

「あら・・・灰神くん、どうしたの?いつにも増して疲れているようだけど」

「いえ、お構いなく。今日は何の予定も無く休みの筈ですけど、どうしました?」

「あー、それがね。見つかったの」

彼女はまるで、悪戯が見つかった子供のように申し訳なさそうに応える。

「・・・ナニが見つかったんでせうか?」

 

灰神は一瞬固まり(フリーズ)、詳しく内容を問い質そうとするも動揺し、言葉が崩れる。

「新しい超能力者(レベル5)

「ああぁ、ハイハイ読めましたよ。外のお祭り騒ぎはソイツが暴走したか何かが原因で、取り押さえ切れなくなったから、同じ超能力者(バケモノ)をぶつけて解決しましょうという感じですか?」

灰神は、投げやりに応えつつ頭の中で今回の騒ぎの当事者をリストアップする。

原作開始前には既に暗部と接点がそれなりにあろう思われる超能力者(レベル5)というと『一方通行(アクセラレータ)』『未元物質(ダークマター)』『原子崩し(メルトダウナー)』『心理掌握(メンタルアウト)』『念動砲弾(アタッククラッシュ)』以上の5名である。

そのうち、現状から射出まで時間が掛かり、暴走したら自滅する『原子崩し(メルトダウナー)』と機械兵器には無力である『心理掌握(メンタルアウト)』は除外。この2つの能力は学園都市の戦力を集中させて攻撃すれば、十分対応可能なモノなのだ。

後は・・・。

「早い話がそういうことなのよ。今回の依頼は、警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)どころか暗部の連中も目標(ターゲット)に返り討ちにされちゃったみたいだからこちらに応援要請が廻って来たみたいね。ちなみに、今回の依頼は保護が絶対条件で。

目撃情報に因れば能力からミサイル、銃弾による物理攻撃は全て効果が無かったそうよ」

これで今回の当事者は、『一方通行(アクセラレータ)』と『未元物質(ダークマター)』の2名に絞りこめた。

正直、この2つの能力には対抗策が極端に少ないので関わり合いは御免被りたいのだが・・・。

「えーと、依頼の拒否権とかは?」

「そんなものが在るんだったら、私が灰神くんを呼ぶ前に片が付いているわよ」

「ですよね~」

「まあ、あくまで保護が依頼達成条件だから、戦わないといけない訳じゃないし。頑張って頂戴」

「了解しました。車の手配と現場で動き易く成るように情報操作を「ああ、それはもう大丈夫よ」え?」

早速、仕事に向かおうとドアに手を掛けようすると、伊豆舞がいつもと違い情報操作を行わず既に移動手段を確保しているかの如く自慢気に言う。

「今回の依頼は、統括理事会からじゃなくて元々は警備員(アンチスキル)の応援要請の延長上のものだから移動先までは警備員(アンチスキル)側が準備している装甲車で向かうのよ。もうすぐこっちに着くはずだから待っていなさい」

「成る程、そういうことですか」

確かに、能力者(がくせい)の暴走を取り押さえるのは本来警備員(アンチスキル)の仕事であるのでこういった仕事が暗部に通達されることは本来有り得ないのだ。

今までは、数多くの仕事をこなして来たが超能力者(レベル5)や聖人級の相手との戦闘は皆無である。

灰神には、戦うつもりが無くとも相手がどう出るかは分からないので万全に期すのに越したことはないのだ。

入れ違いになったら体力温存も出来ないので大人しく待つことにする。

「痛たた~、失礼しし、します。伊豆舞博士、警備員(アンチスキル)の方が受け付け前でおお゛お待ちしていますよ。ぉ?お゛ととと、きゃあ!?」

5分後には、秘書の如月がいきなり武装した警備員(アンチスキル)がやって来たことに緊張したのか、転びかけながらやって来た。

「っと、」

テーブルの角にぶつける前に、先程のように(ベクター)で受け止める。

「あ、危なかった~」

「如月ちゃん落ち着いて、今回は灰神くんを迎えに来ただけよ」

伊豆舞は、如月を宥めて今回のあらましを伝える。

「・・・はあ~、そうだったんですか~。

また私、知らない内にテロリスト扱いされちゃうのかと思ってしまいましたよ~」

昔、如月が秘書見習いとしてこの研究所で働き始めた頃に如月が"外"から持って来たパソコンを繋いだらウイルスが起動し、施設内のパソコンに感染させてしまったらしく、しかもその日に持ち前のドジで不備があり、廃棄寸前の機材を爆破させてこのバカ広い研究所の二割を焼失させてしまったらしい。

閑話休題(それはさておき)

「じゃあ早速、暴れん坊の後輩を止めに行きましょうか」

 

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