とある淘汰の転生憑鬼   作:syuu

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更新が大幅に遅れてしまい申し訳ありませんorz

現実(リアル)とネットの両立がこんなに難しいものだったなんて・・・(悔泣)


18本編 児童期3 (嘘・・・だろ、おい)

side水鞠

今回の騒動原因である学生は今まで相手にしてきた暴走能力者達とは一味違うようだ。特殊訓練を受けた警備員(アンチスキル)も、風紀委員(ジャッジメント)の能力も学園都市が開発した冗談みたいな次世代兵器をも指一本動かすことなく壊滅させてしまう程の超能力級(レベル5クラス)の能力を有しているらしい。

どうしてこうも曖昧なのかと言うと、俺は今回の件とは別ルートで関わっているため現場の状況を聞いただけで実際に見たわけではないためだ。

別ルートというのは、自分はこの騒ぎを収めるために現学園都市最強の最終兵器(レベル5)を現場に送致する任務のことだ。

学園都市の(教師閲覧)セキュリティランクBでは、能力どころか名前や容姿すら分からない。

存在そのものが機密事項と隠匿される学生。

大人が守るべきである子供を戦場に送り出す。本来教師としては自尊心や立場的有り得ないことだが、上層部の総意に一端の警備員(アンチスキル)でしかない自分は逆らうことは出来ない。

非常に歯痒いが任務に集中し、自らの行動がこの騒動の早期解決に繋がることを信じるしかない。と、自己解決し問題の超能力者(レベル5)が居住している白く小綺麗な研究施設の受付で武装したままソファに腰掛けて、待っていた。

 

「こんにちは、伊豆舞総合研究所局長の伊豆舞雫です。事情は事前に聞いております」

しばらくすると、この施設の責任者であろうと思われるセミロングの中年女性が後ろにどこかで見た顔立ちのニット帽を目深に被った子供を連れ、やって来た。

確か、あの子は・・・。

「灰、神くん?」

「「え!?」」

目の前にいる中年女性と少年の2人が予想外な発言に目を丸くする。

「何々、知り合い?」

「いえ あの、・・・・失礼ですが、どこかでお会いしましたか?」

相変わらず違和感の無い口調で喋るその敬語は間違いなく8年程前のあの日、公園で一人裸足でベンチに座っていたあの子のものであった。

「久し、振り・・・だね。覚えてないかもしれないけど 7、8年前に君を保護して"あすなろ園"に送った警備員(アンチスキル)だと言えばわかるかな?」

まさか、彼が超能力者(レベル5)なのかと戸惑いつつも、学園都市の能力開発の時間割り(カリキュラム)は最年少でも、五歳からで当時、四歳程であったことを思い出しその予想を頭の中から振り払う。

「・・・あぁ、あの時おぶってくれた先生」

どうやら思い出してくれたようだ。

「積もる話しもあるが済まない。今日は、警備員(アンチスキル)として仕事があるからまた今度な」

「そうですね」

意外な再会するも会話を一旦中断し、この施設の責任者の方を向き、近未来的デザインの小さな携帯のツマミを回し、半透明画面(ウィンドウ)を広げ応援要請の書類データを見せる。

「失礼しました。申し訳有りませんが事態は急を要します。此方の超能力者(レベル5)の方に事件解決の協力の際、現場への送致担当となりました水鞠です」

謝罪をし、警備員(アンチスキル)の公務マニュアル通りに挨拶をすると、白衣姿の中年女性は横に一歩ずれて手を灰神くんの方へ出し紹介を始めた。

「ご苦労様、彼が学園都市最強の念動系能力者(サイコキネシスト)、灰神柳くんです」

「へ?」

今度は此方の目を丸くすることになった。

end

 

 

その後、灰神は警備員(アンチスキル)の装甲車後部に乗車し、水鞠から奇跡的に監視カメラが捉えた今回の目標(ターゲット)の能力使用映像を灰神の携帯に送信して貰う。

「いや~、驚いたよ。まさかあの時の子が超能力者(レベル5)になっていたとは、別に教え子という訳ではないのだが誇らしく感じるな」

「そういうものなのですか?」

「まあ、先生個人の勝手な思い込みみたいなものさ。ある日自分が応援する有名ファンサイトにアクセスしたら、ゾロ目や100万hitとかに偶然なってお礼メッセージが贈られたような感覚だな」

「ああ、なんとなくわかりm・・・」

「どうした?」

いきなり灰神の会話が途切れたことに疑問を持ち水鞠が後ろを振り返ると、先程送られて来た監視カメラの動画を視ており、その中の惨状のあまり驚いているようにも見える。

しかし、実際には彼の視界は画面の少年の容姿に釘付けになっていた。

「コレは・・・」

「いやー、スゲーよな、まるで時間が巻き戻る(・・・・)かのようにミサイルを打ち返すなんざ一体どんな系統の能力なんだか。どうだ灰神くん、なんとか取り押さえられそうか?」

半ば呆れているのか無意識に口調が少し崩れ、灰神に勝機があるのか聞いてきた。

そんな中で灰神は・・・。

「・・・勝率は正直、20%あるかどうか怪しいところですね」(白髪紅眼にどんな攻撃も無意識に容赦なく放った本人に返す絶対的な能力要塞。

廃此、詰んだわ~。一方通行(アクセラレータ)とか俺の(ベクター)と相性最悪じゃん、未元物質(ダークマター)ならまだなんとかなっていたんだけどな・・・)

余裕は既に20%を下回っているようであった。

灰神達ディクロニウスには、生まれながら持つ第三の腕とも捉えられるベクターを有している。この腕は本来、自己が完成される3歳に発現し本来の目的を達するために人類を滅ぼすための器官だ。ベクターを振るう高速移動と高周波微振動に依る切断能力、人体どころか鉄材をもネジ切る握力と腕力、高速で重量が重い物体は逸らし切れないが9mmパラの機関銃や爆風をも防ぐ高い防御力、細胞同士を繋ぐ力を利用した治癒等、常軌を逸したチカラを持つ。

その中でも特に異質なのが透過性だ。壁や人体、ガラス、材質や強度、質量関係無くどんな障害物や盾、装甲をしようと全てをすり抜ける出鱈目な機能だ。この透過性は自分の意志で透過対象と接触対象を選択することができ、これを応用して心臓だけ抜き取る、脳内の血管を引き千切ったり衝撃を体内から直接与えたり出来る。

灰神は今まで、能力者の捕獲、無効化等を依頼された場合、いつも2、30m以上はなれた位置から波動を抑えた不可視状態のベクターを壁や床に伸ばし根を降ろすように隠しながら。目標(ターゲット)が油断したところを一気に頭部へと透過し、能力を発動させる前に前頭葉を刺激して演算式を乱れさせるという戦法をしてきたため。まだベクターの透過性が能力(AIM)そのものにも有効なのか試したことはないので不安であった。

ようは、常時能力を使用し続ける能力者など今まで相手にしたことが無いのだ。

Pi―〔コレヨリ、対侵入者及ビ不穏分子用プログラム28-Σ1247ヲ実行シマス。現場ニ待機シテイル戦力ハ早急ニ退避シテクダサイ〕

「おいおい、もうそんな状況なのかよ。その子を殺す気か!?

クソッ、気休め程度だが一応念のためこれでも被って目を閉じろ」

「?はあ、わかりました」

軽く放心状態に陥っていたら、警備ロボでお馴染みの機械音声で自動緊急通信が入り水鞠は、悪態を吐きながら装甲車を停車させ、警備員(アンチスキル)のヘルメットを渡される。

「・・・あの水鞠先生、頭にゴツゴツ当たって痛いんですけど。これは?」

「しばらくすればわかるさ」

角が中で当たっているのが気になり、このヘルメットがどういう用途で必要になるのか聞いたら笑って誤魔化し、水鞠も被り目を閉じる。

5分程すると突然、目を閉じている筈なのに光が瞼を貫くのを感じてつい、(ベクター)を使い飛び退いてしまった。そして五秒もすると光が弱まり目を開けると遠くに白い光の柱の筋が見え、次第に煙が狼煙(のろし)のように上がっていた。

「い、いいっ、いいま今のは?」

灰神は声が震え、腰を抜かしたかのように姿勢を崩していた。

「・・・あれは学園都市が気象衛星という建前で打ち上げたスパイ衛星ひこぼしⅠ号に搭載された地上攻撃用大口径光学爆撃機(レーザー)さ」

忌々しいとばかりに水鞠の表情は怒気に歪み、その拳はハンドルを捻子曲げようとするかのように強く握り締められていた。

「え、それって!?」(もうこの頃には完成していたのか!?ヤッバ光学系の攻撃対策なんて何もしていねぇぞ。・・・(ベクター)に武装色の覇気を纏って影を作れば楯代わりになるか?)

「ああ、照射範囲半径最小10m~最大2km、摂氏3500℃の白色光線を標的に照射させる・・・殲滅用兵器だ」

灰神は何か思い出したのか困惑し。

水鞠は灰神の震えている声を聞き勘違いをしたのか兵器について感慨深く涙を溜めながら詳しく説明をし始める。

そんな気まずい空気が流れている車内で、灰神は"まさか"と思い前方座席に設置されている電子双眼鏡を掴み取り、外へ出て(ベクター)を伸ばし竹馬のように、8m程上昇し狼煙が上がっている方向に向かって覗き込むと

「あー、水鞠先生?感傷に浸っているところに水を差すようで悪いんですけど。別に悲しまなくてもいいと思いますよ?」

「・・・なんだって?」

「その子、無傷でピンピンしています」

白髪紅眼の少年が悠然と佇んでいるのが見えた。

「周りには誰も残っていないようですね」

「・・・あ?ああ、一応、無人の駆動鎧(パワードスーツ)も一度撤退させているからな。(嘘・・・だろ、おい)」

水鞠が小さく呟いたそれは、レーザーを照射されても悠然と佇んでいる白髪の少年に対してか。それとも、それを見ても尚、平然と立ち向かおうとする灰神に対してなのか。彼自身にもわからない・・・。

「じゃあ、後は自分の(あし)で行きますので救急車の手配をお願いします」

「え、っと? それはどういう意味なんだ?」

「十中八九、彼が負傷するからに決まっているじゃないですか」

超能力者(レベル5)を舐めないで下さい。それじゃ、と灰神は(ベクター)を地面に叩きつけ"バァン"と、手形を作り上げながら飛蝗(バッタ)のように跳躍し、白髪の少年の元へ向かった。

 

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